内で騒然となったメアリー事件は
瞬く間に話題となり
そのお陰で入社間もない私に
気軽に声をかけてもらえる存在になった。

本物の現場を撮影。右端の壁の向こうが霊安室。

あの事件から
日にち薬の様に怖さが和らいでいたが
いつもの様に坂道を
ハザードランプを点灯しながら
バックで入庫すると
点滅のタイミングが
私の鼓動と時折シンクロし、
怯えている心が
病院の壁に
投影されている様だった。

証番号を押して
商品を乗せた台車と共に院内に入ると
病院ならではの投薬の匂いが鼻をついた。
あの出来事以来、
院内の空気の流れや物音、
影までが神経質になってはいたが
1週間程、平穏無事な日々が続いた。

の日も納品を終え
教官であるM先輩と雑談をしながら
台車を押していたが
尿意を催していた私は
廊下の中程にあるトイレに
一人、用を足しに向かった。


画像が現場の様子。右の奥が問題のトイレ。

M先輩はそそくさと
一人台車を押してトラックへ
戻ってしまった。
私は尿を絞り出すと
隣の便器のフタが突然上がった。
1回、2回、3回。
センサー付きのフタの開閉は
やや早めの設定だったが
辛抱していた小便が長かった為、
あまり気にせずその場を終えた。
次の日も同じ様に納品を終えた私は
先輩に一言を残しトイレに向かった。
すると、その日は
大便器のセンサーも
全く反応せず
静寂の中で私の尿の音だけが
ジャワジャワ響いた。

“まてよ、小便をしていて
隣の大便器のフタがセンサーで開くって
おかしくないかい?”

用を終えた私はそう思い
センサーをわざと反応させる為に
大便器の方に一歩足を入れてみると
そこにあったのは
ウォッシュ機能さえ無い
昔ながらの洋式の便座だった。

、すると昨日のフタの開閉は?

頭皮から身体中の鳥肌が一気に立ち
少し残尿感のある小便が
パンツに染み出す位、怖くなった。

昨日の夜は
俺の横に居たんだ!

この事実は
読んでもらったあなただけに報告する。
職場には誰にも言ってはいない。