今でも不意に思い出す。4年前、妹の結婚披露宴の席で起こったあの出来事を。妹の友人席へ酌をしに行った際、俺は友人の一人と見られるある女性に声を掛けられた。
友「お兄さん、コレですか?」(両の人差し指を目から頬に這わせて泣きのジェスチャー)
俺「いや~、特には」(とっておきのスマイル)
軽く笑いでも起きるかと思ったらなぜかテーブルごとドン引きですよ。局地的ツンドラ気候ですよ。どのようなフォローを試みたかは失念したがいずれにせよ修復は困難な雰囲気でしたよ。もう逃げるようにして自分の巣へ戻りましたよ。
嘘でも泣いたとか寂しいとか答えるべきだったのだろうか。むしろ「一人では立てないほどに泣き崩れましたよ~」ぐらいやっても良かったのだろうか。全員ともに初対面なので額面通りに取られてしまうかもしれないが。けして言ってはならない言葉を俺が口にしてしまったのか、はたまた相手にユーモアが少しだけ不足していたのか。結局どう答えるのが正解だったかは今もわからずにいる。今しばらくお時間を頂きたい。
あれから4年。二人の間に生まれた姪はもうじき2歳を迎え、だいぶ日本語を操れるようになってきた。昨日妹夫婦の新居を訪問した際、羽織っていたYシャツを脱いだところ「あちゅいの?」と聞かれて驚かされた。俺も老けるわけだわ。