※※※※※※ 注意 ※※※※※
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このシリーズの特徴である、本体とアーヴァタールの設定は前作でだいたい理解したつもりでしたが、だまされましたね。
マリー=くらら、クララ=(地球の)ドロッセルマイヤー、ドロッセルマイヤー=新藤礼都は分かりませんでした。
スキュデリは徳さんというのは予想が当たりましたが、そもそも徳さんの登場が唐突でなんだろうと思ったものですが、作者の小林泰三さんの別作品のキャラクターだったんですね。
正直、スキュデリのトリックの説明のところは長いし、私のように読み飛ばす人間には理解が追いつかないです。
ただスキュデリの犯人を当てる根拠はちょっとした発言の齟齬だったな~という印象です。
この作品は前作と比べグロさは少なめですが、若い女の子に容赦なく酷い死に方をさせるのは健在です。
串刺しになり口からトゲが飛び出すとか「土左衛門」のような溺死体・・「アリス殺し」の感想でも書きましたが、この作品もとても映像化やアニメ化はできないでしょう(笑)。もし映像化したら、テレビ放映ではキツめのモザイクがかかるか、そのシーンはカットですね。
読み終わってからあとがきで知ったのですが、この作品はホフマンと言う作家の「くるみ割り人形と鼠の王様」「黄金の壺」「砂男」「マドモワゼル・ド・スキュデリ」をモチーフにしていたんですね。
私はクララは「アルプスの少女ハイジ」が元ネタと思っていましたが違ったようです(笑)。
あと他の方の感想を読んで小林さんの別作品で徳さん、新藤、諸星がいることを知りました。
そして本体のエターナエルが死んで諸星も飛行機事故で死んだのに生き返ったとき、例外として処理される理由がさっぱり分からなかったんですが、別作品が関係していることを知り納得しました。
「クララ殺し」はちょっとしたオールスター作品ですね。
なお物語のホフマン宇宙も地球も「赤い王様」の夢なんでしょうか?
「アリス殺し」のラストで世界が崩壊しました。それなのにビルが死んだのは「なんだか。4度目な気もするんだけどね」と答えていたり、「今回は違う展開」と言ったり、ラストの合言葉はアリス殺しで決めたものなので、時系列的にアリス殺しの後の世界がクララ殺しの地球とホフマン宇宙・・とするとこの作品は「赤い王」の夢の続きと言えそうです。
しかし「世界はがらりと変わった」というのは、井森が不思議の国に戻った事なのでしょうか・・謎です。
ここからどうでもいいツッコミです。
「死んでしまうとは情けない」というセリフをさり気なくぶっ込んできました。小林さんはドラゴンクエストをやっていたのでしょう。
そもそもこのセリフは生き返ることが前提の世界でなければ成り立たないので、ファンタジーの世界でなければ使いどころがないですよね。
それから大学教授に恨みでもあるのか、小林さんは大学教授をとことん意地悪く書きますね。これも「アリス殺し」から続く伝統ですね。
さてこの作品の続編の「ドロシイ殺し」があるようなのでそのうちそれも読んでみます。
(個人的評価)
面白さ ☆☆☆
登場人物 ☆☆☆☆
トリック ☆☆☆
世界観 ☆☆☆☆☆