お風呂上がりの、あたたかい湯気がまだ残る時間。
2歳のひぃちゃんが、ママのお膝に座って、
鏡に向かって髪を乾かしていたときのことです。
突然、鏡を見つめたまま、ひぃちゃんが話し始めました。
「ひいちゃんね、パパとママが結婚式に行っちゃって寂しかった」
ママは一瞬、言葉を失いました。
「え? その時ひぃちゃん、まだいなかったよね…?」
そう思いながら、そっと聞いてみました。
「ひぃちゃん、その時どこにいたの?」
ひぃちゃんは、迷いのない声で答えました。
「ひいちゃんの家。
いなくて寂しかったから、早く会いに行きたいって思ったんだ。
ママが結婚式でドレスがかわいかったから、早く会いに来たんだ」
その瞬間、ママは気づきました。
――これは、生まれる前の記憶だ。
胸の奥がじんわり温かくなり、
ママはひぃちゃんを抱きしめながら言いました。
「ありがとう。
ひぃちゃんが来てくれて、ママすごく幸せだよ。
ひぃちゃんのこと大好き」
ひぃちゃんは
「どうしたまって(どういたしまして)」
と可愛く言い、くるんと回って、
ぎゅーっとママを抱きしめました。
思い返すと、すべてがつながっていた!
パパとママは結婚して3ヶ月ほど経ってから結婚式を挙げました。
なかなか赤ちゃんが来てくれず、
ママは不妊治療を始めたばかりでした。
そして――
治療1回目で、ひぃちゃんは来てくれました。
まるで、
「準備ができたから、今だよ」
と合図を送ってきたかのように。
さらに思い出したことがあります
結婚当初、娘(ママ)がよく言っていました。
「家の中に何かいる!お母さん見て!」
私は何度か家に行きました。
確かに“何かの気配”は感じるのに、
それが何なのかは分かりませんでした。
娘と二人で、
「座敷わらしっぽくない?」
「座敷わらしかもね!」
と笑い合ったことを覚えています。
今思えば――
あの時の“座敷わらし”は、
ひぃちゃんだったのです。
ママの身体が整うのを、
静かに、楽しみに、
家の中で待っていたのです。
ひぃちゃんへ
あなたが2歳のときに話してくれた言葉で、
すべてがひとつにつながりました。
あなたは、
生まれる前からこの家族を選び、
ずっと待っていてくれたんだね。
来てくれてありがとう。
覚えていてくれてありがとう。
ばぁばも、とても嬉しいです。
あなたの光は、
家族の未来を照らしています。
追記
2021年5月に一度書いたものですが、
ひぃちゃんの大切な記録として、
今の私の視点からもう一度まとめました。
読んでくださり、ありがとうございます。


