生活困窮者自立支援法の見直しにあたり
早いもので2017年も年末になりました。慌ただしい季節です。
そして今でも記憶に残っているのは「年越し派遣村」の光景。
もう7年ほど前になるようですが、TVで見たその様子はショッキングでもあり、同時に「そう遠いところの話でもない」とも感じたものです。
そしてその数年後、この「生活困窮者自立支援法」が始まり、そして3年が経過しようとしているわけです。
福祉には全く疎かった私が、徐々に、福祉と関わり始めた流れも不思議な縁を感じてしまいます。
この11月に生活困窮者自立支援ネットワークの全国研究交流大会が高知であり、私も「家計相談事業」の分科会で登壇したわけですが、まさか数年後に自分がこの位置に立っているとは思いもしませんでした。
ただ、今では生活困窮の現場で仕事をしている立場でもあり、今回は数年前から感じていたことを書きたいと思います。
家計相談事業は、これからどうあるべきだろうか?
私は、高知県町村域と香美市で家計相談事業の現場で相談に携わる仕事もしています。
昨年までは高知市でもNPO法人日本FP協会から派遣されている相談員として仕事をしていました。
そこでいつも感じていることは
「家計相談は、困窮世帯には必ず必要ではないか?」
という疑問でした。
そもそも論として考えてほしいのですが、なぜ、世帯が貧困になるのでしょうか?
こういう質問をすると、たいていの福祉職はこう答えるはずです。
「失業して職を失ったから」
「障害特性などの影響で仕事が続かないから」
「多重債務や税金の滞納が増えてしまったから」
ここで勘違いしていると、ファイナンシャル・プランナーとしては思うのです。
こうして皆さんが列挙していることは「貧困になるきっかけ」や「貧困になったゆえの現状」なんです。
そもそも世帯が困窮になり、貧困で苦しんでいる「原因」は
家計の収支が大きく崩れてしまったこと
その状態の継続により貯蓄が無くなったこと
ではないでしょうか?
ですから「家計相談の対象かどうか」などという区別には何の意味もありません。
なぜなら、家計が大丈夫ならばそれは貧困世帯ではないからです。
ここで「家計相談」というものを、この生活困窮者自立支援事業の現場の人が勘違いしているのがわかります。
貧困世帯の家計をチェックする意義に、大多数の支援者が気付いていないのです。
家計相談の意義はどこにあるのでしょうか?
- 家計の現状を分析して、変えることができる費目がないかを確かめる
- それが収入面か、支出面かで、その後のアドバイスが異なる
- 家計のやりくりがOKならば、収入面の改善を検討する
- それが就労支援で改善されるか、改善されないかでその後のアドバイスは変わる
- 支出面の改善が必要ならば、その改善の効果はどれくらいかを見積もる
- 改善の効果があまりない場合は、収入面へとアドバイスを移行することを検討する
- 改善できない原因が「障害特性」「家庭環境」などである場合は、より専門的な支援法を検討する
いかがですか?
これでも「家計相談の対象者が誰かわからない」なんていう理屈が通るでしょうか?
家計相談はこの人には不要で、あの人には必要かも?なんて悠長に考えますか?
家計相談というのは単なる診断ではないのです。
この視点からも問題点を探ることができて、自立支援への繋ぎの役割も果たせるのです。
そう考えて下さる方が、家計相談事業の必須化を呼び掛けてくださいます。
自立支援だけしていればいいんだ、という浅はかな理屈は早く捨て去ってください。
その積極的なあなたの思考こそ、この生活困窮者自立支援事業で求められているスキルかもしれません。
最後にどうしても言いたいこと
生活困窮者自立支援法に基づく、同事業は、日本中で行われています。
これは素晴らしいことだと思います。
ただ、一つ懸念していることがあります。
それは
制度があるから支援対象者がいる
という発想で仕事をしている人がいるのではないか、ということです。
なぜこう思うかというと、家計相談が必要な人と不要な人、という理屈が日本中に広まってしまっている点からもそう感じるのです。
支援対象者がいるから制度がある
生活困窮者自立支援法の見直しが行われるこのタイミングだからこそ、この法律がなぜ作られたかという理念に是非とも立ち返って欲しいと切に願います。




