『お水取りー現代に伝わる古代の生贄の儀式』

奈良お水取り

今に伝わる古代の生贄の儀式

マユリのオンラインサロンには、グループラインがあり、メンバーの方がいろいろな投稿をされます。その中に、奈良東大寺のお水取りの投稿がありました。この二月堂の火の写真が龍に見えるというのです。

なるほど、見事な火の龍ですよね！

東大寺お水取りは、正式には、東大寺二月堂修二会といい、3月1日から14日まで続きます。東大寺といえば、大仏をイメージしますが、2月堂は大仏殿とはまた別で、ここの本尊は盧舎那仏ではなく十一面観音です。

元々は、平城京で疫病(天然痘）が流行り、当時の人口の4分の１とも3分の１ともの死者が出た際、疫病退散を祈願して始まったといわれ、天平4年、752年以来、一度も途絶えずに行われてきました。コロナが流行った2021年当時、HNKで生中継されたので覚えている方もいるかもしれません。そう、本来は疫病退散の儀式だったのです。

さて、見るからに炎の祭典なのに、なぜ、お水取りなのでしょうか？

お水取りのメインは、3月12日の「後夜」の際、6人の練行衆が閼伽井屋に向かって、水をくみ、これを二月堂の須弥壇下の香水壺に備えて本尊にお供えする儀式です。

閼伽(アカ)は古代インドのサンスクリット語で水のことで、仏教ではしばしば水のことを閼伽といいます。ラテン語でも水はアクアなので、同じインドヨーロッパ語族なのでにているのですね。閼伽井とは、要するに井戸のことで、別名若狭井といわれます。

お水取りでは、夜半、この井戸のある建物（屋）にはいって、明かりをともさずに、水を汲みます。桶に入れられた水は、榊を飾った担い台に載せられ、三往復しながら二月堂に運ばれます。水はいったん大桶にいれられ、翌日、須弥壇の下の香水壺（水入れ）に移されます。須弥壇とは仏像を乗せる段のことで、上には十一面観音が立っています。つまり、この水は十一面観音に捧げられるのです。

要するに、お水をお供えするので、お水取りなのです。

閼伽井の水はどこから来るのでしょうか？

この水は、どこからから来るのかというと、実は、若狭から来ます。若狭の小浜に、東大寺の神宮寺である若狭神宮寺があります。東大寺に送られる水は、はるか離れた福井県小浜市から送られてくるのです。送られてくるといっても、トラックで運ぶのではありません。

実は、若狭神宮寺と奈良東大寺は繋がっていて、超自然的なルートを通って、若狭の水が奈良東大寺にやってくるとされているのです。若狭神宮寺近くには、鵜の瀬といわれる淵があり、そこで鵜の瀬の水を奈良の東大寺に送る「お水送り神事」が夜半に行われます。

ここに限らず、お祭りとは、かつての生贄の儀式がお祭りとして今に伝わるものも多く・・・いや・・これどうみても・・生贄の儀式ですよね・・・

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