可笑しい判決渡航中でも保護費支給自費で支出、減額は適法 最高裁
2008/02/29 12:41
生活保護を受けていながらバンコクに行ったとして、福祉事務所から
渡航期間11日分の生活保護費約3万4000円の減額処分を受けた
大阪市内の男性が、処分取り消しを求めた訴訟の上告審判決が28日、
最高裁
第一小法廷
であった。横尾和子裁判長は、処分取り消しを命じた
2審・大阪高裁判決を破棄し、福祉事務所の処分を適法と認めた。
保護費が減額されることが確定した。争点は、渡航を理由にした
減額処分が適法か否かだった。横尾裁判長は「海外にいても、居住地
が国内にあれば生活保護は受けられる」との初判断を示した。
その一方、男性が自費で渡航費を支出していたことから、
「最低限度の生活維持のための金銭があったことは明らか」
として、保護費を減額するのは適法と判断した。渡航期間の保護費減額は、
厚生労働省
の通達などによるものでないが、全国で画一的に実施されている。
判決は、生活保護行政に影響を与えそうだ。
判決によると、男性は平成13年4月から補助費を支給されていたが、
同年7月、大阪市内の福祉事務所に「6月14日から25日までの11日間、
バンコクで求職活動をした」
として、渡航費とバンコクでの宿泊費約7万1000円の支給を申請。
事務所は男性の申請を却下した上で、「この期間は生活する資産があった」
として、9月の補助費から、この期間分を減額する処分を決定した。
産経新聞 平成20年(2008年)2月29日 金曜日 15版