長嶋茂雄セガサミートーナメントの最終日は、晴天で暑かった。

それでも 一年ぶりでもあり、4時間ほどを 杖兼用の椅子で 歩いては座り、座っては歩き、いろんなプロゴルファーについて歩いた。

かっては 多少とも参考になったプロのワザだったが、今はなんの参考にもならない。


77歳の今は、とにかくゴルフが出来ればいい。

同伴者や 前後をプレイする人達に 迷惑にならなければいい、と それだけを考えている。

だからスロープレイや なくしたボール探しなどを しないように心がけている。

それでも かってのオフィシャルハンディキャップが13の時から、現在はだいたい100前後のスコアである自分は、まあまあなのではないか。


とにかく プロのトーナメントを見る自分の第一の目的は、歩くこと、なのである。

緑豊かなラフを いつも通り一万歩以上歩くこと、それに尽きる。

だから、先に行われた 真駒内の女子プロトーナメントは、年齢に関係なく、2,500円だか3,500円の入場料、駐車料1,000円などと設定されると、阿保らしくて 行く気になれない。

歩くことが目的なのに なんで金を払わにゃならん!

それだったら、裏の北大構内を歩いた方が ずっといい。

もっとも 松山英樹やタイガーウッズだったら 話は別である。


TVで見た 女子プロは、結構 閑散としているように見えたのである。

ボクみたいな高齢者は、多分 同様の気分だろう。

年寄りを なぜタダにしないんだ!


で、今回のセガサミーは、無論 65歳以上タダである。

それでも ギャラリーは少なかったなあ。

最終日最終組でさえ 10数人程度であった。



クラブハウス横の広場では、千歳ギャラリーイベントがあり、屋台が並び 千歳自衛隊の車両展示や、舞台で 小中学生や幼稚園児のダンスショーが行われていて、こちらは父兄やらが大勢集っていて 大盛況であった。

多くはゴルフトーナメントが目的には見えなかった。

これでは寂しいので、どこか人が集まっている組はないか、と探したら、いたいた 石川遼選手の組であった。

インの9番が上がりホールで、優勝争いには関係無いところでプレイしていたが、一打、一打に大歓声があがっていた。

唯一 数百人のギャラリーを引き連れていたのは さすがだった。


最終ホールを終えて、石川選手がスコアカード提出に向かう道を、ギャラリーが ぞろぞろ付いて歩いた。

カード提出のテントの前に ファンが大勢群がっていた。

最前列に 5歳ぐらいの男の子と 3歳ぐらいの女の子、真後ろに お母さんらしき女性がいた。

多分 ボールを持たせて サインしてもらおうと、早くから待ち構えていたのだろう。

子供なら、きっとサインしてくれるに違いない。


しばらくして、アテストを終えた石川遼選手が出てきた。

同時に歓声があがった。

すぐに横から、プラカードを持って、一緒に回っていたらしい、中年の男性が 石川選手にボールを渡し、石川選手がサッとサインをして、無表情ですぐに立ち去った。

正面に 男の子と女の子がいたにもかかわらず、視線を合わせることは無かった。

ファンがいっせいに帰途についた。

女の子が お母さんらしき女性に言った。


サインもらえなかったね。


仕方ないよ。人気者は忙しいからね。


そう、ファンの要求を全て叶えていたら、カラダが幾つあっても足りはしない。

お母さんは正しい。


でも…

なんだかなあ……