蒼井優が好きだし、「鳥」がタイトルに入っている物語が好きなので、
これは見ないわけにはいかない。
イオンモールKYOTOにある、T-ジョイ京都に去年見に行った。
去年見た映画の中で、最高傑作だと思った。
遅まきながら感想を書いておく。
オール関西ロケ(大阪、神戸)を決行しただけあって、土地の空気感が色濃く出て、登場人物を際立たせている。
わたしは関西人なので、特にロケ地ににじみ出ている関西感がこの映画にぴったりだと思ったし、好ましく感じた。
変に片づいた、こぎれいな部屋が出てくるありきたりのドラマとは違って、
雑多なものがあふれる部屋で、まさに十和子と陣治が暮らしているという
臨場感がある点もよかった。
関西アクセントを話す十和子と陣治 対 関東アクセントの黒崎、水島、その他
というきれいな対立を成しているようだ。
陣治と十和子は、それぞれだめ人間なりに一生懸命あがいて生きているが、
黒崎や水島は嘘っぽく、うわべだけに見える。
十和子の蒼井優と陣治の阿部サダオが見事に人物像を演じきって、
話に引き込まれた。
黒崎のような最低男をいつまでも忘れられない十和子と
その十和子を愛する陣治。どろどろ系かと思えば、
怖い部分も出てきて‥。
最後の展開で、すべてが浄化され、鳥が飛び立つ。
映画が終わっても、しばらく涙が止まらなかった。
思い出すたびに胸が締めつけられる究極の愛の物語である。
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だめ人間にも愛がある
これは力強いメッセージですよ。
わたしはあまり素直ではないのか、
「君の名は。」を見ても、些細なことが気になるし、
男女が入れ代わるなんて、ありきたりだし、
途中で結論がわかっているしまうし、
いま一つ感動しなかったけれど、
「彼女がその名を知らない鳥たち」は違います。
だめ人間にも愛があるなら、あなたにも愛がある。
恋愛映画に出てくる主人公たちはやたらに
美しすぎる。
それはそれでいいのだけれど、
自分とはかけ離れたお話となって
もう一つ感情移入できない部分もある。
「彼女がその名を知らない鳥たち」の
主人公に感情移入できるかというと、
自分はそこまでひどくないとは思うものの、
まあ、そういうだめ人間のところもあるなあと思えるのだ。
人間のだめさ加減を拡大して見せてくれる
こんなだめな自分も愛してくれる人がいるのだ
という感動で心が浄化されるのです。
結果として、すっかり十和子に感情移入しているのだった。