小泉元首相「脱原発」発言の波紋

小泉純一郎元首相の「脱原発」発言の波紋が広がっている。1日の講演で「核のゴミの処分場のあてもないのに原発を進める方がよほど無責任」「今こそ原発をゼロにする方針を出せば、世界に例のない循環型社会へ結束できる」などと述べたことに対し、マスコミやインターネットでも多くの反応が出ている。

小泉元首相が言っていることは、これまで私も主張してきたことだ。私だけではない。政界の大物、菅直人・元首相、小沢一郎「生活の党」代表なども従来から主張してきている。が、小泉元首相の今回の発言ほどマスコミやインターネットで好意的に取扱われていることはないように思う。なぜ、こんなにも取扱いが違うのだろうか、その理由を考えてみたい。

先ず、小泉元首相の発言がこれまで言ってきたことを変えたこと、が挙げられよう。TV放送でも、小泉元首相が首相現職時代に原発の必要性・有用性を答弁している所がしばしば取上げられていた。それも、「変質」したことを好意的に取上げていたように思う。

第2に、これまで「変わり者」として認識されてきた小泉元首相が政権の方針と異なる意見を述べたこと、が挙げられよう。「3,11を経験した政治家でも意見を変えなかった人がいるのに、意見を変えた理由は何か。」と問われて、一言、「感性ですね」と答えるのみであった。

第3に、自民党政権の政策に影響を与える可能性が高いのではないかという期待が持てること、が挙げられよう。何故か人気が高い安倍首相は、かつては小泉首相(当時)に珍重され、首相に引き上げてもらったという「恩」がある。この「恩」にどう応えるのだろうか、との興味もわく。

第4の、そして最大の理由は、小泉人気の高さゆえに国民に訴える力があること、が挙げられよう。残念ながら、菅元首相にしても、小沢「生活の党」代表にしても、マスコミの報道振りもあってか、国民的な人気はパッとしない。小泉元首相の人気が本物かどうかは別として、国民、特に原発維持派の人々にも影響を与える可能性は高いのではないか。

やはり政治家は、人気が高くないと、いくら正論を言ってみても、その主張に支持を得て実現をすることは難しいように思う。人気を上げるいい知恵を貸してほしいものですね。

(了)