美しい季節、春が着実に近づいてますね。しかしながらHead&Tail係長、そんな季節が恨めしくも思います。それは、花粉症の季節でもあるからです。隣の部署の人に同情されスッキリ飴みたいなやつを頂きました。心なしか爽快になり、ささやかな幸福感に満たされました。本当に感謝です。
さて地役権の続きは、要役地と承役地の関係の確認から入りましょう。下図は、XさんがYさんの敷地の一部を使って公道へアクセスするための通行地役権の例です。
次に地役権のポイントについていくつか押さえていきましょう。
●要役地の利用価値が上がらないなら地役権でない:上の図なら「Xさんの土地の利用価値と関係ないYさんの土地の利用」が目的ならば地役権とは言えません。次の設問で確認してみてくださいね。
問1:Xさんは、ペットの羊がYさんの敷地に生えている草を食べられるようYさんの土地を承役地とした地役権を設定したい。可能だろうか。 |
答1:ペットの羊にYさんの敷地の草を食べさせることができてもXさんの土地の利用価値が上がるわけではありません。よって、地役権設定はできません。 |
●地役権の付従性:地役権は要役地の処分について回ります。上の図ではXさんが土地をZさんに売却すれば、(通行)地役権もついて来ます(Zさんも地役権を得ます)。このことを、「地役権には付従性がある」といいます。
●共有の時でも不可分:ところで、要役地や承役地が複数人で共有されている時、共有者の一人(その人の持分だけ)について地役権を消滅させることはできるでしょうか。
ヒントは、「土地が共有されている場合の地役権に対する民法の立場は“不可分”」です。
上の図で要役地はXさんと甲さん、承役地はYさんと乙さんにそれぞれ共有されていると仮定し、以下の設問を考えてみましょうね。
※色々な事例、そして、登場人物の色々な呼び方にも慣れっ子になってください。法律の学習ではA、B、X、Yなどのアルファベット以外にも甲、乙、丙、丁などが登場することも多々ありますので慣れてくださいね。
問2:Xと甲さんが土地を共有する場合、甲さんの持分についてだけ通行地役権を消滅できるか。 |
答2:要役地の共有者が自分の持ち分だけ地役権を消滅させることはできません。 |
問3:Yと乙さんが土地を共有する場合、乙さんの持分についてだけ、通行地役権を消滅できるか。 |
答3:承役地の共有者が自分の持ち分だけ地役権を消滅させることはできません。 |
●分割や譲渡の時も不可分:それでは、もともとXさん、Yさんの単独所有であった要役地や承役地が分割または譲渡されて、結果として複数人が所有することになった時の扱いはどうなるでしょうか。
これもヒントは、「土地が分割や譲渡された場合の地役権に対する民法の立場は“不可分”」です。
問4:Xの要役地やYの承役地が分割または譲渡され、要役地がXと甲の所有に、承役地はYと乙の所有となった。地役権が消滅することがあるだろうか。 |
答4:要役地や承役地が分割または譲渡されて複数人の所有に分かれても何も影響はありません(存続)。ただし、下図のように承役地がYさんと乙さんの土地に分割されたものの、XさんはYさんの土地を使わない場合も出てきますね。そういう場合に限って(Yさんの土地部分に限って)地役権が消滅します。(民§288②) |
もう何となく分かってきましたよね。そう、民法の地役権に対する立場ははなるべく、地役権を“殺さず生かす”消滅させずに、存続させるのですね。
●次回ももう少し地役権を見ていきたいと思います。
春のドライブ誘われたらしいイブちゃん(山形出身/福島・茨城育ち)
“甲さんってあれだっぺ?あの、ブルーハーツの、リンダリンダの、ほら、甲本さんだべや。えっ、乙さん?乙さんは・・・乙武さん!”
(いい加減なことばっかのイブちゃん、なら丙は一体誰?)
Head&Tail係長はブルーハーツ、結構好きです。
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