※※ この本を読んで一言 ※※

とにかく驚いた・・というより騙されたという感じです(笑)。

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(注意:この「medium 霊媒探偵城塚翡翠」が気になっていてまだ未読の方は、読んでからこの感想をご覧になった方がいいでしょう。

 前情報がない状態で読んだ方が100倍面白いはずですから!)

 

この作品の遠田志帆さんの表紙は本屋で見かけ、気になっていました。

 

そして何よりこの作品の帯にでかでかと「ミステリランキング5冠」というすごい肩書があるので、絶対に普通ではないと思っていました(笑)。

また作者の相沢沙呼さんの作品を読むのも初めてだったので、ワクワクしながら読み始めました。

 

読み始めてから後半までの印象は、形を変えた倒叙モノ、そして行動が何かにつけてあざとく感じる純真な美少女霊媒師である翡翠のキャラモノだと思っていました。

 

まあミステリとして可もなく不可もなくかな~・・と思っていたら、最終章で翡翠が奇術師兼詐欺師兼名探偵だったと判明!!

読者である私が見事に翡翠の、というより相沢さんの詐術に引っ掛かりました。

 

この作品の世界では霊的なものが存在するものだと思って読んでいたため、翡翠の正体の暴露とともに世界がひっくり返ったといっても過言ではありません(汗)。

 

ミステリとしても最終章のネタバレを読むと、初めから翡翠の行動は全て意味があったのだと分かり、相沢さんの話の構成やアイデアのすごさを思い知らされました。

 

また作中で翡翠の言葉を借りてミステリ小説あるあるを語らせたりするなど、この作品を通して読者に挑戦していて、読んでいて楽しくなります。

 

さてもう一人の主人公の香月ですが、初めから怪しいとは思っており、確証はなかったですが香月=鶴城ではないかと思っていました。

 

香月の描写では常に、”雰囲気的にちょっと怪しい人物なのでは?”と思わせるあたり、相沢さんの筆致のうまさでしょう。

 

そもそも私の中では、「香月」と言えば麻耶雄嵩さんのメルカトル鮎シリーズの香月実朝がまず頭に浮かびます。

 

この作品の香月史郎と同じ小説家ですし、香月実朝も「翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件」でその正体に驚いたことがあるので、香月という名前のキャラクターというだけで、怪しいと疑ってしまいます(笑)。

 

最後には翡翠にサイコ野郎などと散々コケにされて、ただの道化的な役割で終わったのがいささか残念でした。

 

久しぶりに本格ミステリ小説を読み、その面白さを再確認させてくれた作品だったと思います。

そして城塚翡翠の続編があるようなので、それはぜひ読んでみたいです。

 

(個人的評価)

面白さ  ☆☆☆☆☆

登場人物 ☆☆☆☆

トリック ☆☆☆☆☆

騙された ☆☆☆☆☆