遂にモンスターと再会した。






18歳、東京の某予備校の寮で出会った。
C棟の110号室に住んでいた群馬出身の男。


俺の部屋は111号室で角部屋で
唯一のお隣さんがコイツだったのだ。




18歳と言えば、やんちゃ盛りのはずなのだが
上京して寮に入った初日、同じく寮に入った
高校の同級生、まっさんが部屋で談笑していると



「コンコン!」と控えめにドアがノックされ



「あっ、すみません・・・隣の部屋の

 ●●(ヨシアキの苗字)と申します。

 これ、つまんないもんですけど・・・。」


と、丁寧に礼儀正しく、少し気取った感じで
まるで引越しそばを配るようにタオル?雑巾?
(よく覚えてない。本当につまんないもんだったから)
を渡してきた肌のあさ黒い
ひねくれたアンパンマンのような男。



それがヨシアキだった。





「明治大学に行って●●先生の講義が受けたいんだよ。」


「考古学をやりたいんだ。」


「石●君達は間違ってるよ!」


「俺は~~が大嫌いなんだよ!」




仲良くなると



・自分の夢
・人に対する説教
・自分の好き嫌い



で自己主張をしてくる男。




最初のうちは実際に有言実行で
他者を寄せ付けない生真面目オーラを出し
朝の四時くらいまで勉強をしていた。



しかし、エラソーなことを言う割には
遊びに免疫がなく、孤独な浪人生活の慰みに・・・
と手を出した麻雀、パチンコ、タバコに
あっという間にハマってしまい
連日連夜、徹マン、パチンコに興じ
それ以外はひたすら寝る、という
転落っぷりを見せ続けるヨシアキ。




「人は~でなければならない!」

「人は~であるべきだ!」




という教科書に出てくるような
青臭い理想は常に掲げており
相反する(と、こいつが勝手に決め付けた)人間は
徹底的に攻撃する唯我独尊男。




長い前フリだったが、そういうヨシアキが
所用で俺の地元にやってきたのだ。




「西日本は初めてだろ?」



「うん、大阪まではあるけどね。」



何気ない会話だが
偏見に満ち溢れたこいつが

19歳くらいの時に
「西日本って山の形が変じゃない?」
と、屈託なく差別的な発言をしたのを
思い出していた俺。



大阪=お笑い
広島=ヤク●
東京=何でも中心



というのがコイツの持論だったはずだ。




「久しぶりだな。」


「いや~、俺は石●くんのブログ読んでるからさ~
 久しぶりって感じしないんだよね~




続く・・・