そして「からくさ」はすぐに分かりました。
その後も絶対何か隠されていると分かってはいたのに・・結局見つけられませんでした。
「絵」と「刻」と「空間」と「虚無」・・この作品も無駄に労力がかかっているようです(笑)。
そして表紙の折り返しの作者の言葉の中のLの字に配置された「館は美術館」や裏表紙の折り返しの著者近影に至っては、それこそ誰にも気づかれない壮大な空振りだと思いますが・・。
しかしそれが倉阪さんのバカミスの面白さですね。
叙述トリックにも見事にだまされました。
「密室」とか「空間」と言う美術品の作品名をさらりと物語の中に書かれると、どうしても“状況としての密室”や“広がりを持つ空間”を連想してしまいますからね。
ストーリー的には犯人を多重人格にしたり、心臓の悪い被害者をいかに発作を起こさせて殺すかなど、ミステリー小説にケンカを売っているようなシチュエーションが多数出てきて笑えます。
しかし私のようなライトなミステリー読みには、この作品はあまりに詰め込まれすぎていて全てを理解する事はできません。
もっとも過剰とも思える詰め込みや演出などを含めこの1冊が“アート”なんでしょうが。
そして最も重要な事は・・
この作品の前に「三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人」を読んでいるので、謎が分かった後は、どうしても類似点(二つの館の構造、殺人の話は作中作だった、規則的な文字の配置など)が目に付くので、作品に対しての驚きが少なくなってしまうのが残念でした。
面白い作品なんですけどね!
これが私が読む倉阪さんのバカミスの1冊目だったら評価も変わった事でしょう。
(個人的評価)
バカバカしさ ☆☆☆☆☆
笑える度 ☆
労力のかけ方 ☆☆☆☆☆
驚き ☆☆