(道庁前庭園には ポプラの綿毛(種子)が舞い降りて、真っ白になっていた。)


お天気の良い日は、午後から1、2時間ウォーキングをするが、途中 いつも道庁前庭園を通る。

いつもどおり 歩いていると、突然 何かが頭に当たった。

大木の小枝でも落ちてきたのか と思ったら、なんとカラスの攻撃であった。

前の方で カアカア泣いている。

こいつめ、と小石を投げたが、もちろん当たるはずもない。

カラスは飛び去り、もう大丈夫かと思ったら、また後ろから攻撃してきた。

え、また!


周囲には 誰もいない。

カラスの攻撃は執拗であった。

察するところ、近くに巣があって、

こっちに来るな、

と カラスも必死なのだろう。

お前さんのヒナになんかに 興味はないよ、

と言ったところで 通じるはずもない。


仕方なしに 1メートルほどの枝を拾い、アタマに掲げて 揺らしながら カラスに襲われないよう庭園を立ち去ったが、かっこ悪いこと この上なかった。


それから何日もたたないのに、またカラスにしてやられた。


Sさんと、北海道リンクスゴルフ場に 行った時である。

何番ホールかのグリーンで、二人でパットをしていたら、少し離れたカートの上で なんだか黒いものがガサガサしていた。


咄嗟にカラスと気づき パットを中断して慌てて駆け寄ると、はたせるかなカラスが今しも ボクの手持ちバックのチャックを開け、中のパンを引っ張り出そうとしていた。


コラ!と大声を出すと カラスはすぐに上空に飛んで行った。

危ない、あぶない。

と、またプレイを再開したのは、カラスを甘くみていたのである。


しばらくすると、カラスが再び舞い上がって、口に白いものを下げていた。

今度は完璧にやられた。

バックのチャックがしっかり開けられ、中の葡萄パンを しっかり持ち去られていたのである。


カラスも 腹をすかせたヒナのために持ち去ったのだろう、仕方がない、

とは 思わなかった。

阿保な人間から 奪ってきたぜい、子供たち、今日はいい獲物だろう、いつもオレらをいじめる人間め、ザマァ見ろ!

カアカアカア!


く、くそ!


ゴルフ場の帰り、三笠の道の駅に寄って、いつものように珈琲を飲み、アイスを食べて、持って行った残りもの、おにぎりやパンを食べた。

いつもよりパンの分が少ない、

と愚痴を言ったら、心優しきSさんが、自分のパンを一個分けてくれた。

強いてことわるのも 礼を失するから、ありがたくいただいたが、パン一個で こんなに屈辱感を味わうとは。

次回はどう防衛しよう。


帰って 早速 長めの細紐を バックにしのばせたが、こんなに嫌われるカラス族が 気の毒にもなった。

これがもし シマエナガだったら、逆に、パンのエサを撒いて、写真が趣味のSさんは、バチバチとって皆んなに自慢できるんだろうな。

人間の勝手なえこひいきで、なんで俺たちばかりが、いじめられるんだ!

と カラス族は ひそかに泣いているかも知れない。