大友涼介です。

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【こちら特報部】「特高警察の復活? 秘密保護法のもくろみ」2013/11/01(東京新聞)

東京新聞:特高警察の復活? ~秘密保護法のもくろみ:特報(TOKYO Web) http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2013110102000155.html

<書き起こし開始→

 十月三十一日、東京・日比谷であった狭山事件の再審を求める集会とデモ。ここにも、マスク姿でビデオを回す一群がいた。公安警察だ。最高裁判例では肖像権の侵害だが、お構いなしだ。公安警察については、かねて共産党幹部への盗聴事件など違法活動が指摘されてきたが、その生態は霧の中。秘密保護法案の成立は、この不透明な組織に、前身の特別高等警察並みのやりたい放題を許しかねない。 (荒井六貴・小倉貞俊記者)

※デスクメモ 秘密は増幅する。例えば、私の部屋を警察が盗聴していたとしよう。そうではないか、と警察に聞くと「特定秘密です」。それどころか、その行為を探ろうとすること自体が秘密保護に触れると脅されかねない。警察や政府の暴走を告発できない、つまりは正せないことになる。戦前回帰の悪夢である。(牧デスク)



◇秘密保護法 隠れた狙い


 「外国との情報共有は情報が各国で保全されていることを前提に行われていることを鑑みると、特定秘密保護法案を早期に成立させ・・・」

 十月二十五日の衆院本会議での質疑で、安倍首相は秘密保護法案の提出理由をこう説明した。

 安全保障に関わる情報の秘匿という点に力点を置いた。「自国の防衛のためには、多少の秘密は仕方ない」と頷く人たちも多いはずだ。

 だが、それが本当に秘密保護法案の狙いなのだろうか。疑問がある。

 同法案は特定秘密の対象に、①防衛②外交③特定有害活動の防止④テロリズムの防止、の四つの分野を掲げている。

 このうち、人々が必要だと頷きがちなのは防衛と外交の二つの分野だ。だが、実はこの二分野の秘密保護には、すでに国家、地方の両公務員法以外にも、法的な措置が施されている。

 防衛分野に関しては、三つの法律がある。二〇〇一年十月に改正された自衛隊法では、単なる情報漏洩以外に過失や未遂、共謀なども対象になり、防衛相が指定した機密を漏らすと五年以下の懲役が科せられる。

 さらに米軍が提供した航空機や武器などの機密を対象にした「日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法」(一九五四年施行)と、在日米軍の機密情報を扱う「日米地位協定に伴う刑事特別法」(一九五二年施行)があり、いずれも罰則は懲役十年以下と重い。

※「日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法」http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S29/S29HO166.html

※「日米地位協定に伴う刑事特別法」http://hourei.hounavi.jp/hourei/S27/S27HO138.php


 今回の立法の理由について、二〇〇七年に日米で締結した「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」に伴う国内法整備との説明がある。この協定は互いの軍事機密を第三国に提供することを防止する内容だが、これは既存の法律でカバーできる。

※「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」http://jkcc.gr.jp/data/gaimu121220-9.pdf

 外交分野では、外交官が対象になる「外務公務員法」(一九五二年施行)があり、機密漏洩の罰則は最高懲役一年。これらに加えて、守秘義務違反に最高一年の懲役が科せられる国家と地方の両公務員法が存在する。

※「外務公務員法」http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S27/S27HO041.html
※「国家公務員法」http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO120.html
※「地方公務員法」http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO261.html



◇警察庁主軸の内調 法案作成



 立法の本当の狙いは、特定有害活動とテロリズムの防止という残る二分野にありそうだ。これを担当するのは警察だ。

 法案を作成したのは、内閣官房調査室(内調)だ。内調は職員約二百十人のうち、約九十人の生え抜き職員以外は各省庁からの出向者で構成される。このうち、トップの内閣情報官をはじめ、約五十人と最多数を占めるのが警察庁の出身者だ。主軸は公安(警備)警察である。

 公安警察は警察庁警備局を頂点としたピラミッド構造で作られ、前身は戦前の特別高等警察(特高)。取り締まり対象は共産党も含む左翼、右翼の各団体、外国情報機関などとされている。



◇公安のベールより厚く


 法案の別表には、特定有害活動とテロリズムの防止についての情報の対象が定義されている。しかし、よく読むと、定義になっていない。

 というのも、いずれもそれぞれについての「外交の政府又は国際機関からの情報」の後に「その他の重要な情報」が加えられている。これでは制限が効かない。

 ただでも、公安警察の活動は厚いベールに包まれ、しばしば違法活動が指摘されている。有名な事例は一九八五年~八六年にかけて、共産党の緒方靖夫国際部長(当時)宅の電話が神奈川県警に盗聴されていた事件だ。

 最近では、警視庁外事三課が国内のイスラム教徒を「テロリスト予備軍」とみなし、監視していた捜査記録がネット上に流出。事件化されたが、十月に時効。警視庁は最後まで記録を「流出文書」と認めなかった。

 相手が監視対象者なら微罪逮捕も辞さない。運転免許の更新で、現住所ではない実家の住所を記載したとして、新左翼系の活動家男性が二〇〇六年、「免状不実記載」容疑で神奈川県警に逮捕され、長時間の家宅捜索を受けた(結果は起訴猶予)。男性が原告として訴えた国賠訴訟で、横浜地裁は二〇〇八年、「捜査の主な目的は団体の情報収集だった」として、逮捕の違法性を認定している。

 この事件を担当した川村理弁護士は「公安警察は逮捕ありき。国を守るには多少の違法性があってもよいと考えている。逮捕令状を出す裁判所も言いなりだ」と話す。

 「公安警察が合法的に活動しているか、監視する必要がある。だが、秘密保護法ができれば『特定秘密』を盾にそれが不可能になる。予算や人員、活動内容を一切答えなくなるのではないか。捜査理由が秘密で通れば、監視対象も拡大する」

 東京都立川市の自衛隊官舎で二〇〇四年、イラク派遣に反対するビラを配った三人が警視庁に住居侵入容疑で逮捕された事件(二〇〇八年に罰金十万円~二十万円の有罪判決が確定)を経験した「立川自衛隊監視テント村」元代表の加藤克子さんも状況を危ぶむ。

 テント村の別メンバーには、いまも日常的に公安警察が付きまとっているからだ。

 「警察官がわざと姿を見せて、萎縮させようとしている。秘密保護法が成立すれば、国の政策に反対できない戦前のような状況になるのでは」



◇「特高」化に拍車


 北海道警の裏金問題を告発し、「警察崩壊」の著書がある元道警釧路方面本部長の原田宏二氏も「刑事警察と違い、公安警察は事件性が見える以前の段階から、ときには非合法的な手段を使って情報収集をする。秘密保護法はそうした捜査手法にお墨付きを与えかねない」と不安を語る。

 「公安警察は中央と直結している。自分が署長や方面本部長を務めていた頃、部下の公安担当者がどんな仕事をしているのか。ほとんど分からなかった。刑事、生活安全部門を歴任してきたので”アンチ公安”と見做されていたのだろう」

 法案を聞き、思わず緊張したという。「警察トップを初め、行政の長が秘密の範囲を恣意的に指定できる。自分が裏金を告発した時は公安から尾行された。もしその当時に秘密保護法があったら、公安関係の捜査費が特定秘密にあたると言われ、自分も摘発されていたかもしれない」

 その上で、こう警鐘を鳴らした。「この法案が通れば公安警察は野放しになる。気が付けば『特高の復活』という事態になりはしないか。



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