高校生の時の俺は
今と変わらず、人見知りだが社交的という
やや分裂症気味のガキだった。
底意地も悪く、弱い者イジメも大得意で
悪口とイタズラをこよなく愛す嫌な奴。
俺を知っている女子達からアンケートを取れば
まぁ「嫌いな男子ベスト3」には入っていただろう。
類は友を呼ぶもので
俺の友達といえばほぼ全員が
どこかやや壊れていたように思う。
今このブログを読んでいる旧友達に否定はさせない。
そう、君達も十分、歪んでいたのだ。
そんなことはいいのだが
毎日、バカなことを言い合っては無邪気に笑い
受験勉強もそっちのけでツウの家で麻雀に興じていた俺たち。
「俺のことを好きな女を集めて、歌を聞かせたい」
という誇大妄想狂のまっさんはギターを掻き鳴らし
「将来は海賊になりたい」という夢を語っていた
現在、公務員のリョー。
ロックを愛し「アナーキー」や「頭脳警察」など
俺のさっぱりわからない音楽にハマっていた田村(現:警察官)
それぞれが数々のエピソードを持つ
変人ではあるが、実は俺にはずっと心に秘めていた話がある。
いつものように授業が終わり、速攻帰宅をする俺。
普段であれば他のクラスにいたツウやまっさん、ザコなどと
一緒に帰るのだが、その時はなぜか一人でチャリンコをぶっ飛ばしていた。
前方を見ると同じクラスの原がいた。
たいして仲良くもないが
二言、三言は会話する同級生。
クラスでも地味な部類に属し、当時、俺の交友範囲にはいない奴。
普段なら無視して追い抜き
そのままツウの家に急ぐのだが
一人寂しく帰る原の姿になぜか話しかけてしまった。
「おう、原!」
「あぁ・・・!」
そのままチャリンコを並べて走る。
最初は会話も「お前、どこまで帰るん?」とかそんな感じだったと思う。
原も多少、ユーモアを解する奴だったので
俺もお得意の毒舌でクラスのブスの話なんぞをサービスし
奴もそれに合わせて、何だか友達のようになっていた。
そんな四方山話の途中、
いきなり原が言った。
「俺、元々この土地の人間じゃないんよ。」
「へッ?」
「俺、こっちに引っ越してきたんよ。」
僻地でほとんどの人間は土着民
だから知り合いの知り合いは誰かのツレ、
ってな俺たちの地元ゆえに
他の地域から来た奴っていうのは少しだけ興味の対象だ。
しかし、原がそうだったとは意外だ。
全国的に見れば誰も知らないクソみたいな町だが
当時は井の中の蛙で、世界の中心は府中にあり!と
結構マジで信じていた俺の目に原が急に異邦人のように見えてきた。
他の土地ならではの風習を聞きだし
ツウや他の無知な人間に講釈するネタができたと多少喜ぶ。
地味な原でも役に立つもんだ。
「ふ~ん、・・・でッ、何でこっちに来たん?」
興味シンシンだ。
何かおもろいコト言えよ。
原は答えた。
「俺の父親、病気であんまり長くないんよ。
だから最後は故郷で死にたい、っていうので来た。」
おみそれしました。<(_ _)>
お調子モンで、おちゃらけたテンションで話を聞いていた俺は
その内容のヘビーさに、何とも言えない気持ちになった。
「人にはそれぞれの地獄がある」
後年、何かの小説で見つけたフレーズだ。
自分の悩みこそが世界の悩み
世界は俺のためにある、とさえ思っていた俺にとっては
この不意打ちにも似た原の「身の上話」は効いた・・・。
地味キャラだと思っていた同級生の原。
もうぼやけてしまったその時の表情と共に
奴のオヤジはどうなったのか、
そんなことをフト考える今年33歳の俺。
色んな出来事を立ち止まってゆっくり考えたいなぁ、と思う今日この頃です。
今と変わらず、人見知りだが社交的という
やや分裂症気味のガキだった。
底意地も悪く、弱い者イジメも大得意で
悪口とイタズラをこよなく愛す嫌な奴。
俺を知っている女子達からアンケートを取れば
まぁ「嫌いな男子ベスト3」には入っていただろう。
類は友を呼ぶもので
俺の友達といえばほぼ全員が
どこかやや壊れていたように思う。
今このブログを読んでいる旧友達に否定はさせない。
そう、君達も十分、歪んでいたのだ。
そんなことはいいのだが
毎日、バカなことを言い合っては無邪気に笑い
受験勉強もそっちのけでツウの家で麻雀に興じていた俺たち。
「俺のことを好きな女を集めて、歌を聞かせたい」
という誇大妄想狂のまっさんはギターを掻き鳴らし
「将来は海賊になりたい」という夢を語っていた
現在、公務員のリョー。
ロックを愛し「アナーキー」や「頭脳警察」など
俺のさっぱりわからない音楽にハマっていた田村(現:警察官)
それぞれが数々のエピソードを持つ
変人ではあるが、実は俺にはずっと心に秘めていた話がある。
いつものように授業が終わり、速攻帰宅をする俺。
普段であれば他のクラスにいたツウやまっさん、ザコなどと
一緒に帰るのだが、その時はなぜか一人でチャリンコをぶっ飛ばしていた。
前方を見ると同じクラスの原がいた。
たいして仲良くもないが
二言、三言は会話する同級生。
クラスでも地味な部類に属し、当時、俺の交友範囲にはいない奴。
普段なら無視して追い抜き
そのままツウの家に急ぐのだが
一人寂しく帰る原の姿になぜか話しかけてしまった。
「おう、原!」
「あぁ・・・!」
そのままチャリンコを並べて走る。
最初は会話も「お前、どこまで帰るん?」とかそんな感じだったと思う。
原も多少、ユーモアを解する奴だったので
俺もお得意の毒舌でクラスのブスの話なんぞをサービスし
奴もそれに合わせて、何だか友達のようになっていた。
そんな四方山話の途中、
いきなり原が言った。
「俺、元々この土地の人間じゃないんよ。」
「へッ?」
「俺、こっちに引っ越してきたんよ。」
僻地でほとんどの人間は土着民
だから知り合いの知り合いは誰かのツレ、
ってな俺たちの地元ゆえに
他の地域から来た奴っていうのは少しだけ興味の対象だ。
しかし、原がそうだったとは意外だ。
全国的に見れば誰も知らないクソみたいな町だが
当時は井の中の蛙で、世界の中心は府中にあり!と
結構マジで信じていた俺の目に原が急に異邦人のように見えてきた。
他の土地ならではの風習を聞きだし
ツウや他の無知な人間に講釈するネタができたと多少喜ぶ。
地味な原でも役に立つもんだ。
「ふ~ん、・・・でッ、何でこっちに来たん?」
興味シンシンだ。
何かおもろいコト言えよ。
原は答えた。
「俺の父親、病気であんまり長くないんよ。
だから最後は故郷で死にたい、っていうので来た。」
おみそれしました。<(_ _)>
お調子モンで、おちゃらけたテンションで話を聞いていた俺は
その内容のヘビーさに、何とも言えない気持ちになった。
「人にはそれぞれの地獄がある」
後年、何かの小説で見つけたフレーズだ。
自分の悩みこそが世界の悩み
世界は俺のためにある、とさえ思っていた俺にとっては
この不意打ちにも似た原の「身の上話」は効いた・・・。
地味キャラだと思っていた同級生の原。
もうぼやけてしまったその時の表情と共に
奴のオヤジはどうなったのか、
そんなことをフト考える今年33歳の俺。
色んな出来事を立ち止まってゆっくり考えたいなぁ、と思う今日この頃です。