一般用医薬品の種類

薬ネット販売 原則解禁へ 参院選意識 1%の攻防
産経新聞 6月5日(水)7時55分配信



インターネット販売が解禁される一般用医薬品(写真:産経新聞)

 ■厚労相ら反対、「高リスク品」焦点

 全市販薬のインターネット販売の是非をめぐり政府内では、全面解禁を安倍政権が掲げる成長戦略の象徴とする解禁派と、解禁で対面販売に影響が出る日本薬剤師会に配慮する規制派が対立し、4日の関係4閣僚の協議でも攻防が繰り広げられた。協議では99%のネット販売を大筋で合意したものの、両派はともに夏の参院選に向けアピールしようと残り1%の第1類25品目程度の取り扱いをめぐり綱引きを続けている。

 関係閣僚協議が終わった後も、解禁派と規制派の対立は続いた。

 稲田朋美行政改革担当相は「最高裁判決にのっとった結論をお願いしたい」と規制派を牽制(けんせい)。田村憲久厚生労働相は「安全性をしっかり担保しながらネットで売る方法を検討しないといけない」と述べ、ネット販売は安全性の担保が前提だと訴えた。

 解禁派の政府高官は「ネット販売の全面解禁すらできないなら、安倍政権下の規制改革は何もできない。参院選で確実に不利になる」と規制派の姿勢に不快感をにじませた。

 一方の田村氏は、安倍政権発足の昨年12月以降、生活保護費のカットや70~74歳の医療費窓口負担を1割に据え置く特例措置継続を決断するなど、官邸サイドの意向を尊重してきた。しかし、今回ばかりは「自民党を支持する薬剤師会や厚労族の意向もあり、全面解禁の要請には決して首を縦に振らなかった」(同省幹部)という。

 関係閣僚協議の後、安倍晋三首相は甘利明経済再生担当相や稲田氏と相次いで会談し、安全性に重点を置いたルール作りの徹底を指示した。

 解禁派と規制派の双方が納得する着地点を見いだすのは容易ではなく、首相が裁定に乗り出す可能性も出てきた。



市販薬 ネット販売 薬剤師側と業者に溝
2013/06/01 11:14
 最高裁の判決を受け、2月に設置された厚生労働省の検討会。田村憲久厚労相の「5月中に方向性を示す」との方針を受け、3カ月半で11回の会合を開くなど急ピッチで議論を進めたが、ネット販売の全面解禁を求めるネット業界と、薬剤師による対面販売を重視する団体との溝は最後まで埋まらなかった。

 検討会は事実上、「オンラインドラッグ協会」(理事長・後藤玄利(げんり)ケンコーコム社長)などのネット販売業界と、日本薬剤師会などの「当事者」同士が持論を戦わせる場となった。厚労省は検討会を「ネットの場合、対面の場合の安全確保策を話し合えた。有意義だった」と評価したが、検討会ではそれぞれが自分の立場から市販薬への考え方を述べる場面が多く、全体の方向性は示せなかった。

 “外圧”にも揺れた。政府の規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)は3月、ネットの市販薬販売を全面解禁するよう政府に求める提言をまとめた。

 これに対し、自民党の「医薬品のネット販売に関する議員連盟」(会長・尾辻秀久参院議員)は、第1類のネット販売禁止に向け、薬事法改正案を議員立法で提出する方針で一致。メンバーからは批判や不安の声も上がったが、検討会はこうした外部意見をはねのける統一見解を出せなかった。



市販薬 ネット販売、適否判断せず 厚労省検討会
2013/06/01 10:11

 一般用医薬品(市販薬)のインターネット販売に関する新しいルールを検討する厚生労働省の検討会は31日、薬局などでの対面販売とネット販売の基本的な考え方を併記した報告書案をおおむね了承した。報告書案では、ネット販売を認める市販薬の線引きは行わず、ネット販売の適否についても両論を併記した。厚労省は新たな検討会で議論することも検討する。

 報告書案は、市販薬販売の安全性を確保するための基本的考え方として、薬剤師らが、(1)使用者の状態を的確に把握する(2)使用者との円滑な意思疎通を確保する-などと明示した。

 高リスクの第1類は「薬剤師により、最大限の情報が収集される必要がある」と指摘。ただ、販売に当たって薬剤師の対面を義務づけるかは意見が大きく割れ、目視や接触などを通じ「慎重に販売すべきだ」という意見と、問診票活用などで情報収集できるため「ネットでの販売は可能」と両論を併記した。

 販売手段として、テレビ電話の活用も議論されたが、相手の表情が見えるなど双方向のやりとりが可能になるものの一般に普及しておらず、情報収集にもばらつきがあるとした。



薬ネット販売「全面解禁を」 稲田担当相、厚労省に
2013/05/31 15:00
 稲田朋美行政改革担当相は31日の記者会見で、一般用医薬品(大衆薬)のインターネット販売に関し「ネットだから危険という前提に立った規制はやめてもらいたい」と述べ、新たなルールづくりを検討している厚生労働省に対し全面解禁を求めた。

 厚労省の検討会では副作用リスクが高い品目のネット販売に慎重論が出ている。稲田氏は、副作用リスクの高い第1、2類の薬のネット販売を一律に禁止した厚労省の省令を違法と判断した1月の最高裁判決に触れ「これに沿った結論が出されることを期待する」と強調した。