さて、今回は古文の単語帳について、です。




私が目を通したことのあるものは、上の5冊。

1)『マドンナの古文単語230』
5冊の中では一番覚えやすく、難関高校受験を控えている中学生には高校受験用として最適かもしれません。使い方としては、一読目二読目は読書のように「読むだけ」に徹して、三読目四読目から覚えていくのがいいでしょう。(先生自身が動画でおっしゃっている。)そしてなんといっても「イラストカード」がついているのがいいですね。

高校生が使うとすれば、どうしても古文が苦手で仕方がない人。でも定期テストその他でなんとか点をとりたい人。そういう人は「イラストカード」だけでも覚えれば、「案外古文っていけるかも⁉︎」と思わせてくれます。

ただ、大学入試を考えると、見出語数「230」はやはり少ないと言わざるを得ません。

共通テスト(センター試験)、私大入試、国公立大、解いてみるとわかりますが、見出語関連語共に本書に掲載されていない古語は、ドンドン出てきます。元来、入試で出題される『源氏物語』をとってもおわかりのように、「わからない古語」というのは、学習参考書でカバーできるものではないのですが、傍線箇所や設問箇所においても、『マドンナの230』では全然足りないと思います。

2)『読んで見て覚える重要古文単語315』
大学入試に対応できる単語帳といえば、まずこれでしょう。高校で使っている生徒さんも多いようです。

「見出語」は315ですが、関連語203語と慣用句90語(この慣用句がそのままセンター試験で問われたことも複数回あります)を合わせると605語になります。

そしてこの600語を超えるかどうかが、難関私大の古文を解けるかどうかの基準になると思います。首都圏の私大についてはあまり詳しくないので、申し上げる事は出来ないのですが、関西の私大は古文が難しい学校が多いので(特に立命館大学と関西学院大学)、そういった大学を志望するなら、「見出語」315語だけではなく、関連語プラス慣用句もしっかり覚えてましょう。

共通テストで時間がない人なら見出語315語と慣用句90語だけでもなんとかなるかな?

3)『ゴロで覚える古文単語ゴロ565』
昔、『英単語連想記憶術』という本がありました。
impose(押し付ける)なら
「忌むポーズを押し付ける」と覚えるものです。

『ゴロ565』を最初に読んだ時にまず頭に浮かんだのは、その本です。

ゴロに頼りすぎ、などいろいろな意見があるようですが、入試までの時間が決められている中で、どうしても覚えなければならない受験生にとっては、こういう本も「アリ」ではないでしょうか。いわゆる難関大学に合格した人の中にも「あいなし」を「愛なしではつまらない」と覚えている人が、意外と多いのを私は知っていますよ。

先日ある書店の学参コーナーで、高校生と思われる男の子が2人で会話しているのがたまたま私の耳に入ってきました。

高校生A:「『ゴロ語』使おうと思うけどどうかな」
高校生B:「それな、覚えやすいけど、その意味では入試に出ーへん」

私は心の中で「あ〜やっぱり高校生は鋭いな」と思いました。

欠点があるとするとそのあたりでしょうか。

4)『吉野式ピタリと当たる古文単語』
ほとんどの単語集が、古文単語の語源や由来、現代語との共通点、相違点、あるいはイラスト、あるいはゴロ、などあの手この手で単語を受験生に印象づけようとしている中で、本書はあまり、と言いますか、ほとんどそれらがなく、「同じ意味の単語」「似た意味の単語」「反対の意味の単語」…とまとめて覚えて、例文を音読して…と丸暗記に重点を置いたものです。

ポイントは、だからと言って、他のものに比べて覚えにくい、ということは決してなく、ちょうど「連用形接続の助動詞」と問われて
「き・けり・つ・ぬ・たり・たし・けむ」
と呪文のように唱え丸暗記することに、ある種の快感を覚える受験生には、向いているのではないかと思います。

5)『グループ30で覚える古文単語600』
見出語600語あるのはやはり頼もしいです。出版されたのが2017年。先行単語集、『マドンナ』『ゴロ語』の影響を大きく受けているのがわかります。でもこういう本は今までの先行本の上により良いものが誕生するのかもしれません。『マドンナ』の単語帳もその前の『土屋の古文単語222』の影響を受けています。

見出語だけならこれが勝ちです。