独り暮らしを始めて13年。
学生時代に買った冷蔵庫は今も尚使っている。


生まれて初めて部屋に冷蔵庫を置いた時の
感動は今でも覚えている。



「これで毎回、自動販売機に行かずとも、冷たいジュースが飲める~。」
ウレシ━━━━。+゚(*´∀`*)。+゚━━━━ィイ!!



1Lサイズのコーラを買っても
途中で残してしまい、冷蔵できずに大部分を残して捨てることも
真夏の熱帯夜、喉の渇きに目を覚まして
わざわざコンビニまで歩いて買出しに行く必要もない。

貧乏学生にとっては
ある意味、車よりも大切な存在と言えた。

単なる電器製品ではなく
一方的に尽くしてくれる献身的な彼女のようにさえ感じていた。


32歳、管理職と言うには余りにもカッコ良すぎる
班長さん、もっと言うなら幹部連中の怒りを
ダイレクトにうける避雷針のような存在である俺の冷蔵庫は
学生時代からのお付き合いなのだ。
(別名:冷蔵子)


若かりし日は順調に尽くしてくてた冷蔵子だが
途中から更年期障害のようにガタがきて
冷凍庫の霜が半端じゃない量になり

「冷凍する」という本来の役目を果たす以前に
物が入らないくらい大部分が霜に覆われた状態になったりもした。

そんなピンチにも
ドライバーで汗だくになりながら霜を削ったり
思い切ってコンセントを抜いて霜を溶かしたり
と短気な俺にしては涙ぐましい努力を重ねた。


俺の為に働き続けてくれる冷蔵子。
疲れておかしくなった冷蔵子に、俺なりに尽くしていたのだ。


学生時代からの彼女、冷蔵子。
その中に詰まっているのは
ジュースやマヨネーズだけではない。
俺と冷蔵子の思い出もタップリと詰まっているのだ。



しかし、長年連れ添ってきた奴にも
愛想がつきそうなのだ。





よく見て欲しいのだが
霜と言うか、氷の塊が大きく空間を占有している。

日に日に大きくなるそれによって
冷やしたい物がサッパリ入らない状態に陥っている。
まるで氷河のようだ。

しかも問題は冷凍庫ではなく冷蔵にである。


俺の愛した冷蔵子。

この10数年、俺の為に24時間休みことなく、
ありとあらゆる物を冷やし続けた冷蔵子。


若かった彼女は今、老境を迎え
完全にボケてしまっているようだ。

近いうちに俺は冷蔵子に言うだろう。



さらば・・・冷蔵子。
今までありがとう。

さよならは言わないよ。
振り返ったほうが負けだからさ。



冷蔵子とはサッパリ関係ないが、中四国の良心
部下の女子社員達にあんな女性になって欲しいと願った
もげくらのアネゴが新たなる山に登ります。


本当にお世話になりました。名残惜しすぎ!!!