久々のブログ更新。
それでいて、ワインがテーマというのは少々気がひけるけれど。

最初に断っておくと、私は美味しい食事を頂く時にワインを楽しむ程度で、毎日欠かさず飲むという事は無い。
大まかに何処の国のどの地方のどの品種が好き、というのはあるけれど、特段詳しいわけでもない。

それでも、ワインには基音と倍音のようなものがあるのはわかる。
いきなりアルコール独特の香りがして、余韻も殆ど無いワイン。
そして土着的で素朴で果実味があり親しみを感じられるワイン。
「これはこれで美味しい」と思って飲んでいると、次の料理に合わせて、今度は別のワイン。
華やかな香り、なめらかで品格が感じられる豊かな味わい…「これはスタインウェイのフルコン登場だな」と、その倍音のような風味に引き込まれてしまう。

ワインは、その香りや風味を表現する時、「蜂蜜」や「果実(桃、グレープフルーツ、林檎など)」や「胡椒」など…様々なものに例えられる。
けれど私はそれとは別に、「ソコロフが弾くラフマニノフのプレリュード23-4のあの部分の響きみたいだなぁ」とか、「プレトニョフが弾くチャイコフスキーの瞑想曲の最初みたい」とか、「アルゲリッチのマズルカみたい」というように、色々なピアニストの演奏のその倍音(響き)を思い浮かべる。
そんなソムリエがいるレストランがあれば、わかり易くて(?)面白いのに…などと思ってしまう。

それはさておき、師匠のところでは、スタインウェイのフルコンから引き出される、品格ある艶やかで豊かな響きを追い求め、その無限の可能性を探求するレッスンが行われる。
ソムリエやソムリエールがワインの微妙な香りや風味を、自分の味覚を頼りに表現するのと同じように、それほどの繊細さ、奥深さで、一つの響きを聴き分け、弾き分けるレッスンが行われる。
倍音のソムリエのように。