陰と陽
「東洋の理」を語る上で、陰と陽の考えは最も基本となるものです。
「中秋の名月」でも述べたとおり、西洋は善と悪のふたつに分けて物事を考えますが、東洋は陰と陽、どちらがいい悪いではなく、違った役割を持つ対極のもの同士が互いに助け合い、新たなるものを生み出すという思想です。
よく誤解をされますが、陰が悪くて陽がいいというのでは決してありません。
すべてのものに役割を見出すのが東洋の考え方です。
陰とは、冷たい、暗い、柔らかい、ゆっくり、大きい、精神、女、こういった性質です。
相対する陽は、熱い、明るい、硬い、早い、小さい、肉体、男、このような性質を持っています。
再び太極図です。
黒い勾玉(まがたま)の形が陰、白い勾玉の形が陽です。
ふたつが合わさって円というひとつの完結した形をなしています。
黒い勾玉(太陰)の中に小さな白い点(小陽)があり、白い勾玉(太陽)の中に小さな黒い点(小陰)があります。
勾玉の丸く大きな頭の部分は陰性、とんがっている尻尾のような部分は陽性です。
この宇宙に絶対的に陰性、陽性なものは存在せず、陰の中にも陽があり(太陰の中に小陽あり)、陽の中にも陰があり(太陽の中にも小陰あり)、すべては相対であることを示しています。
分析心理学者ユングが唱えているアニマ、アニムスも同様です。
すべての男性の中にアニマという女性的元型があり、女性の中にはアニムスという男性的元型があり、男女ともにこの両方の性質を併せ持つことで内的バランスを保っているという考え方です。
性とは、女性(陰)、男性(陽)、はっきりふたつに区分できるものではなく、段階的に変化していくものであるといった考えや、生まれながらにして肉体と精神の性の不一致で悩む「性同一性障害」が正式に世の中に認められるようになってきたのも、これから花開く東洋の時代のエネルギーの高まりを受けてのことと思われます。
生命情報の蓄積庫、遺伝子DNAは、二重らせんの形をしています。
DNAを構成する塩基は4種類、ATGC、膨大な数のこの4種類の塩基によって生命情報は形作られています。
AはTと、GはCと結合します。
このルールが完璧に守られ二本の鎖が結合されているため、一方の鎖の情報から他方を作り出すことができ、数多くの分裂を繰り返すことによって、倍々ゲームで無数に増殖することが可能となっています。
DNAの二本の鎖は完璧な陰と陽、裏と表の関係となっています。
らせんという形そのものも、時間(陽)と中心(軸)から等距離を保った(円)運動をする空間(陰)の関係と捉えることができます。
文明法則史学は、歴史の流れを二重らせん系の生命現象であることを明らかにしました。
今は時代の大転換期、これからは東洋、陰の時代に入ります。
まったく新しい始まりは陰からです。
陰は女性、感性豊かに新たなるものを作り出す性です。
陽は男性、今あるものを応用発展させる能力に長けています。
始まりは陰、だから「陰陽」です。
「陽陰」ではないのです。
この宇宙は現在膨張しつづけています。
膨張、広がる理は陰です。
ですからこの宇宙は陰性始まりとなっているのではないかと考えています。
陰陽の話はいつまで語っても尽きることはありません。
この宇宙に存在するものの数だけストーリーがあるのですから。
幸食研究所 ひふみ塾
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