白雨
白い雨
柔らかくとは言えない
透明な水玉ではない白い雨
さした傘が塗料で染まるように
白く濁ってゆく
天のスペルマ
仮にそう呼ばれている
天が大量に射精
そんなわけがない
人々は名前がないと不安気に
天災か人災かを語り合う
傘に付いた雨は粘り気があるわけでもなく
自宅の軒下で傘を畳むと
カルピスウォーターみたいに滴った
試しに一滴舐めてみる
甘くもないし害もない
ただ白濁しているだけ
通称妖精たちは
わたしの帰宅を喜び
何を買ってきたのか口さがない
ベーコンと玉ねぎと茄子
あとはマフィンに四元豚を少し
脈絡はない
足りない物を補充しただけ
妖精は落胆してみせるが
本当はなんとも思っていないはず
雨滴が窓に叩きつけて
ガラスが白く染まるから
室内は夜のようだ
夜は嫌いじゃないむしろ好き
寝静まったストレス
何をするにも適した時間帯
深更から未明にかけて
わたしの独壇場になる
白い雨が止むまで
夜と思えば気持ちも軽い
眩暈がするけれど
雨を舐めたせいじゃない
白濁する無意識
ちょうどよい
アイロンがけとか
食器洗いとか
淡々としてこなす
仔猫はベッドの隅で寝息を立てる



