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神経の難病を患い、会話や字を書くことができなくなった東京・町田市の60代の女性は今回の都知事選挙で夫のサポートを受けながら郵送による不在者投票を行うことにしています。


町田市の木村路恵さん(69)は8年前、体を動かす機能が徐々に失われる神経の難病、「多系統萎縮症」と診断されました。



徐々に手足を動かすことなどが難しくなり、いまは会話もできなくなってほとんどを自宅のベッドで過ごしています。




病気になった当初、選挙があれば車いすで投票所に出向くなど、欠かさず投票していた木村さんですが、おととしからは郵送による不在者投票を行っています




この日、木村さんは事前にテレビなどで得た情報をもとに今回の都知事選挙で投票する候補者を検討しました。


選挙公報の公約などを夫の哲也さんといっしょに見ました。


哲也さんが候補者を1人ずつ指さしながら「良いと思った候補者で目をつぶってほしい」と声をかけました。


そして木村さんが投票したい候補者のときに目をつぶり、意思を伝えていました。


自宅には事前に申請した投票用紙が届いていて、代理人の哲也さんが候補者の名前を書いて市の選挙管理委員会に郵送しました。


木村哲也さんは「彼女は思いを口では言えませんが、周りの支えもあってこうした形で、自分の意思で投票に参加できることをとてもありがたく、うれしく思います」と話していました。


「不在者投票」は選挙期間中に長期の出張や旅行などで住民票がある自治体にいない場合でも投票できる制度です。


あらかじめ住民票のある自治体の選挙管理委員会に投票用紙を請求し、滞在している自治体で投票できます。



不在者投票は郵便などでも可能で、対象は一定の障害があるか、要介護5の人で自宅などにいながら投票できます。



この郵便などによる不在者投票は4年前の都知事選挙で3106票が投票されました。


このうち代理の人が書いて投票されたのは258票でした。


東京都選挙管理委員会は「本人の意思が適正に反映されることが重要だ。
区市町村の選挙管理委員会と連携して制度の周知をしながら多くの有権者が投票できるよう取り組んでいきたい」と話しています。