人生とは競争だ。と、この歳になってつくづく思う。
二人の大切な友人、こいつらから「アリとキリギリス」
その寓話の意味も改めて教わった。

まずはキリギリスさんこと、ツウ。


以前の日記にも書いたが
俺の人生に多大な影響を及ぼした張本人だ。
遊びはすべてこいつから教わった。

とにかく昔はモテまくっていた。


田舎ではヤンキーがモテる土壌があるところに持ってきて
こいつは進学校の中でも異彩を放つ
短ラン、パッキン、喧嘩上等と3拍子そろっていたし、
ルックスは昔懐かしジュンスカのJUNTA似でワイルドな感じ。


まっさん達とバンドも組み、イカ天ブームにもしっかり便乗。


知らない女子とはあまり口も聞かず
「ヤンチャだけど寡黙で近寄りがたい」という一般的な認識を
勝ち取ることに成功していた。


紡木たくの「ホットロード」でも読んでいたのか?というくらい
そのイメージ戦略は徹底していた。


本来ならおこぼれにありつけるはずの親友の俺であるが
意地悪い性格と目つきの悪さが災いし、
「美人は必ずブスの友達と二人連れで歩く」の法則のごとく
「ツウ君は格好ええけど、あのツレ何なん?」と完全に引き立て役に甘んじていた。



大学に行ってからもモテ度は一向に衰えず
ワイルドなルックスに加え
目的を遂げるまでは異常に根気強く巧みな話術に
多くの女が引っかかり、文字通り性春を謳歌していた。



しかし俺同様、こいつも寄る年波には勝てず
ブクブクと太り始め、本来、気のいい性格もさらに丸くなり
嫁さんから「このブタッ!!
と罵倒されていることを自嘲気味に語る
プチ中年に成り下がってしまった。

これは「俺は絶対にモテる」という自信が過信になり
自らを分析し磨き上げることを怠ってしまった結果で
まさに「モテること」においてはキリギリスさんである。



それとは反対に努力をすることで大きな成果を得た人間もいる。
そいつの名は「アリ・トロブ」と言う。



こいつとは高校2年生の時の同級生なのだが、
正直こんな化け方をするとは想像もしなかった。

絶対にイケメンではない。
どちらかと言うと俺サイドの「癖のあるブサイク」だ
だいたいあだ名が「のび太」とか「キテレツ君」でイケメンな訳が無い。

それにこいつは中学生の時、クラブ活動だか、体育の時間だか知らないが
口から泡を吹いて倒れる。という漫画のような失態を演じた奴だ。

俺もよくトロブをのび太風の似顔絵にしては悦に入っていた。
当初は、俺の周りの奴もその程度の認識だったはずだ。



正直ノーマークだった。
だが思春期の女子は何を考えているか分からない。



俺たちはあいつのメガネ顔に注目しそこに集中していたのだが
女子達は奴の「サラサラヘア」に注目し、当時は人気者だった
「石田純一に似てる」とか言っては騒いでいたのだった。


しかもサコッペが小学生の頃から好きだった女のコと
付き合うという暴挙にも出ていた。



しかも「のび太」なんだから「あやとり部」とかに入ればいいものを
中学の時はバスケ部、高校の時はバレー部と真面目な子が多い
ウチみたいな高校ではウケが良く、奇特な彼女のみならず


他の女子からも「爽やかなスポーツマン、トロブ君って格好いい
と噂されている始末だった。


まさに意外な伏兵である。

それでも、とうていツウのモテ度には及ばず
高校時代は完全にツウが勝っていたように思う。


大学時代も同様だ。
トロブも俺たちもツウという太陽の前では昼間の星みたいなもんだった。

しかしそこは努力の人、トロブ


俺に足りない物はこれだ!とばかりツウが女にウツツを抜かして
いる間にギターを覚え、タバコを覚え、パチスロはプロ級の腕前になりと
秘かに、しかも確実にツウのテリトリーにまで侵出していた。



爽やかスポーツマンというイメージにワルの要素も取り込んだ
いわゆる「雰囲気のある男」への転身に成功したのだ。


そして20代後半・・・。
ツウは相変わらずモテてはいたが、贅肉がついていくのに
したがって勢いに少しずつ陰りが見え始めるのに対し、


トロブと言えばのび太メガネは、とうの昔に捨て去り
細いフレームのメガネで知的さを演出し、
ヒゲを蓄え「人生いろいろあるさ・・何でも話してごらん」
と語っては女ばかりを騙しているどっかの飲み屋のマスターのように
これまた進化していた。


その上、ちゃんとした企業に勤めて、隙無しの構えである。

ここに来てついにトロブがツウを凌駕したのだった。

さあ!どう迎え撃つ?ツウ?次は財力か?

とは言え、彼らの第三ラウンドはまだ始まったばかり。
温かく竜虎の対決を見守っていくとしよう。

P.S わざわざブログのアドレスを送りつけたのに、
全く話題に触れないツウはこのブログを絶対に見ていないと思うが
トロブ、君はこの日記をみているはず。
弘子もまっさん、サコッペ、その他地元関係者も
きっと俺同様、二人の対決を見守っていると思うぞ。
俺はお前に賭ける!頼んだで!