〇〇〇〇〇 注意 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

この感想には、「密室殺人ゲーム王手飛車取り」のネタバレが含まれています。

もし「密室殺人ゲーム王手飛車取り」が未読な方は、お気をつけください。

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歌野晶午さんの作品は4作目になります。

密室殺人ゲーム王手飛車取り」は印象深い作品だっただけに、続編の「密室殺人ゲーム2.0」も楽しみにして読み始めました。

 

冒頭から小説の中とはいえ、相変わらず殺人犯たちが身勝手なことを嬉々として話していることにモヤモヤしたものを感じつつも、前回と同じ5人で始まることにバリバリの違和感と?(ハテナマーク)の連続でした。

頭狂人が敢えて前作を意識したような明らかに女性のような話し方にも違和感を感じつつ・・前作より時系列的に前なのかと思いながら読み進めました。

 

そして中盤・・なるほど!私はまたしても歌野さんに騙されました(笑)。オリジナルを模倣した別グループだとは予想できませんでした。

 

「Q1 次は誰が殺しますか?」で殺人ゲームの別グループの存在はヒントだったんだですね。私はてっきりラストで頭狂人のグループと別グループが対決するもんだと思っていました(笑)。

 

不思議なもので、現グループは模倣だとわかると少し格落ち感があり「所詮オリジナルの真似っこ」と言う感じがしてました。

 

前作との対比している部分が多く、またこのパターンかと思う部分もありました。

だったら冒頭の別グループのカレンダーと建物の対応や寄付金額競争の方がはるかにオリジナリティがあります。

 

だからと言って物語としてはとても面白く、頭狂人の「彼女(ではない者)を利用して殺す」や、044APDの自殺はとても驚きました。

 

さてここからいつもの愚にもつかない事を書いていきます。

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この物語の「2.0」は発端となったのは警察からの情報流出ですが、これは現実にあったらひどすぎます。

このせいで殺人ゲームのグループが乱立したでしょうし、殺人グループのせいで無関係な人がゲーム感覚で殺され、そして難解な殺人事件が残る・・警察が忙しくなるのは自業自得ですが、殺された無関係な人が浮かばれません。

 

過去に警察の情報が警察官の自宅のパソコンからWinnyにより流出する事案は現実にあったのですが、今は証拠品としてのデータが警察から持ち出されたり、自分のパソコンに入れて自宅に持ち帰ることはできないと信じたいですけどね。

 

次に前回のラストで頭狂人が仕掛けた爆弾はaXeやザンギャ君にも影響したんですね。

密室殺人ゲーム王手飛車取り」の感想で書きましたが、黙って見ていれば死ぬのは頭狂人だけだったのに・・爆発前に頭狂人を助けようとしたのでしょうか。

 

唯一無傷で生き残った伴道全教授はどうったのでしょうか。他の方の感想で「教授だけはオリジナルかもしれない」とありましたが、それはありそうですね。

今回教授は殺人は犯してないのは、ほとぼりが冷めるまで自粛しているからなのかもしれないと思います。

 

それともラストの「Q? そして扉が開かれた」の18歳の女性が教授なのでしょうか。

 

3つ目は巻末の解説で前作のタイトルである「王手飛車取り」の意味を説明をしており、私の疑問に答えてくれていました。

 

ミステリー小説において犯人当てが「王将」でトリックや殺害方法が「飛車」や「角」で、殺人ゲームでは「王将」が最初から判明しているから、「飛車」や「角」を取りに行く・・なるほどと目からウロコでした。

 

最後にこの殺人ゲームはあくまで小説の中であり、現実には存在していない!と言い切れるのでしょうか・・と思います。

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さて歌野さんの作品はまだ未読も多いので、これからどんな作品に出会えるのか楽しみです。

 

(個人的評価)

面白さ  ☆☆☆

驚き   ☆☆☆☆

登場人物 ☆☆☆

狂気度  ☆☆☆