今回は財産分離と相続人不在です。
参考:相続界曼荼羅(相続の主要テーマ)※赤は学習済み、ピンクが今回学ぶテーマです。
【財産分離】
相続人の固有の財産と相続した財産がゴチャ混ぜになると困る人の請求により、相続財産を分離して管理・清算するよう家裁が命じるものです。(民§941、950など)
相続人が遺産を相続した場合、負債(債務)があると多少厄介な当事者関係が生じます。
この場合の当事者には、①相続人がもともと負っていた債務の債権者(=相続人の債権者)、②相続したプラス・マイナスの財産のうちマイナス、債務に関する債権者(=相続債権者)、③遺言で遺産を譲り受ける、すなわち、遺贈を受ける人(=受遺者)が登場します。
この人たちは全員相続人に対する債権者です。そこで、相続人の固有の財産と相続した財産がゴチャ混ぜになるとどうなるでしょうか。ちょっと想像してみてくださいね。
“なんとなくヤバいことになりそうよね”(Byティファニー)
表:相続人の固有財産と相続財産がごちゃ混ぜの時のリスク
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相続人の債権者 |
相続債権者 |
受遺者 |
相続人の債権者の債権が巨額 |
●●● |
被害を被るリスク |
被害を被るリスク |
相続債権者の債権が巨額 |
被害を被るリスク |
●●● |
被害を被るリスク |
受遺者のもらう遺贈額が巨額 |
被害を被るリスク |
被害を被るリスク |
●●● |
マイナスの遺産を相続して、もともとの財産と混ざると、リスク満載です。これを避けるために、リスクが見込まれる人たちの側から家裁に「財産分離を命じてください」と請求できるのですね。ただ、財産分離の命令が出れば、請求した人はそれを公告せねばなりません。
【相続人の不在】
下図のように、相続人が一見していないとき、遺産はどうなるのでしょうか。
事例:Xさんには相続人はいないが、妻Y子さんの死後Xさんに長年献身的に尽くした内縁の妻K美さんがいる。
なお、法定相続人がいなくとも受遺者(遺言で遺産を譲り受ける人、すなわち受遺者)がいる場合は、ここで述べる相続人の不在とは考えません。
一方、法定相続人とされる人でも、相続欠格に該当したり、相続の廃除を受けたり、相続を放棄している場合には、相続人の不在です。
相続人不在の時の流れは、百聞は一見に如かず。フローチャートを書いておきます。
① ~②:一見して相続人なくして死亡した場合、遺産はまず法人化され、特別縁故者を含む利害関係人や検察官の請求で家裁がその財産の管理人を選びます(民§951)。通常は弁護士さんが多いようです。
●特別縁故者(とくべつえんこしゃ)
特別縁故者は以前一度出てきました。例えば次のような人が特別縁故者と認められます。
1)被相続人と生活(生計)を共にした内縁の妻や夫、実質的に養子や養親同然の人。 2)被相続人を献身的に療養看護してきた人(報酬の範囲内でケアした場合は除く)
家裁に特別縁故者として認めてもらうには証拠となるものが必要となります。また、特別縁故者の申し出期間は相続人不存在が確定後後、3か月なので注意が必要です。
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① ~③:その後、3種類(管理人を選んだこと、債権を持っている相続債権者や受遺者がいるかどうか、相続人を探していること)の公告を、都合3度行います。「相続人が見つかりませんよ~、権利持っている人いませんか~、相続人さんいますか~」と世間に尋ねます。
② :それでも相続人など権利者が名乗り出なければ、相続人がいない事が確定します。※ここまでで1年近くかかります。
③ ~⑤:この後、特別縁故者から申し出があり、申し出が妥当なら遺産は特別縁故者のものに、不適当なら国の財産となります。ただし、共有物で特別縁故者の申し出が認められないときは、他の共有者の物となります。
●次回はいよいよ相続界の最終テーマ「遺言」です。
私の遺言ってわけでないので、そこんとこヨロシクね(素顔のHead&Tail係長/仙台市出身)
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