また、憲法13条は「すべて国民は、故人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他国政の上で、最大の尊重を必要とする」と。県政も国政の一翼を担っているわけだが、政治の使命は県民、国民を幸福にすることである。生命、自由は勿論のこと、幸福追求に対する国民の権利も単なる通り一遍の尊重ではなく、「最大の尊重」を必要としている。ならば、知事も県議会も県民の幸福のために最大の尊重、最大の努力をしていると言えるだろうか。とても言えない。

また、地方財政法第4条1項の「地方公共団体の経費は、目的を達成するための必要かつ最小の限度をこえて支出してはならない。」という基本原則にも明らかに反している。海外調査は、政務活動費でも十分可能である。視察する議員は自らを律し、最小のコストにする姿勢が求められる。

 

海外視察の目的は、海外の先進事例に学んで県政の課題を解決することにある。そのため海外視察の成果として報告書の作成と議会での質問は必須と考える。千葉県議会議員の海外派遣取扱要領にも、調査等の結果報告として、「派遣団は、調査等の結果をまとめ,県議会のホームページ及び議会図書課等で一般の閲覧に供する。」と記載されている。報告書は本来議員が共同して全文作成すべきものだ。政務活動費を充てた海外調査でも、議員が全文作成しなければならない。職員は整理を手伝ったり、足らざるところを補充する程度のことは許されるだろうが。ところがドイツ・オランダの報告書の文字数は38,219文字であるが、職員が作成したたたき台は34,139文字でなんと89.3%、約9割であり、本末転倒で議員の報告書とは言えず職員報告書と言わなければならない。

残りの1割は職員の聞き取りに議員が答えたもの察せられ、議員の発言にも有無や分量に差があると考えられるが証明できないので、1割は議員が全員で作成したものとみなして計算する。

なお、県民の貴重な血税をしかも多額遣うのに、議員の知見を深めるためという抽象的で効果の不明ないい加減なことを視察目的または成果とすることは許されないと解する。