前略、玉○様
あなたも良くご存知の、あの男からのメールです。
『キャ~ 恥ずかしい。
見ましたよ。
もっと悪事を披露しましょうか。
そしたらもっと載れるのかな~』
調子にのって
俺のPCにコメントを送ってきては
ブログにてこうして毎回晒されてるのに懲りない男だ。
もしかして俺が加筆修正をして
おもしろくしているんじゃないかと
思われる向きがあるかも知れないが
毎回、純度100%のヨッシーからのメールだ。
俺も自己顕示欲はそれなりにあるが
この男のそれも相当なものだと思う。
もっとも悪事を暴露すると言っても
元来、気のいい九州男児ヨッシーのことだから
親に黙って買い喰いした、とか
タバコをポイ捨てしたとか、その程度だろう。
俺のした悪事に比べたら可愛いもんだ。
俺が今でも後悔しているイラズラ。
ここに告白しよう・・・
中学生の時
退屈を持て余していた俺たちは
何かと刺激を求めていた。
金がある訳でもない。
彼女がいるわけでもない。
草野球、TVゲーム、ホラー映画鑑賞
音楽鑑賞 万引き 川に泳ぎに行く モデルガンで人を撃つ。
そんな遊びをローテーションで回していた日々。
そんな時、「イタズラ電話」の楽しさに気が付いた。
適当な番号にランダムに電話をかけ
「はいっ、もしもし・・」に
「バーカ」とか「ハゲッ!」と言っては切る。
時には無言電話、時にはTV番組を装って俺たちは
ヒマさえあればイタズラ電話をかけまくっていた。
あっけにとられる相手の顔を想像するだけで
たっぷり半日は笑う事が出来た。
また電話の向こうで「ボケェー!」
という怒鳴り声を出す相手には
特に興味をそそられ、しつこく電話しては
その会話をテープに録音し
みんなで聞いて笑い転げていた。
俺たちは全員、
どこにでもいる平凡な中学生だった。
ヤンキーでもなく、真面目でもない中途半端なガキ。
恐い先輩や同級生には心底ビビリ
テストの点数に一喜一憂し
好きな女子に思いを寄せながらもつい悪口を言ってしまうような
小心者な中学生。
「電話をかける」という行為自体に
大人の世界を感じ、それを歪んだ形で実践。
今から思えば、何者でもない俺たちは
自分たちの存在証明の場を求め
イタズラ電話をするという行為で
社会に自分たちの居場所を確認したかったのかも知れない。
しかしそんなことは
一方的にイタ電をかけられた方には全く関係ないことである。
不愉快極まりない時間を過されたと思う。
当時、明らかに中学生の声でのイタ電を受けた方
本当にごめんなさいm(__)m
すべてサコッペがやりました。
俺がイタ電を辞めたのはある一本の電話が原因だった。
いつものように無言電話をするべくテキトーにプッシュボタンを押す。
「はいっ、もしもし・・・」
5歳くらいの男のコの声だ。
面白い展開は期待できないな、こりゃ。
しかし黙って聞いてみよう。
「もしもし・・」
「・・・・」
「もしもーし」
「・・・・」
切ってしまおうか・・・。
その直後、俺は思いがけないリアクションに遭遇した。
急に声を潜めて5歳児は言った。
「・・・お母さんっ?」
「お母さんじゃろ?」
母親からの電話と勘違いしたその声には
五歳児とは思えない切迫感があり
待ちわびていた人からの電話がやっとかかってきたような
かすかな喜びのようなものまで内包していた。
はっきり言って動揺した。
瞬間、「何かの事情で母親が蒸発して
仕事で不在がちな父親と祖父母、
そしてまだ赤ん坊の妹に囲まれた幸薄い」家庭が俺の脳裏に浮かんだ。
そんな悲惨な家庭に、そんな年端のいかない子供に
俺は・・・おれは・・・
電話を切り、しばらく激しい自己嫌悪に襲われた。
今でもあの時の気持ちを覚えている。
しかしそれに懲りるくらいの殊勝な性格であれば
へっぽこメガネなんて書いていない。
その後は不特定多数に対するイタ電は止めたものの
リアクションの最高におもしろい同級生の家には
みんなで電話をかけまくっていた。
おしまい。

あなたも良くご存知の、あの男からのメールです。
『キャ~ 恥ずかしい。
見ましたよ。
もっと悪事を披露しましょうか。
そしたらもっと載れるのかな~』
調子にのって
俺のPCにコメントを送ってきては
ブログにてこうして毎回晒されてるのに懲りない男だ。
もしかして俺が加筆修正をして
おもしろくしているんじゃないかと
思われる向きがあるかも知れないが
毎回、純度100%のヨッシーからのメールだ。
俺も自己顕示欲はそれなりにあるが
この男のそれも相当なものだと思う。
もっとも悪事を暴露すると言っても
元来、気のいい九州男児ヨッシーのことだから
親に黙って買い喰いした、とか
タバコをポイ捨てしたとか、その程度だろう。
俺のした悪事に比べたら可愛いもんだ。
俺が今でも後悔しているイラズラ。
ここに告白しよう・・・
中学生の時
退屈を持て余していた俺たちは
何かと刺激を求めていた。
金がある訳でもない。
彼女がいるわけでもない。
草野球、TVゲーム、ホラー映画鑑賞
音楽鑑賞 万引き 川に泳ぎに行く モデルガンで人を撃つ。
そんな遊びをローテーションで回していた日々。
そんな時、「イタズラ電話」の楽しさに気が付いた。
適当な番号にランダムに電話をかけ
「はいっ、もしもし・・」に
「バーカ」とか「ハゲッ!」と言っては切る。
時には無言電話、時にはTV番組を装って俺たちは
ヒマさえあればイタズラ電話をかけまくっていた。
あっけにとられる相手の顔を想像するだけで
たっぷり半日は笑う事が出来た。
また電話の向こうで「ボケェー!」
という怒鳴り声を出す相手には
特に興味をそそられ、しつこく電話しては
その会話をテープに録音し
みんなで聞いて笑い転げていた。
俺たちは全員、
どこにでもいる平凡な中学生だった。
ヤンキーでもなく、真面目でもない中途半端なガキ。
恐い先輩や同級生には心底ビビリ
テストの点数に一喜一憂し
好きな女子に思いを寄せながらもつい悪口を言ってしまうような
小心者な中学生。
「電話をかける」という行為自体に
大人の世界を感じ、それを歪んだ形で実践。
今から思えば、何者でもない俺たちは
自分たちの存在証明の場を求め
イタズラ電話をするという行為で
社会に自分たちの居場所を確認したかったのかも知れない。
しかしそんなことは
一方的にイタ電をかけられた方には全く関係ないことである。
不愉快極まりない時間を過されたと思う。
当時、明らかに中学生の声でのイタ電を受けた方
本当にごめんなさいm(__)m
すべてサコッペがやりました。
俺がイタ電を辞めたのはある一本の電話が原因だった。
いつものように無言電話をするべくテキトーにプッシュボタンを押す。
「はいっ、もしもし・・・」
5歳くらいの男のコの声だ。
面白い展開は期待できないな、こりゃ。
しかし黙って聞いてみよう。
「もしもし・・」
「・・・・」
「もしもーし」
「・・・・」
切ってしまおうか・・・。
その直後、俺は思いがけないリアクションに遭遇した。
急に声を潜めて5歳児は言った。
「・・・お母さんっ?」
「お母さんじゃろ?」
母親からの電話と勘違いしたその声には
五歳児とは思えない切迫感があり
待ちわびていた人からの電話がやっとかかってきたような
かすかな喜びのようなものまで内包していた。
はっきり言って動揺した。
瞬間、「何かの事情で母親が蒸発して
仕事で不在がちな父親と祖父母、
そしてまだ赤ん坊の妹に囲まれた幸薄い」家庭が俺の脳裏に浮かんだ。
そんな悲惨な家庭に、そんな年端のいかない子供に
俺は・・・おれは・・・
電話を切り、しばらく激しい自己嫌悪に襲われた。
今でもあの時の気持ちを覚えている。
しかしそれに懲りるくらいの殊勝な性格であれば
へっぽこメガネなんて書いていない。
その後は不特定多数に対するイタ電は止めたものの
リアクションの最高におもしろい同級生の家には
みんなで電話をかけまくっていた。
おしまい。
