「成熟社会とアベノミクス」 | 平岡秀夫オフィシャルブログ 「至誠通天」 Powered by Ameba
2014年05月10日

「成熟社会とアベノミクス」

テーマ:今日の一言

(公開講演会の実施)

 本日(10日)、私がスクール長を務める「平岡秀夫政治スクール」は、大阪大学社会経済研究所の小野善康教授をシンフォニア岩国にお迎えして、「成熟社会とアベノミクス」との演題で公開講演会を開催しました。

(小野教授の横顔)

小野教授は、「ケインズ理論の瑕疵(かし、欠陥。※)をのりこえる独自の不況理論を打ち立て、世界的にも評価されている」(萱野稔人・津田塾大准教授「金融緩和の罠」)経済学者です。その著書にも、「不況のメカニズム」、「成熟社会の経済学」等があり、正に、我が国の経済社会情勢に適合する政策を策定するのに不可欠な経済理論を展開しています。

(※小野教授は、「ケインズは、物価の変動に時間がかかることによって起こる一時不況の発生とそれの対処としての名目貨幣の供給量の政策的増大しか説明せず、人が持つお金への欲求を需要不足に結び付ける理論(長期不況の理論)は提示しなかった。」と指摘する。)

小野教授は、2010年から2012年にかけて内閣府経済社会総合研究所所長を務めた経験があります。その当時、私も、内閣府副大臣 兼 内閣官房国家戦略室長を務めたことがあり、政府の経済政策、成長戦略や財政運営戦略の策定に際して小野所長(当時)から助言を戴いたり、意見交換をさせて戴いたりしました。

(小野理論の中心:貨幣保有動機の違い)

それでは、本日の公開講演会での小野教授の話の要点をご紹介したいと思いますが、その前に、アベノミクスに象徴される金融緩和派と小野理論との違いの要因となっている「貨幣保有動機」の違いを知っておいて欲しいと思います。この違いが、短期不況時の政策(金融緩和派の政策)と長期不況時の政策(小野理論の政策)の違いをもたらすことになります。

小野理論も、金融緩和派も、同じように「人々の貨幣保有動機」が不況の原因と考えます。しかし、金融緩和派が「お金が足りないから、人々がお金をためこんで不況になる。だから、お金を刷ってばらまけば不況が解決する。」と主張するのに対し、小野理論は、「人々はお金が足りないからモノを買わないのではなく、貨幣保有に比べてモノ消費の魅力が足りないから買わないのである。」と主張しています。(小島寛之氏の説明を参考)

(小野教授の講演要旨)

それでは、小野教授の本日のお話をご紹介します。このお話を踏まえた経済政策の策定が必要だと思いませんか?

今の社会は、「生産力が不足し、欲しいモノばかりで、お金はモノを買うためのもの」である『発展途上社会』ではなく、「巨大な生産力があり、欲しい物が少なくなって、むしろお金を増やしたい」という『成熟社会』になっている。

成熟社会では、家計は、モノやサービスの購入を控えてお金を倹約することになるので、総体的に需要が減少する。他方で、企業は、既存製品の生産の効率化を図るので失業が拡大する。このような家計と企業との行動によって、デフレ不況が生じてくる。

このような成熟社会への転換点は、日本では1992年のバブル崩壊時、欧米では2008年のリーマンショック時である。それらの時から、日本も、欧米も、消費者物価は上昇せず、名目GDP(国内総生産)も増加していない。

成熟社会では、アベノミクスの中心的な「矢」である金融緩和は、政治的に採用し易い(納税者の負担なし、政府への批判なし等)が、お金の供給量を増やしても人はそのお金を貯め込むだけで、需要を増加させる効果はない。

必要なことは、政府が、人の幸福度を高める創造的消費を促したり、人の幸福度を高める公的サービスを提供したりすること。これによって、需要が拡大されてデフレが緩和されると共に、雇用が創出されて雇用不安が軽減され消費が刺激される。

政府が提供すべきは、「必需品」ではなく、自立できない事業による「ぜいたく品」(自立できるなら民間がやればよい)。例えば、高齢化社会での介護や健康、安心安全を求める社会での再生可能エネルギーや環境である。

一つのアイデアは、年金制度を「現金給付」中心から「現物(サービス)給付」中心とすること。若者の負担で高齢者に現金を給付しても、あまり消費には回らないので、若者からお金と仕事を奪うだけ。現物(サービス)給付なら、高齢者にサービスを、若者にお金と仕事を、それぞれ与えることができる。

(了)

hideoh29さんをフォロー

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

Ameba芸能人・有名人ブログ

芸能ブログニュース