その日、いつものように
朝の仕事を一件終えて、
自転車置き場に向かう途中で
携帯が鳴った。
施設からで、
義父の呼吸が止まりかけていると。
私はすぐに向かった。
自転車飛ばして5、6分で着き、
3階の義父の部屋に駆け込むと、
男性スタッフが心臓マッサージをしていた。
私は義父の手を握りしめ、
お父さん、今来たからね!
と寄り添った。
義父の心臓が、最期の鼓動を打つまで、
ほんの短い時間だったけど、
間に合わせてくれてありがとう。
心臓マッサージを止めてよいかと
スタッフにたずねられて、
私は頷いた。
義父の心臓は、
本来ならもって2年と言われていたが、
施設で穏やかに過ごしたおかげで
倍の4年、
88歳の米寿を迎えることもできた。
義父の死因は、老衰。
そう診断された。
その日の朝まで、
普段と変わらなく過ごしていたそうだ。
洗面して、義歯をはめて、
さあ、今から朝ごはんですよーという時に
急に様子がおかしくなったらしい。
息をしてない。
キーパーソンの私に連絡をし、
駆けつけるまでずっと
心臓マッサージが続けられた。
きつかったよね。
私がくるまで待っててくれたんだね。
ありがとう、お父さん!