パートのヘルパーとして、
早速仕事を与えられました。
初めての依頼は、
毎週金曜日の朝
9時から10時半の90分で、
90代女性の
オムツ交換、清拭と、
簡単な調理、食事介助。
初日には
必ずサービス提供責任者(略してサ責)
または、
現在サービスに入っている
他のヘルパーが同行し、
手順など教わりながら
一緒に行うことになっています。
この日は、
ベテランヘルパーが同行で、
利用者さん宅前で待ち合わせて
入室しました。
そこのお宅は
住居と職場が一緒で、
一階が事務所、2階が居室でした。
呼び鈴鳴らすと
娘様がちらっと顔を出され、
どうぞと通されます。
あとは勝手に2階へあがり、
本人様の寝室と
一階のキッチンを往復します。
初めての利用者さんは、
寝たきりで、
自分で寝返りはおろか、
楽飲みのお茶を取って飲むこともできず、
さらには喋れない、
看護師時代にも
なかなかお目にかからないほど
介護度マックスな方でした。
寝返り打てない人を
要領良く左右に転がしながら
オムツを変え、身体を拭き、
看護師時代の経験が蘇ってきました。
次に
階下のキッチンで重湯を作り、
また2階に運んで、
ベッドサイドに置き、
傍らに腰かけて、
ひとさじひとさじ口に運びます。
はい、ごっくん!
と声かけし、
飲み込めたか
確認してから、次を運びます。
90分があっという間にたち、
久しぶりの目一杯の介護で
ドドッと疲れました。(;´д`)
同行は通常一回だけど、
念のためもう一回同行をお願いし、
3回目からは
私1人の訪問となりました。
相手が喋れない、
コミュニケーションが取りづらい、
というのは
大変なプレッシャーになります。
看護師時代、
まだ新米だった頃、
気管切開して喋れない患者さんを
担当したことがあります。
その患者さんは女性で、
薬の副作用で髪は抜け、
目だけがギョロリと異様に大きくて、
思わず後退りしてしまうような
恐ろしげな風貌でした。😱
ナースコールを頻繁に鳴らし、
ほとんどが
大したことのない用事なので、
新人ナースをあてがうのが最適でした。
ベテランに手際よく
アッサリ対応されるより、
未熟だが一生懸命の新米の方が、
患者さんは好意的になるようです。
初めは
こわごわ対応していましたが、
何度も関わるうちに
患者さんが何を訴えているのか、
だんだん分かるようになり、
気心が知れるというか、
すっかり気に入られてしまい、
昼休みでも
度々ご指名いただいて
呼び出されてました。😓
コミュニケーションとは
非言語によるところが大きいと、
後に学びましたが
まさにその通りでした。
さて、久しぶりの患者さん、
もとい利用者さんですが、
なぜ喋れないのか
忘れましたが、
こちらの話しは
聞いて理解できているようなので、
お世話しながら
積極的に語りかけました。
利用者さんは
ベッドで一杯の
狭い和室の部屋に寝かされ、
窓からは建物と電線しか見えず、
時折通り過ぎる
車の音や鳥の声が
聞こえるのみでした。
このような環境で、
階下には娘夫婦がいるとはいえ、
1人寝たきりで
日々を過ごしているのかと
気の毒に思いました。
その頃は3月でまだ寒く、
暖房がつけてあり、
空気が乾燥していたので、
行った時は
濡れタオルを干していましたが、
自分で水分摂れないから、
早晩脱水起こして
入院するだろうな、と
思っていたら
その通りになり、
2ヶ月しない内に
サービス終了となりました。
このように、
初めての依頼は
看護師魂を呼び覚ましてくれました。