そしてこの作品では昭和時代の歌謡曲の歌詞に見立てた殺人事件の話ですが・・
この作品の歌謡曲と見立て殺人のこじつけ方や、解決後のマグレ警部の真相解明の理由付けが宇宙人の仕業、超能力のでやった、ドッペルゲンガーが出てきたとか、あまりにも意味不明すぎてとにかくこじつけがすごい!
よくこんなことを思いつくなと感心します。
そして短編の連続で内容がパターン化されているにも関わらず、意外と飽きることもなく最後まで読むことができました。
パターン化されているために、各章のタイトルにもなっている歌の歌詞と登場人物と名前や事件の状況などから犯人は誰か、トリックは何かを当てるのは比較的容易・・かと思い挑戦しましたが一つも分かりませんでした(笑)。
間暮警部はなかなか不思議なキャラですね。あまりにもKYすぎるせいなのでしょうか嫌悪感はない面白キャラです。
事件捜査と言っても歌を歌って「犯人はこの中にいる」「逃げたらあなたが犯人だ」と言っただけで、犯行の理由やトリックに関しての言及は一切してませんからね。
マグレ当たりなのか真相を分かっていたのかはっきりしませんが、歌と殺人の状況にシンクロニシティがあり、間暮警部が殺人事件に合った歌を選んで歌うのはやっぱり真相が分かっていたのかも・・と思わせます。
実際の殺人トリックはひかるが推理するので、一応ミステリー小説としての体を為しているのがまた面白いです。
小林も面白いですね。
狂言回しの役割で、ある意味間暮警部のツッコミ役であり、名探偵(?)のひかるの相棒役であり男としてスペックが高くなく、一般男性に近い立場なので親近感がわきます。
なお小林のセリフ「 」の外にセルフツッコミのオンパレードでしたが、「小林少年」のキャラのせいかまあしょうがないかと不思議と許せる気になりました。
歌に関しては私の知っているものから知らないものまであるのですが、歌詞に関してもこれまたよくこんなことを思いつくなの連続です。
ひかるの「愛してる。空に太陽があるかぎり。ということは、夜はもう愛していないのかしら?」のセリフには目からウロコです。
「空に太陽があるかぎり」の歌でそんなことは考えたこともなかったです。
言われてみれば昼の間だけ君を愛していて、夜には別の誰かを愛していても、歌詞としてはウソはついていないですからね(笑)。
「さよならをするために」の歌詞の冒頭の「過ぎた日の微笑みを」に登場人物の名前を当てはめていたのには思わずズッコケそうになります(笑)。
保々江という明らかに何かの見立てに関係のありそうな苗字の人物が出たときに、絶対何かあると思っていましたが、まさか他の登場人物と合わせて来るとは・・気がつきませんでした。
鯨さんの作品を2つ読みましたが、共通点として「邪馬台国は・・」の宮田教授、そしてこの作品においては退職した敏腕刑事の大川が何の役にも立っていない(笑)。ベテランなのでオブザーバーの立場でいるのは分かりますが、宮田と大川ともに優秀さのかけらも感じさせないのが面白いです。
間暮警部シリーズはあと2作あるのでそのうち読んでみたいと思います。
(個人的評価)
面白さ ☆☆☆
登場人物 ☆☆☆☆
トリック ☆☆
小林少年 ☆☆☆