今日は往年のドイツの大ピアニスト、 ヴィルヘルム・ケンプを

ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集、シューマンのピアノ曲の大半を録音したケンプ。
しかし、彼の最大の功績は、シューベルトのピアノ曲をピアニストのレパートリーとして定着させたことだと思います。
今日聴いたのは、さすらい人幻想曲と即興曲

ケンプ70歳過ぎの録音。
はっきり言って、彼より「弾ける」ピアニストはごまんといるでしょうし、現代の音大生の方が巧いでしょう。
しかし彼より「聴かせる」ピアニストは?
シューベルトのピアノ曲の最難関の1つである「さすらい人」も、華麗に技巧を際立たせるところが皆無です。
さらに即興曲は素晴らしく、D899の第3番(Ges-dur)は本当に惚れ惚れとします。
実にゆっくりとしたテンポで進み、次の音に移る時の間が絶妙極まりなく、しかも1箇所として同じ所はなく、機械的に拍を刻む演奏ではありません。
アンセルメとこんなシューベルトを聴かせてくれるピアニストは絶えていません。

その詩情は、写真のコルトーと通じるものがあります。
これを果たして、懐古趣味と片付けられるでしょうか?
だとすると、寂しい時代ですね
