東海遠征二日目は本宮山に登ります。
三河国一宮である本宮神社の御利益を授かってこようというコンセプト。
ここも山頂まで車道が通じている山ですが、もちろん下から歩いていきます。
それでは、行ってみましょう!
本宮山麓にあるウォーキングセンターをスタート。
トイレの利用もできるので登山の拠点に便利な施設だ。
鳥居をくぐると参道が始まる。
本宮神社詣で、スタート!
「行くぜ!」
参道は最初はなだらかで平坦だ。
そのためだろうか、トレランの人がやたら多い。
ゆっくり歩く我々を颯爽と追い抜いていく。
道の脇に「鶯峠」との標識があった。
なだらかすぎて「峠」と言われてもピンとこない。
なんてことのない坂にもいちいち呼び名が設定されているのが参道らしい。
「野猿坂? 猿がいるっぺか?」
「よくわからんけど、野生動物に注意っていう看板は見た」
のんびり歩いているといつの間にか林道出合までやってきた。
山頂までの水平距離としてはここで半分なのだが、標高的にはまだ4分の1も登っていない。
「マジ?」
林道を過ぎると道は角度を増して本格的な登山道となった。
この豹変っぷりよ。
そりゃそうだよね。
いつまでもあんなに緩い坂だったらいつまでたっても山頂に着かないもの。
先送りした課題は、後で必ず片付けなければいけないのはこの世の理だ。
「また大げさな…」
「わいはこういうところのほうが好き♪」
「わいは急な登りは苦手…」
はしご岩(…だったかな?)の峻険な斜面を登りきると東屋のある休憩所に到着する。
「一休みするっぺ」
ここはちょっとした展望所になっていて麓の平野が見渡せる。
土地勘がないので、何が見えているのかはよくわからないが…。
ここまでもいくつかの鳥居をくぐってきたが、この先はいよいよ砥鹿神社の御神域とのこと。
心して登らねばなるまい。
「神社の境内で転ぶと呪われるらしいからね」
「それ、お墓で転ぶと…じゃなかったっぺか」
どこからか水音がするなと思ったら手水が設置してあった。
いよいよ奥宮も近いということか。
心身を清めて、いざ!
「まだ先があるっぺよ」
「あれ?」
「おや~?」
「また鳥居があったっぺ」
「せっかく手を洗ってきたのに、また汗だくになっちゃったじゃないのよ」
ずいぶんと広大な「境内」だ。
さすが三河一宮!
何かお社が見えてきた。
いよいよ奥宮か!と思ったが荒羽々気神社という別の神社だった。
「東海唯一健歩健脚の守護神って書いてあるっペ」
「なぬ、それはよーくよーく拝んでおかなくては!」
山の奥に行けば行くほど立派になる不思議な道。
普通は奥に行くほどに細く険しくなるものだ。
その原因は山頂まで通じた車道だろう。
参道の終点にある奥宮だが、裏口方向にあたる車道側から訪れる人のほうが圧倒的に多い。
「いきなり人がいっぱいいるっぺ」
「車で来た人だろうね」
奥宮の近くには「富士山遥拝所」という場所がある。
ん~?
富士山なんて見えないぞ。
天気のせいなのか生い茂った木のせいなのかはわからないが富士山を拝むことはできなかった。
この他にも◯◯遥拝所というのが境内あちこちにある。
ここに来ればあちこちの山なり神社なりに行ったのと同じご利益がありますよ~ということらしい。
シャクナゲが咲いていた。
「もう初夏だっぺねぇ」
「さすが東海、東北とは季節の進み方が違うね」
スミレ!
「花はシャクナゲとスミレくらいだったっぺ」
奥宮境内には自販機もあるし、キッチンカーでコーヒーも売っている。
参道の途中よりも山頂付近に至って、かえって俗っぽい雰囲気になった。
「車でも来れると思うと、ちょっとがっかりするっぺよね」
「真面目?に徒歩で来たんだからご利益多めと思っておこうよ」
「本宮山、登ったどー!」
本宮山の山頂は芝生と林立するアンテナが特徴的。
奥宮の厳かさとは全く違う現代的な世界が広がっていた。
三角点タッチ!
一等三角点だ。
三角点よりも希少な天測点もあった!
一等三角点が全国に973点あるのに対して、この天測点は48点しかないのだ。
「一昨年登った岩手県の男和佐羅比山と、去年登った茨城県の高鈴山に続いて3つ目の天測点だよ!」
「…なにに興奮しているのか、さっぱりわからん」
眺めいいもんね。
そりゃ観測するに良いはずだよ。
「それには同意」
さて、帰りますか。
下りは階段の連続が意外と足に堪えた。
同じ場所の筋肉ばかりを使うことになるから…のようだ。
たまに意識してステップを変えてみるのも階段疲れ予防法になるかも。
「転けそう」
行きで見逃した「巨大な山姥の足跡」を発見。
どこが巨大?っていう感じの大きさだが、なんとこれ、山姥が本宮山と石巻山を跨いで豊川で顔を洗った時の足跡なんだそうだ。
地図で位置関係を調べてみてほしい。
巨大っていうか…ものすごーく細長い手足を持った山姥のように思えるのだが…。
ちなみにこの足跡、登りの時に踏むと力が湧き、帰りの下りで踏み忘れると力が萎えてしまうそうな。
「帰りだけ踏んだ場合は?」
「試してごらんよ」
下りの岩場は転倒注意。
意外な険しさで初心者ハイカーを苦しめていた。
見ているこちらが怖くなるような危なっかしい歩き方をしている人がいたが…彼らは無事に下山できただろうか。
とりあえず、我々は無事下山!
「お疲れさまでした!」
初めて登った本宮山ですが、前半あまりにも緩やかな道が続き、軽装の人ばかりだったので道を間違えたかと思ったほどでした。
後半は楽しいと感じられる程度の岩場もあり、登山らしくなっていきます。
幽幻な神社の境内から眺めの良い山頂まで、景色にも変化があり老若男女みんなが楽しめる山だと思います。
車で参拝する人が大半のようですが、ぜひ一度は参道を下から歩いてみてほしいですね。
願いにかける気持ちも違ってくると思うのです。
おしまい
詳しいルートなどについてはヤマレコにて