ご質問をいただきました。 | helpwithのブログ

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10数年の眼鏡店勤務を経て、視能訓練士、大学教員、そして今は現場にて働いているおじさんです。

眼科における教育システムをご紹介しております。

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こんにちは

眼科で働く のりくんです。

 

実は先日、読者様とメールのやりとりをする機会をいただきました。

 

前後と途中は割愛させていただきましたが、ご質問は、

 

①「弱視を未治療、または治療しても視力向上が思わしくないまま大人になった場合、当然弱視側は悪いままだと思うのですが、見えている方の視力にも影響が出る事は多いのでしょうか?

 

良い方の目ばかり使うので機能が落ちてしまうなどのリスクはあるのでしょうか?

というものでした。

 

※以下、弱視で視力が弱い方を「弱視眼」、視力がいい方の眼は「健眼」と記載します。

 

私たち視能訓練士が関与するのは、治療前と治療中が主流です。

しかも、私のような一般クリニックで低視力の方のその後の生活そのものに関与することはほとんどありません。

 

しかしながら、視能訓練士さんの中には低視力者である視覚障害を持った方や発達障害に関わっている人もいます。

そのあたりは私自身が今後勉強しないとと・・・反省点です。

 

今日のお話は、ご質問いただいた2点についてお話してみようと思います。

 

ただし、過去にお会いした方の例も含めますが、そこに少し推測が入ることもご了解くださいませ。

 

m(_ _)m

 

 

 

話を元に戻します。

 

 


 

①「見えている方の視力にも影響が出るのか?」について

 

 

 

まず見えている眼(健眼)の”視力”(=見え方)への影響です。

 

まず、健眼のその後の視力をいろいろ思い出しました。

いままで出会った昔、弱視だったといわれる大人の方の健眼は、裸眼で視力良好っていう人が多かったような気がします。
それは何故?ってきかれると正直よくわかりません。

でも、軽い近視とか遠視もおられるのかもしれませんが、健眼は視力良好な方が多いような印象があります。


この時、「健眼の視力に影響があるか?」とふと考えなおした時、以下のことがあります。

 

例えば、右眼の視力が1.0で左眼の視力が0.2だとします。
やはり、 (1.0+0.2)≒1.0であり、健眼の視力を上限としておよそその程度見えるものと思います。

 

決して、 (1.0+0.2)/2=0.6 ではないということですので、そこは安心してください。

 

(๑˃̵ᴗ˂̵)و ヨシ!

 

 

 

ただし、視力は左右の視力差が少ない時、片目で見るより両目で見たほうが、視力値が10%程度向上するといわれています。(=両眼累加)

 

ですが、これはあくまでも、両眼の視力がいい時の相乗効果的恩恵ですので片目の視力が弱いための影響とは言い切れないと思います。

 

 

 

 

②良い方の目ばかり使うので機能が落ちてしまうなどのリスク

 

 

 

実は弱視治療をされている保護者の方から時々いただく質問です。

 

確かに、二つの眼で見れば助け合ってみている・・・と受け取るとそれは確かにそう思うよねって思います。

 

でも、弱視治療方法の一つであるアイパッチ(遮蔽法)の副作用としては「健眼の機能低下」というのがあります。


 

この遮蔽法は、健眼を遮蔽具で視線を遮り、弱視眼で対象物(訓練の実施など)を眼で追ったりする事で弱視眼の機能向上を狙う方法です。

 

健眼を遮蔽することでむしろ起こりうるのは健眼の機能低下です。

遮蔽をすることにより、健眼の機能低下が起こる可能性があるということです。

・・・と考えると、健眼を使わないほうがむしろリスクがあるように思いますね。

 

 

弱視眼の視力増強訓練であるアイパッチが、正常な発達をしてきた健眼の機能を阻害する可能性がある・・・ということを、眼科医の先生や視能訓練士は常に念頭に入れた訓練を行っています。

   ( ・ㅂ・)و̑ グッ

 

 

 

 

【おまけとして・・・】

 

そういえば、先日、左右眼共に、ある程度見える眼鏡が欲しいといわれた方がいました。

 

片眼はほぼ度数要らず、片眼は中等度以上の遠視でした。

 

一番よく見える度数でかけてもらったのですが、左右の度数差が大きくてとても無理とのこと・・・。

 

 

今まで左右で異なる眼鏡を装用したことがある方ならともかくです。

ですが、片眼の視力がいい場合、今まで眼鏡をかけたことがないという方も結構多いような気がします。

 

でも、大人になってから、左右を同じように見えるようにしてほしいとかはなかなか難しいものです。

 

この方の場合、弱視眼の眼鏡度数は装用できうる範囲で合わせました。

 

そこに一言添えるのは

「今回合わせた度数は裸眼の時と、そんなに見え方が変わらないと思います。

 (眼鏡かけてもかけなくても同じということ)

 ですので、眼鏡は不必要と思うかもしれません。

 ですが、今後のことを考えるとできるだけ今回の眼鏡を装用してください。」

とお願いし、慣れたら少しずつ度数を上げていくと定期的なご来院をお願いしました。

これも一つの訓練ではないかと思います。

 

 

今回の方は比較的30代とお若かったのですが、これから老視(=老眼)になるとまた更なるご苦労が出ることが予想されます。

 

なので、今から少しずつでも凸レンズというものに慣れていただくことが必要と思います。

 

 

いままで弱視治療で左右差が大きい眼鏡を装用していた場合はまた変わります。

 

腕のいいといいますか、いろいろご相談できる視能訓練士さんと出会っていただけたらと願いますね。

 

そうそう、眼鏡はかけ始めた(かけ替えた)ときが最も違和感が強いのです。

慣れの問題もありますが、おおよそ1週間は様子を見て、自分に合わないと思ったらすぐに合わせてもらった施設に申し出ることが大切です。

 

眼鏡店さんの無料保証もあったりしますが、眼科で測った度数は保証対象外としている眼鏡店さんもあるようです。

(でも、個人的にはその意見もわからんでもないですが。(;^_^A  )

ですから、その後のことを考えるときちんと保証してくださる眼鏡店さんでの購入をとも思います。

 

なので、遠視の眼鏡を必要とする人はできるだけ早めに、そして常時装用していただいた方がイイのではないかと思います。

 

あっ、近視眼でもおおよそおなじですが、近視眼は遠視眼に比較して少し違和感が減少します。

機会があったらそのあたりも記事にしたいと思います。

 

 

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。