2014年1月25日(土)@東京文化会館
プログラム
J.S.バッハ 平均律クラヴィーア曲集第1巻より第1番
モーツァルト きらきら星変奏曲 ハ長調 K.265
ドビュッシー 月の光 ~ 「ベルガマスク組曲」
ショパン 夜想曲第2番 変ホ長調 作品9の2
フォーレ 夜想曲第4番 変ホ長調 作品36
ドビュッシー 金色の魚 ~ 「映像」第2集
メシアン キガシラコウラウグイス ~ 「鳥のカタログ」第1巻
プーランク 組曲「ナゼルの夜会」
プーランク 主題と変奏
(アンコール)
ショパン ワルツ第6番 変ニ長調 作品64の1
伊藤氏の演奏を聴くのは今回が初めてであるが,意欲的なプログラムにもかかわらず,どれもしっかり曲の個性を引き出したすばらしい演奏だった。ただしメインのプーランクだけは全く噛み合っていなかったように感じる。力みすぎたか,アンコールのショパンがすばらしかっただけに残念だ。指のよく回るピアニストという印象で,時々テンポが速くなってしまうきらいがあるが,決して感傷に偏ることなく,概してバランスのとれた演奏だったと思う。バスの響きやとりわけドビュッシーやメシアンにおける和声表現にセンスの良さを感じた。
今回のプログラムは奇跡的にも私の好きな曲ばかりが揃っているのだが,中でもフォーレの変ホ長調の夜想曲が好きだ。この曲は私が初めてフォーレのピアノ曲と出会うきっかけになった曲だと記憶しているが,今でもこの曲を聴くとドキドキしてしまう。これほど繊細で精妙で美しい曲はなかなかあるまい。
伊藤氏は藤井一興さんに師事されていた方らしい。また機会があればぜひ聴きたい。