★商店街の“実験”に拍手! ついでにFacebookでコラボしようよ | ジャーナリスト 石川秀樹

ジャーナリスト 石川秀樹

ちょっと辛口、時どきホロリ……。理性と感情満載、世の常識をうのみにせず、これはと思えばズバッと持論で直球勝負。
3本のブログとFacebook、ツイッターを駆使して情報発信するジャーナリスト。
相続に強い行政書士、「ミーツ出版」社長としても活動中。



『Facebookでコラボ! 商店街の“実験”に拍手』ならもっとよかったけれど、
残念! そうではなかった。
でも地方商店の若手たちが、「街をなんとかしたい。だって自分たちの生活がかかってんじゃん」とさまざまな試みを始めたことに拍手を送りたい
さらにその上に、この“小さな動き”にFacebookを一枚かませたらもっと面白くなるのでは、と感じたのでご報告する。


きのう(2013/3/14)静岡県経済産業部商工業局地域産業課の主催で「新しい商業活動等の活動報告会」が静岡市で行われた。いかめしいタイトル。この種の催しは、シンポジウムのためのシンポに終わってつまらない場合が多いが、今回は圧倒的に刺激的だった。
冒頭、講演したのは新雅史(あたらし・まさし)さんだった。
『商店街はなぜ滅びるのか』の著者だ。
『スカートの下の劇場』の著者、上野千鶴子さんのお弟子さんだそうで、さすがにタイトルで引きつけ、話の中身も濃かった。
商店街の過去から今を分析し、衰退には理由があることを説明するのだが、同時に「日本の総中流社会を支えたのは商店街だった」「若者が就活に破れて自殺するのは悲しい。“雇われて働く”以外の選択肢にもっと気づいてほしい」「商店の年収200~300万円はサラリーマンの500~600万円に相当する」などと、熱っぽく語る。
商店・商店街にかける期待が、実は非常に大きいことが伝わってきた。


それを受けて静岡県内の商店街の“実験”事例が3件紹介された。
中でも興味深かったのは、三島市大場(だいば)、地区の若手商店主「2代目集団」が行った『地元の商店街が、貴女の成人式をお祝いします!』という事業だ。
成人式といえば振袖、写真、お祝いパーティーのイメージだろうか。
そこで呉服店の主人が写真店(2店)と洋菓子店、居酒屋、料亭に声を掛けた。
商店街を順に回ってサービスを受けてください、という企画だ。
ポイントは、異業種コラボによる「テーマを明確にした」サービスの提供ということにある。想定した「流れ」はこうだ。


振袖(買ってくれたら、またはレンタルで)→プロの写真撮影(大幅値引き)→ケーキプレゼント(1000円分)→居酒屋または料亭で料理とお酒(お酒など1品サービス)

ジャーナリスト 石川秀樹


「ステップアップカード」を呉服店で渡し、商店街を回ってもらう。
そのために“周回マップ”も手づくりした。
11月末日から3月14日までの4カ月半で20枚を配布し、結果は写真店13枚、洋菓子店10枚、居酒屋・料亭4枚だったそうだ。
最後まで回り切った人は20人中4人、20%。
この結果をどう受け止めるか、いろいろ評価はあるだろうが、使った人の感想は
「地元の店なのに入ったことがなかった。それを何件も回れてよかった」
「見えない気配りやサービスがうれしかった」
「大手量販店で買った友達は『何もしてくれなかった』といっていた」
「着物をきて歩くというのは……楽しい」


こういう試みは、テーマを変えればいくらでも応用できそうだ。
商店街の中の異業種のコラボレーション。
今までは思いつきもしなかったのが今回は、企画し、実行した。
何もしない、できない商店街が多い中で、大きな前進だ。
会場で「質問がないか」というので「Facebookを使う気はなかったのか」と尋ねた。
残念ながら使っていなかった。
今回、カードは直接手渡し。次年度に向けてはDMを使うという。
応用イベントでは、地域限定、格安ということで「チラシ」も視野に入るだろう。
しかし僕としては、<ぜひ、Facebookを使ってほしい>と思った。
切り札になり得るからだ。


チラシは何万枚まいても、店に人が来るだけだ(もちろんそれがチラシの役目!)。
Facebookは違う。
個人が「企画」のことを発信する。
効果がある?
たぶん、ない。
では、2人でやったら? どうかな、ビミョー……。
では全員で使ってみよう、家族にも頼もう、そして友達にも。
Facebookは広告ツールじゃない。広く拡散もしない。到達力は意外にないのだ!
でも、人をつなげる力はすごい
友達までが“巻き込まれて”くれたら、これは結構なクチコミだ。
さらに、今回のイベントは面白い!
街に、商店街に振袖の若い女の子が歩くなんて!!
この街にリテラシーがあったなら(難しいことじゃない、Facebook好きがいたとしたら)道行くお嬢さんを撮ってFacebookで話題にするかもしれない。
少なくとも、ジョイントした6店ではシャッターチャンスはいくらでもある。
了解をとってお客さんをタグ付けしてアップすれば、その友達に広がっていく。
お客さん自身が、スマホから自分の晴れ姿をアップすることは十分考えられる。


チラシは何万枚まいても社会化しない。
ソーシャル性(社交性といってもいい)をもたない媒体だ・
Facebookは違う。
異なる立ち位置、役割(店と客、街の人)で語り始めると、いやでもソーシャル性が生れる。それが手を変え品を変え、いろいろな趣向のイベントが何年も続いていけば、その街が発信する「文化」になっていく。
文化まで創れるソーシャルメディアはFacebookだけである。


ここまで書いてきて、いい手を思いついた。
「イベント」機能を使おう
これならイベントそのものをシェアしやすい。
イベントのために臨時にFacebookページを立ち上げてもいい。
そこで「イベント」を使う。
Facebookページのイベントでは、チケット配布先のURLも入れることができる
チラシ、DMほど直接的ではないが、話題を呼び、シェアする人が出てくれば情報ははるか遠くにまで到達する。
「大場で成人式パーティー」を企画する女性グループが出てくるかもしれない。
それはきっと他のメディアも取材する!


報告会では、他に2例が発表された。
島田市の職人衆、和菓子、しょう油、家具、石材、たたみ、お茶などの10人は、次世代の商人(あきんど)マイスターとして、商圏の端っこである焼津市の住宅展示場(「駿河工房」)で実演と展示を行う。
静岡では「おまちバル」ならぬ、<街カル>を行う。
カフェでデジカメやチョークアート教室、古着のリユースショップでカラーコーディネートや収納の教室、フレンチレストランでフランス料理教室、靴屋さんでお茶の教室なんてのまである。
店の空き時間を利用して、店主などがミニカルチャー教室を開くという催し。
個々のお店は専門店。
常連さんでなければ入りにくい。
商店街は、宿命的に(現代の感覚でいえば)“敷居が高い”という問題を抱えている。
でも気づいていない。
外に向かってイベントを打てば、それに気づくことができる。


こういった催しは、行政の補助金をもらわなくても実行できる。
今ならFacebookやツイッターがあるからだ。
他の2例でも上記の手法は十分に使えると思った。
せっかく一歩踏み出したのだから、もっとみんなを巻き込もう



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【筆者から】
このブログの元になっているのはFacebookへの書き込みです。
主にFacebookページ「ジャーナリスト 石川秀樹」に投稿しています。
ミーツ出版(株)という小さな出版社の社長をしています。61歳で行政書士の資格を取り開業しました。さらにこの数年は「ソーシャルメディアを愛する者」としてFacebookで熱く語り続けています。ブログは私の発言のごく一部です。ぜひFacebookページもご覧ください。コメントをいただけたら、こんなにうれしいことはありません。


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