第231回「交代人格の変容と成長(1)」

解離性同一性障害が回復していくにしたがって、人格は、次々に主人格の中に統合されていきます。主人格から生まれたBという交代人格が、XとYという3代目の人格に分裂した場合を考えてみると、X,Yが最終的に主人格Aに統合する過程は、さまざまです。

例えば、僕自身の臨床経験の中では;
1)XとYが統合し、2代目の人格であるBにもどり、最終的に主人格に統合されていく。
2)Xがいきなり主人格に統合し、その統合した人格に、Yが統合されていく。
3)Xが、まったく別の経路で生まれてきたZという交代人格と統合しWという新たな人格を作り、WがYを統合してVという人格になり、Vが最終的に主人格に統合されていく。
などということが起こりました。

このように、交代人格が生まれてきた経路を逆にたどりながら統合していくと言うわけでは必ずしもありません。交代人格の数が多ければ、それだけ統合の過程も複雑になっていきます。

上記の3)の例では、WやVといったまったく新しい交代人格が生まれるわけですが、これらの人格は、統合に向かっている人格とみなすことができます。ですから、新しい交代人格が出てきたからと言って、病状が悪化したとは限りません。

交代人格の中には、非常に暴力的であったり、自虐的であったりする過激な人格も存在します。そうした人格を主人格に統合させてしまってよいのかと思う方もあるかもしれません。明日のブログでお話ししますが、暴力的な傾向は、人格が統合する過程で、おさまっていきます。


向後善之(ハートコンシェルジュ・カウンセラー)

ハートコンシェルジュ


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