教員採用試験・面接対策①(総論的に) | しがない教師の雑感

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入試というものに、悉く失敗してきた者が、自分と同じ思いをする若人を少しでも減らせたらという思いから教師が綴る奮闘記的な何か。時々、内なる何かの発露のような感じで哲学や宗教学の話題も…

 これまで教員採用試験の筆記試験対策について述べてきましたが、一般教養にせよ教職教養にせよ専門科目にせよ、どんなアドバイスをもらっても、やらなければ得点に繋がらないので、私の投稿記事が役立つかは不明瞭でした。しかし、面接試験や論文試験に関して言えば、ある種の情報戦のようなところがあるので、筆記試験対策よりは有効と思われます。

 

 初めに断っておきますが、ここでお話しする面接試験対策は各自治体で行われる教育公務員の採用試験に関してであって、私学の採用試験に関しては当てはならない部分もあろうかと思います。あらかじめご了承いただければ幸いです。

 

 さて、面接試験の対策ですが、以下のような内容ですすめて参ります。

 

 1 教員採用試験の面接には答えがある(評価される回答と評価されない回答)

 2 志望動機に関する誤解

 3 面接の落とし穴

 

 まず、「1 教員採用試験の面接には答えがある(評価される回答と評価されない回答)」に関してです。

 面接と聞くと、「志願者の人となり、個性などを見るものだから、自分の教育への熱意を語れば良い/オリジナリティをアピールしよう」などと考えがちです。民間企業であればそれも良いのかもしれませんが、教育公務員に求められることは、奇抜なアイディアや突拍子もない考えではありません。組織の一員として、税金で給料をもらいながら働くに値する人物の選考です。面接官はほとんどが校長や教頭などの管理職です。彼らが評価するのは公務員の資質がある人材です。良くも悪くも公務員的な、独断や経験則に寄らない、教育法規や施行規則に則って組織的に行動できる人物が好まれます。ここを間違えて、熱意ばかりアピールしても、面接官にはほとんど響きません。逆に、法規・規則に則り、組織的にかつ情熱的に行動できる人は好まれます。熱意をアピールするのは、そうした前提を踏まえた上でのことです。

 例えば、「教育現場における体罰についてあなたはどう思いますか?」という質問に対して、「教育者として絶対にあってはならないことだと思います」という回答はほとんど評価されないと思います。この回答ではなぜダメなのか、その根拠が示されておりません。また、「思います」と断定を避けているので、弱腰な印象、最悪の場合、「状況によっては児童生徒に手を出しかねない人」と評されるかもしれません。「児童生徒の心身の発達に多大な悪影響を与えるので、絶対にあってはならないことです」も、勉強していない志願者でも答えることができるので、熱意は伝わるかもしれませんが、他の志願者と差別化できないので、面接官の印象には残らないでしょう。

 ではどのように回答するかですが、例えば「学校教育法第11条に体罰の禁止が明記されているため、絶対にあってはなりません。」のように答えます。法的根拠に基づいているので、これを評価しない理由はありません。淡白に聞こえるかもしれませんが、情熱的な要素入れるとしたら、この根拠に加える形で回答します。

 

 続いて、「2 志望動機に関する誤解」です。

 面接試験ではほぼ確実に「本県(都道府)の教員を目指したのはなぜですか/本自治体の教員を志望する理由を答えてください」などの志望動機が聞かれると思います。これに対して月並みなのは、「生まれ育った◯◯県(都道府)で、教員として働き、恩返しがしたいです」や「小学校(中学校・高校)の時にお世話になった先生に憧れて、自分のあの先生のようになりたいと思いました」という回答ですが、ほとんど評価されないと思います。そもそもこの回答は面接官の質問の答えになっていません。(※以下、自治体は県と想定します)

 面接官は「本県の教員を志望する理由」を聞いているのに対して、志願者は「教員を志望する理由」を答えてます。この回答では面接官としては「他県でもいいのではないか」と思うか、「はいはい、またこの手の回答がきました」程度に思うだけでしょう。

 この問いは、民間企業であれば「本社を志望した理由を聞かせてください」という問いに対して、例えばIT系エンジニアであれば、「インターネット関係に興味があり、そうした仕事に携わりたいと思い志望しました」と言っているのと変わりません。普通はその企業の理念や携わっている事業、開発している商品などを挙げ、それに関連した志望動機を述べるはずです。志望する企業について全く述べることなく、その企業の志望動機を縷々述べることがいかに無意味であるかは、想像に難くないでしょう。教育公務員の場合も同じです。

 その自治体の教育目標、教育施策、展開している教育事業、努力点を語ることなしに、その自治体を志望する理由を語ることができるでしょうか。ですので、「『〜〜〜』という教育目標を掲げる◯◯県で働きたいと思ったからです。私は学生時代に×××に力を入れておりましたので、◯◯県の掲げるこの教育目標に資するできます。」などの回答の方が、面接官の質問に正対していますので、最初の回答より評価されるはずです。志望する自治体の教育目標や教育施策等は、当然ですが暗記して面接に臨むべきです。

 

 本日の記事の最後は「3 面接の落とし穴」です。

 落とし穴と、穏やかでない言葉を使いましたが、医師国家試験のような禁忌肢があるわけではありません(明らかに教育法規に反する回答や、人道に悖る回答は禁忌肢と言えなくはないですが)。一つ一つの回答が模範回答的であっても、それらが矛盾していたり、両立しえない回答になっている場合、面接官は違和感を覚えるか、回答を暗記しただけで熱意はない人なんだなと評価すると思います。

 具体的に申し上げると、例えば「学校という場で働く際に重要なことはなんですか。」という問いに対して、「1人で抱え込まず、報告・連絡・相談の体制を整え、組織的に対応することだと思います」と答えたとします。そのあと、しばらく別の質問が続いた後、「児童生徒がいじめの相談に来た際、あなたはどのように対応しますか」と聞かれ、「児童生徒に寄り添い、話を真摯に聞いて、児童生徒と一緒に問題解決に向けて一生懸命考えます」のように答えたとします。仮にこの回答が模範回答であったとしても(実際は模範解答になりえませんが)、この場合評価されないと思います。なぜなら、働く上で重要なことが「組織的対応」と答えたにも関わらず、具体的場面では組織的対応について一切触れられていないからです。この場合、おそらく面接官の印象は、面接質問集の模範回答だけ作ってきた人程度です。面接で大きく間違ったことを言っていないのに落とされたという方は、この落とし穴にハマっている可能性があります。

 どの自治体でも、「児童生徒に好かれる、熱意のある教員」のような文言が、求める人物像に含まれていると思います。模範回答だけ述べる人は「熱意」の部分で評価を落としている可能性があります。自分がどれほど熱意を持っていたとしても、それが相手に伝わらなければ持っていないのも同じです。見抜けない相手が悪いと相手を責めたところで、事態は好転しません。見せる努力、見せる工夫をすることが大事です。どうすれば熱意を伝えられるのかは、その人の個性等に寄るので一概に言えませんが、例えば自分の中にブレない軸を作ることが挙げられます。先の例で言えば、「自分1人ではなく、学校全体で、一人一人の児童生徒をみつめる教育」を軸にし、面接の回答でも、それが自分の軸であるというのをアピールできる質問には可能な限り回答の要素に入れていくというようなことが挙げられます。

 

 

 暦の上では夏です。教員採用試験を夏に実施する自治体が多いですので、志願者の方々は追い込みの時期かもしれません。1次試験は筆記試験だけで、面接は2次試験からという自治体が多いかと思いますが、特別選考などの場合、1次試験から面接がある場合もあろうかと思います。そうした方々、あるいは、これから1次試験を突破された方々が2次試験の対策をする際に、当記事が参考になれば幸いです。

 次回は具体的な質問項目に対して、例えばこのような回答が考えられるというのをいくつかご紹介できればと思います。