因果応報(いんがおうほう) 
仏教用語。善悪の因縁に応じて吉凶禍福の果報を受けること。
善因には富楽などの善果を受け、悪因には貧苦などの悪果を受けること。
出典:「法華経」


調子にのって人に迷惑をかけまくっていたバカが
その後みるみる転落していく様を数限りなく見てきた32年間。


自分がしでかした数々の悪行に身をもって
それを学んでいる俺であるが、それを象徴する出来事があった。


たいして頭は良くなかったが高望みをして
現役で受かった大学を蹴り浪人していたストイックな俺。


出来は俺よりも良かったが悔いの残らないほど
遊びまくった結果、広島の予備校の寮で浪人していたツウ。


頭も大して良くない上に地元志向が強かった為
偏差値に惑わされることなく着実に地元の大学に入ったザコ。


三者三様のバックグラウンドがあったが
とにかく浪人生2名と大学生1名で麻雀をしていた
19歳の夏休み、場所はザコの実家。
あとはまっさんと真吾がいたような。


どうでもいいけど、家から大学までは通えるくせに
賃貸マンションに住み、車も買ってもらい彼女までいた当時のザコ。
みーんな「不幸になぁれ!」って念じてたんだ。お前のこと。


密度の濃い東京での男だらけの浪人生活。
地元に帰って高校時代のツレと卓を囲む。
それなりに楽しい時間だった。
予備校の寮ではストレスが溜まりまくってたから。

どれくらいストレスかと言うと
東京の寮に帰る途中の中央線の御茶ノ水駅のあたりで
「もう少ししたら寮に帰るんだ」と
思った瞬間に胃に激痛が走ってうずくまってしまったくらい。


そんなこんなで楽しい夜は更けていき
あっという間に深夜になった。

ザコん家は俺やツウの地元から離れたところにあり
歩いて帰るのはまず無理で、自転車でも結構な距離があった。

その日は迎えに来てもらったか、別のツレにザコの家まで
送ってもらったか、でとにかく俺たちに帰る交通手段はなかった。
でもザコは車を持っていたし、どうせ車で自宅まで送ってくれるさ
と、たかをくくっていたが甘かった。

「明日、朝早くから彼女とデートなので車を出したくない。」
「自分たちで何とかして帰れ」



勝負事に滅法弱く、のっぺりした顔に丸いメガネ
中国人風のルックスで「華僑」とあだ名されていたザコは
ゆるーい大学生活のせいで頭の芯までダメな奴に成り下がっていた。


高校時代の放課後
自転車通学のザコのチャリを隠したり
ウィリーした格好で放置したりと
散々可愛がってやっていた俺たちによくもそんな口が聞けたもんだ。


ブツブツ言いながら夜の街に出る。
バスや電車などの交通機関は完全にアウト。
タクシーに乗る金もない、どうしよう。


「チャリ、パクって帰ろうか?」
ツウか、万引き王まっさんが言ったように記憶する。


心の中では「止めとけ!それは窃盗だ」
と、刹那的な若者たちの暴走を止めるべく注意したが、
身体は自転車の前輪にあるカギを
ぶっ壊す為に石をガンガン叩きつけていた。



何とか乗れる状態にし、
ツウと2ケツでフラフラと家路を急ぐ。
チャリは犯行の足がつかないように
自分の家から離れた場所に乗り捨てた。


次の日、ダラダラ寝て起きたら
オヤジが何やら怒り狂っていた。


「○○××!!!!」



えっ!?なに?



「ニチイに停めとったワシの自転車
 誰かが盗みゃがったぁぁぁ!!!!!」



俺が誰かの自転車を盗んだ次の日
オヤジのチャリが盗まれた。


悪さをしたら罰が当たる。
因果応報を肌で知った夏。





そこで神様に質問!
4月1日の件ですが、俺、何か悪いことしましたか?
答えて(T_T)