厚生労働省の専門家部会が、先天的に心臓に穴があるなどの先天性心疾患の患者の手術で使う、
心・血管修復パッチ「シンフォリウム」の製造販売を正式に承認したそうです。
臨床試験も実施し、早ければ今秋から製造販売されるといいます。
心・血管修復パッチは、帝人(大阪府)や大阪医科大学、福井経編興業(福井県)が共同開発したもの。
2014年に着手し、10年にわたり取り組んだ一大プロジェクトが、ついに実用化へと実を結びました。
従来の心臓パッチは、海外製がほとんどで、伸長性が足りず、
患者の身体の成長とともに心臓が大きくなるため、再手術が必要となる場合が多いという課題があったそう。
開発したパッチは、成長に伴い伸びる特性があり、
さらに、体内で吸収される糸と吸収されない糸を編み込み、
ゼラチン膜でコーティングし、手術後、ゼラチン膜と糸が、
心臓組織で分解されることでパッチが伸びて心臓の成長に対応するといいます。
この開発の経緯は、直木賞作家・池井戸潤さんの小説「下町ロケット2 ガウディ計画」に
登場する新技術のモチーフになり、心臓に埋め込む人工弁開発に奮闘する町工場が描かれました。
心・血管修復パッチ「シンフォリウム」の 製造販売承認を取得についての詳細が閲覧できます。
気になる方はクリックして見てみてください。
約10年前から数度、ブログでこの話題を記事にしてきました。
世界中のたくさんの人たちを元気に、笑顔にするであろう明るい医療ニュース。
ネットで目にした時、わあ!ついに!と嬉しくなりました。
ちなみに、「シンフォリウム」は、英語の「Syn」(=ともに)と
ラテン語の「Folium」(=葉)に由来しているそう。
「まるで葉っぱのように修復部分を優しく守り、治療を受けた子どもとともに、
成長していくように」という願いを込めているとのこと。
なんて優しい想いが詰まったネーミング...。
長年にわたる開発者たちの並々ならぬ情熱、苦労と努力の結晶が詰まったシンフォリウム。
感謝と大拍手しかありません。