第8回  「コーヒーの新しい飲み方を考える」(振返り編)


(注)このブログは、NHKのスタンフォード白熱教室の内容について、①を中心に

 以下の目的でまとめています。


 ①視聴した人の復習用の記録として(そのため基本的に事実ベース)
 ②見ていない人には、どんなことをやっているかの概要の参考になるように
 ③調べものをしている人には、ティナ先生がどんな方法をどう使っているか

また、基本的に講義の流れや発言順に沿って記録していますが、一部を編集したりしています。



スタンフォード白熱教室も最終回です。ティナ先生はこれまでの講義のおさらいをしてくれました。
創造性を学び、起業家になるためのエッセンスといえます。



■これまでの講義のおさらい


今回のテーマは、いかにして自分の中の創造性を解き放つということでした。
個人として、チームとして、組織としての創造性です。

根底にある考えは、創造性は学ぶことができということです。


クリエイティブになるための思考ツールが通常の教育システムの中に

存在しないため、創造性を学ぶことは難しいと言われます。
科学的な教育の手法には多くの時間を使いますが、それはモノを発見する方法を

学んでいることで、新しいものを発明する方法は教えてくれなかったと思います。


では、講義全体の振り返りながら、新しいことも含めて話します。
その中で、創造性を発揮するためのツールを再認識していきたいと思います。


1)まず、観察することです。
注意深く観察しないと、どこに問題があってどんなニーズがあるのかを

見逃してしまいます。


(リチャード・ワイスマンの例)
ある心理学者が、人によって運が良い/悪いは本当にあるのかを調べました。
彼は、本当に運が悪いと思っている人と、逆に運が良いと思っているを新聞で集め、新聞を読む簡単な作業を依頼して実験しました。


Q.「この新聞の中の写真の数を数えてください」
運の悪いグループ:全員が不正解
運の良いグループ:たった5秒くらいで全員が正解


なぜでしょうか。
実は新聞に 「数えるのを止めてください。この新聞には43枚の写真があります。」

と大きな見出しで書いてありました。


運の良い人はそれを発見し、運の悪い人は言われた通りに写真を数え、

メッセージを記事だと思って見逃してしまったからです。
写真しか目に入っていなくて、目の前に情報があっても見逃したのです。


彼は、運の悪いグループにもう一度チャンスを与えました。
また新聞の途中に大きな文字で

「この文章を発見したことを研究員に伝えると250ポンド渡します」

とありました。が、賞金を手にした人はゼロでした。


ここから学べることは、周りのことに注意を払っている人もいれば、

注意を払わない人もいるということです。
これは、磨く必要のあるスキルです。

世界を新しい視点から見る必要があると思います。



2)次に必要なことは、事前の前提を疑うことです。
誰でもいろいろな思い込みがありますが、こうした思い込みから、

どうしたら解放できのでしょうか。


最初のステップは、ブレーンストーミングでした。
自分のアイデアをマインドマップなどのツールを使ってアウトプットしていくことです。
ここで必要なことは、ありきたりの回答を超えるものに到達することです。


そこでしたことは、「最高のアイデアを考えた後、最低のアイデアも考えてみる

こと。
いろいろなことの前提を見つめ直し、逆さから見てみることをしました。

加えて、一見すると関連性のないものを組み合わせてみることも重要です。


ブレストのセッションでもしたように、関連性のないもの同士をを比較する習慣

付けば、素晴らしい成果につながります。


3)次に、問題を定義し直すことを学びました。
例として、NASAが開発した無重力でも書けるペンの話をしました。

ロシア人は、NASAと異なる視点で、宇宙空間でどうしたら文字が書けるか

ということで、鉛筆にたどり着きました。


要するに、必ずしも手の込んだことが必要ないということです。

問題の捉え方を違えることで、視野が広がという事例です。



4)空間は重要でした。
幼稚園の空間をお見せします。楽しそうでカラフルで、固定されたモノが少なくて

活動の目的によって配置が変えやすですね。


しかし卒業すると、無機質な一律的な空間の学校に入れられてしまいます。
こうした空間に入れてしまうことで、生徒の創造性をつぶしてしまいます。

学校で画一的な試験を受けて、優秀な成績を収めて、卒業して、就職して、

結局画一的なオフィスの大企業に入ってしまいます。


不幸なことに、世界の多くの職場は画一的です。

そのため、スタンフォード大学の空間では、創造的にあるように工夫をしています。
例えば、一緒に議論をしたりワークショップをしやすいことであり、

幼稚園での空間の使い方と似ています。


先進企業でも、IDEO社は車の社内空間を会議室に使ったり、

グーグルのチューリヒの事務所では、緑のコクーン型の狭い空間があり、

こうしたクリエイティブな会社は常に実験しています。
それは、空間が創造性に影響すことを知っているからです。



5)次に、チーム編成の仕方も重要です。
創造的な仕事をチームでしている時には、各々が異なった役割をしていることを

理解しておく必要があります。
人がどのようなスタイルで仕事に取り組むのか、デボノ博士の6色の帽子で

学びました。


赤は感情でリード、緑はアイデアを出す人、青は段取りの人、

黄色はメンバーがうまくやっていくことを重視し、白は事実を中心に考え、

黒はうまくいかないことに着目する人。
そうしたことを理解することで、チームとしてもっと力を発揮できるようになっていきました。


6)他に、時間も重要な要因でした。

与えられている時間によって、大きな影響があります。
最終課題は一週間という非常に短い時間だったので、余計な議論の時間や

変な方向に行くことができない状況でした。
素早く決定して、非常に早く試作品を造ることが求められました。


面白いのは、そうしたプレッシャーにさらされると非常に効果がありますが、

プレッシャーが長時間持続すると感情的に耐えられなくなります。
この講義は8回の短い講義だとわかっていましたが、これが引き続き何週間も

あると耐えられませんね。
8回とわかっていたから刺激的だったのです。

短い期間ならそれが目標になります



7)もうひとつ大切なことは、実験する姿勢をもつこと。
素早く試作品を造って、何がうまくいくか突き止めることです。

逆に言えば、失敗することを受け入れることです。
失敗は目標ではありませんが、成功へつながる過程なのです。

ですから、なるべく早く何回も失敗することが効果的な解決に進む道です。


(ショートムービー)
IDEO社のブレンダさんが作った、モンスターメーカーというアプリソフトの

試作品をプレゼンした時のビデオ
⇒段ボールを切ってスマートフォンのウィンドウにして、その中でモンスター役の

人が操作に従って踊りを変える試作品でテストをした。


お金をかけずにしていますし、フィードバックも得られます。



8)最後に重要なこととして、絶対に解決に導けるという自信を持つこと。
例え、うまくいっていない状況でも、絶対に解決に導けという

この思考のプロセスを信じることで、創造的な問題解決することができます。



■このコースのまとめ


クリエイティブであるには、そのためのツールが必要で、
ブレストやチームでの作業を知っておく必要があります。


前提を疑いルールを破って
問題を定義し直すにも、そうしたツールが必要です。

加えて、創造的であることへの自信も必要です。


そして、それをサポートする適切なカルチャーが必要です。
スタンフォードやシリコンバレーのようなカルチャーです。

社内で、これまで授業でしてきたようなことを支持してくれる社内のカルチャーです。


それでは、自分のため、チームのため、組織のために、
8回の学んだことを活かして、自分の創造性を解放してください。



■振り返り


このコースで参考になったことをカードに書いて、
それを使ってクラスで学んだ一番大切なことをゲームをして決めましょう。


音楽が鳴っている間、部屋の中を歩き回って、カードを次々と交換し合う。
音楽が止まったら、近くにいる人と2人組になって、それぞれに点数をつけて評価する。
どちらがインパクトがあるか、7点を2枚に振り分けて評価する。
これを5回繰り返す。


(各自の評価の例)
・自分が思っていた、創造性に関する強い思い込みは間違っていた。(1)

  vs 失敗して成功に向かうのは気持ちが良い。(6)


・たくさん試して失敗するのは重要。(5) vs (放映なし)(2)


・良いアイデアは、どこにでも見つかる。例え最悪の状況の中にでも(多)

  vs 空間は重要だ。(少)


5回交換したので、理論上の最高得点は35点。

上から順番に下って該当するカードがないか聞いていく。
25点で該当あり。そして、24点と23点の該当カードも集める。
そしてそれぞれの記載内容を読み上げる。


(多くの受講生が参考になったと感じたこと)
・一番の発見は、試作品を造って早い段階で失敗すること。そして、できる限り何回もそれを繰り返こと。


・発想に限界はない。限界は自分の思い込にあるんだ。


・ストーリーを伝えるとき、語るのではなく見せること。


・不可能なんてない。

素早く試作してフィードバックをもらって、それを繰り返すこと


抽象的なアイデアをテストすることを恐れるな。境界線を越えろ。


・たくさん試せ。早い段階で失敗しろ


良いアイデアはどこにでもある。最悪の状態に見えるものの中にも


・僕は絶対、クリエイティブになれる


(ティナ先生の最後のお言葉)
私がいつも学生に伝えたいモットーは、
自分が素晴らしいことができるチャンスを逃さないでほしいということです。



<私の感想>
創造性という、ある種センスのように感じられるものも学ぶことができるというお話は、

番組での実証により、私にも可能性があるんだと勇気づけられました。
産業革命により科学的な教育が必要とされ、それにより技術文明が花開いた
と思うのですが、

これからの世界を変革していくためにも、今まさに創造性を身に付ける教育が求められて

きているのだと思いました。


私としては、事前の前提を疑え!が衝撃的でした。

経験も積んできたため、思い込みからの解放は大変そうです。


意外なところでは、空間が創造性に強く影響を与えていることでした。

知らず知らずのうちに、影響を受けていたのですね。


また、試作品を素早く作ってテストすることが、多くの受講生に支持されていてうれしかったです。
私の活動する人間中心設計(HCD)の業界では、試作品を紙でもいいので
作成して評価して作り直す、

プロトタイピングとういう方法がありますが、同じことです。


Webなど試作が軽くて抵抗のない業界では広まりつつあるようですが、

ハードを伴ったモノづくりではなかなか受け入れられていません。
ただソニーも、第一世代の人はまず試作品を作ってブラッシュアップするなかで
アイデアを形にする

という文化だったらしく、ティナ先生の教えはありがたいですが、口惜しさも正直感じました。


ティナ先生、日本のものづくりが忘れてしまったことを気づかせていただき、ありがとうございました。
11月に講演で来日される時に、遠くからですがお目にかかれることを楽しみにしています。


私にブログを書くきっかけを与えてくれてありがとう!ティナ先生 !!
また、エンジニアのみなさん、是非プロトタイピングの文化を、失敗を歓迎する空気を作っていきましょう!


第1回「ブレインストーミングで可能性を探れ!」http://amba.to/jUMrRU
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