先日、全世界空手道選手権大会を観た。これは、極真会から枝分かれした、緑健児氏を代表とする新極真会の空手の選手権大会である。新極真会は加盟国63ヶ国で、世界に40000名の会員(修行者)がいるのだそうだ。かなり大規模な組織である。その頂点を決めるべくこの大会。千駄ヶ谷の東京体育館の会場を埋めつくした観衆と出場者は、格闘と男の臭いがプンプンしていた。国際大会らしく、外国人の応援団も多かった。試合を観て驚いた。それはもう壮絶な我慢比べなのである。要するに、お互いがお互いをどつき合うのだが、あまりディフェンスをせず、ただひたすら打ち合い、打たれ合うのだ。ルールで、顔や頭を手で殴るのは禁止されている(蹴りはいい)ので、顔以外、胸や腹を殴り殴られ続けるのだ。その殴られる痛さをじっと我慢し、前へ前へ出る。少しでも痛い表情とか嫌な顔をすると原点なのだ。「押っす」の精神は、強い者へひるむことなく立ち向かう精神なのだ。その精神は、崇高だが、痛さに絶える姿は観ていてついつい目を覆ってしまう。パンチが相手に食い込む鈍い音が、観客席まで聞こえ、その痛さがリアルに伝わって来る。世界大会の上位ともなれば、瓦やブロックを何枚も素手で割れる拳を持っている。その選手達のパンチをもろに受けるのだ。もうこれは信じられないタフネスぶりなのだ。しかし、試合が終わると、大体の選手は身体のどこかしらに負傷を追い、普通1週間は寝込むらしい。まさに壮絶なガチンコの闘いなのである。いや~感動した。途中、アトラクションで、長渕剛さんの歌や、緑健児代表の氷柱割りなどもあり、会場は大いに盛り上がっていた。