ごもっくん。を作りはじめて一年が過ぎました。
全20色のバリエーションがあります。
はじめは発色を優先し、関連する工程のパラメータをデザインしていました。一番の特徴を明確に表現したかったからです。
茶系や黄~橙~赤系は、イメージ通りに仕上がっていました。
難しかったのは明るい青でした。塗装と違い、染色は木地の色味の影響をうけやすいので、仕上がりは、思いのほか青から黄へ引かれるのですね。
ようやく縹色に落ち着きましたが、それ以上に鮮やかな青は出せませんでした。下の写真、のちに浅葱の名をあてられるこの色も、イメージより黄へ寄ってしまっています。
染料の色種による木への浸透性の違いも発色に影響を与えます。本来、毛糸や布地を染める製品を、木染めに転用しているので、容易に染まらない場合があります。もちろん、染料を受け容れる側の木地の表面構造も浸透性に影響します。とりわけ顕著だったのは明るい空色を試みたときです。その仕上がりが、これでした。
晴天の願いに、(いしばし「これは!まさに‥」)大曇天返し‥
そう、これが「深川鼠」です。染料メーカーは、様々な色を配合して商品にしています。染液は均一に見えますが、混合溶液です。含まれる呈色化合物それぞれの木地への浸透性、親和性、吸着性が違いますから、染色は、いくつもの種類の呈色化合物をスクリーニングするような状況になっています。作り手にとっての偶然は、自然にとって必然だったんですね。この事態をうけて、「自然に委ねるもの」と、思い至りました。アプローチする色と、受けいれる木の関係で仕上がりの色味が決まります。
仕上がった色をみて、色見本に照らして名をあてるのみ。百鼠と称される多様な鼠色の写真に次々とごもっくん。を載せ、一番馴染んだ見本の右上をみると、「深川鼠」とありました。
深川鼠は、青系の鼠色に属しますから、さもありなん‥
ごもっくん。は、生まれるときから、ゆだねるいきもの。
ろっかく。でした。
♫~