第7回 「あこがれの起業家に学ぶ」


(注)このブログは、NHKのスタンフォード白熱教室の内容について、①を中心に以下の目的で

まとめています。
 ①視聴した人の復習用の記録として(そのため基本的に事実ベース)
 ②見ていない人には、どんなことをやっているかの概要の参考になるように
 ③調べものをしている人には、ティナ先生がどんな方法をどう使っているか

また、基本的に講義の流れや発言順に沿って記録していますが、一部流れを編集したり、

私のコメントは 「→」を使ってフォントサイズを落としています。



<私の感想>
 先人たちの話の中で、組織風土として創造性を殺さないような工夫をしていることが印象的でした。

セクショナリズムを作らず、組織の若さを保つことが大切で、それがクリエイティブな仕事につながるということです。

ただ、ゲストは企業家や新興企業の責任者の話です。もしかしたら大会社の中でも創造性を失わずにしているとこともあるかもしれませんが、それは稀なケースでしょう。

一般に、大きな組織になると動きがにぶくなるため、組織単位を細分化することはよくやられています。
チーム編成で多様なタイプの構成にしたり、採用時にも社員のタイプが偏らないようにするなど、意図的に変化を作る仕組みが共通していて、大変面白いと感じました。


<NHK Webサイトより、第7回の概略>
実際の企業の中で、創造性はどう発揮されているのか。今回は、フェイスブックの若手リーダーやスマートフォンの原型を提案した起業家などビジネスの第一線で活躍している 4人のゲストを招き、クイズ形式でそれぞれの企業の創造性の秘密を探り出していきます。
採用面接で創造性をどう見抜くのか、創造性を高めるためのチームの編成方法、空間の使い方の工夫、アイデアを出すための時間は仕事の何パーセントか、アイデアを実行する決定権は誰にあるのかなどさまざまな設問を通して、学生たちはクリエイテイブな企業文化を創るには多様なアプローチがあることを学びます。


■ウォーミングアップ


13人ずつ、2チームに分かれて、自分たちのチーム名と応援のダンスを

2分間で作成する。


・Aチームは、カフェイン飲みすぎ~の生徒の発言から「カフェイン・クルー」の

チーム名に。
応援ダンスはある男性の「カフェイン、カフェイン、カフェイン・クルー~」の手を動かしながらのリズムでOK。寝ている状態から最後に目が覚める流れ。


・Bチームは、「ダンスの詳し人は?」から「マイケルジャクソンのような踊りはどう?」と提案が出る。
そこからチーム名は「ジャクソン・サーティーン」に。
ダンスはマイケルジャクソンのムーンウォークやスリラーの振り付けを使うことに。


■ゲストへの質問の準備


(先生)「今日は、4人のゲストを招いていて、その人たちとクイズ形式で

課題をします。
各チームは、ゲストにそれぞれの会社の創造性とイノベーションについて

質問をしていくので、カードに質問したいことをまとめるように。」


ティナ先生の用意した質問と、各チームの質問の中からティナ先生が選んだ

ものをゲストに質問していく。
質問の内容は、社員の採用、企業文化、アイデアの創造、クリエイティブな

人の管理や、他のカテゴリーの質問でもいいので各グループで5つ考えてまとめる。


・カフェインクルー:ホワイトボードの前に集まり、みんなが質問のアイデアを

出しながら、レオが板書する。
・ジャクソン13:各自がホワイトボードに自分のアイデアを書き加えていく。

そして、全員で2票、投票して決める。



■ゲスト登場


【ジェフ・ホーキンス】 スマートフォンの原型を提案。
これまでに3つの会社を造り、2つが株式公開した。1992年にパーム社を設立。

携帯情報端末、(PDA、パームトップ)を発明。脳神経科学に基づくソフトウェア開発もしている。


【ドナ・ノビツキー】 会社立ち上げのスペシャリスト
一番最近は、Web制作会社のCEO。その前は、9年ほどベンチャーキャピタルの

会社に在籍。マーケティング職で、300ドルの予算で6か月どう実行していくかを

考えたりしていた。
ベンチャーキャピタルの経験から、16社以上の起業に携わる。


【ジュリー・ズー】 フェースブックで「いいね」ボタンを作った人。
ティナ先生の教え子で、2006年にスタンフォード大学を卒業し、フェースブックに

入社。最初はエンジニアだったが、今はプロダクトデザインのマネージャー。

フェースブックのプラットフォームや「いいね!」ボタンもてがける。


【ブレンダン・ボイル】 150以上のオモチャを発明
世界に支社を持つ、イノベーションデザイン会社のIDEO社でおもちゃ部門の

リーダー。


■起業家クイズショー


<ルール>
ゲストは本当のことを答えるかどうかわからない
嘘か本当かを見抜けたら1ポイント獲得。間違えたら相手チームに1ポイント。
(ゲストのウソを記録しても役に立たないので、本当のためになる話に絞って記録)


Q.人を採用する過程で、限られた時間で創造性をどう見抜くのか。


⇒(ジュリー・ズー)その人の過去の仕事や作品などを見ることは重要視している。

クリエーティブな人なら、これまでの見せられる仕事や作品を持っているもの。
少なくとも、広報の人に来てもらってクリエーティブさをパズルなどをやらせて

判定するのは難しい。過去の仕事や作品について聞いた方がより多くの情報が

得られる。
自分の作品を通じて、惹きつけられるようなストーリーがあるか、自分の価値を

印象付けられるものがあるかをクリエイティブデザイナーの採用時の基準として

みている。


⇒(ジェフ・ホーキンス)面接時、自分の携帯電話のどこが気に入らないか尋ねた。

そのようなことを考えたことのない人が結構多い。

自分の使っている製品に批判的に見れているかが評価のポイントになる。


→(私見)批判的精神を持って見れることは、創造性につながるということか。



Q創造性を高めるチームの編成方法は?


⇒(ブレンダン・ボイル)新しいプロジェクトが始まるときに、みんなに集まってもらって

誰が担当したいか聞く。一番やる気になっている人を選ぶようにしている。

イノベーションは、例えるなら火の起こし方のようなもので、ガソリンにマッチの火をつけて爆発させるようなもので、手を一番高く挙げた人を選ぶ。(嘘)※
いつも全員が手を挙げる訳ではないし、組織にはいろいろな機能が必要。

熱意は欲しいが、いつも100%といかないのがビジネス。


⇒(ドナ・ノビツキー)熱意のある人は重要だが、部門横断でいろいろな人を集めるようにしている。各セクションから1人ずつ希望者を募集。


⇒(ジェフ・ホーキンス)まだ小さい会社なので、チームを活性化させるために

ビルの共有スペースでみんなで体操をし交流を深める。

ストレッチやカニ歩きのような体操。楽しいし、チームの一体感が高まる。


⇒(ジュリー・ズー)チームがクリエイティブであり続けるための方法について、

どのように仕事をするかはそれぞれのチームで決めてよい。

例えば、定例の会議を設けるとか、会議時間を短くするために立って行うとか、

週に1回合宿をするとか。どのように仕事をするかは各自が話し合って決めてよい。フェースブックでは、各チームが小さな会社のように運営される空気がある。

それぞれのチームは仕事がやりやすいように自由に決めてよい。会社としては成果を出せばよいから。


→(私見)みんなで体操は、日本の工場での始業前体操を思い起こしますね。チームの一体感は間違っていないのですが、日本の場合、ジェフの会社のような楽しんでする雰囲気がないところが最大の違いか。



Q.創造性を高めるためのオフィス空間の工夫やしかけは?


⇒(ジュリー・ズー)オープンな空間にしている。

オフィス空間の真ん中にガラス張りのCEOの部屋があり、水族館と呼ばれている。

そのため、CEOが誰と話しているか、いつでも覗き込めばわかる。

目指しているオープンなネット社会と同じで、CEOをはじめオープンな作りにしている。


⇒(ジェフ・ホーキンス)事務所自体をどこにするかは重要で、いつも町の中心に構えていた。レストラン街や劇場があって、お祭りなどもあって、人通りが多いロケーションで、いつも刺激を受ける環境が重要でした。

企業団地のような人工的な空間では会社の雰囲気が変わってしまう


→(私見)例えばいつも刺激を得る必要があるデザイナー部門は、都会から離れた研究施設に引きこもってはダメだと思います。以前仕事で、某在京メーカーのデザイナーを引き連れて、東京の高級スポットをツアーしたことがあります。こちらはよい体験ができましたが(^^;



Q.仕事の時間の割り振りとして、アイデア出しに使う時間は何%で、実行するのは何%くらいか?


⇒(ブレンダン・ボイル)いつもいろいろな帽子をかぶっているため、クリエイティブだけが100%というわけにはいかないし、逆に販売が100%も無理。

クリエイティブ、アイデアの実現、マーケティングにそれぞれ1/3ずつ注力

している。


⇒(ドナ・ノビツキー)小さなWeb制作会社だったので、従来のやり方は一切通用しなかった。その中でも、アイデア出しに10%、その実現のために90%を使っていた。


⇒(ジュリー・ズー)時間の割り振りは人による。

アイデアを出す等のクリエイティブにほとんど時間をかけている人もいれば、

それ以外の多くの人はアイデアを実行する上での問題点を洗い出している

つまり製品としてのクオリティのチェックをしている。

3000人も社員がいるので、創造性だけの尺度で能力を測ることはできない。

最高のサービスを提供するには、アイデアを慎重に形にしなければならない


→(私見)良いアイデアでも、形にならなければ宝の持ち腐れ。実際に使えるかどうかをチェックする人も重要だということ。



Q.アイデアを実行する決定権は誰にあるのか


⇒(ジュリー・ズー)ボタンやレイアウトも含めて、すべて社長の意見を待って

決めている。

全てのことに目を配っているので尊敬されているが、社長が最終的にすべて

決めるわけではない。


⇒(ジェフ・ホーキンス)クリエイティブなことの最終権限は、すべて自分にある。

すべての案件が上がってくるわけではないが、賛否両論のあるものや意見を求められて来た場合は、自分が決めることになる。

製品を創り上げるにはビジョンが一貫していることが重要であり、(特に立ち上げたばかりの会社は)その役割は私にある。


⇒(ブレンダン・ボイル)多数決がいつも機能するわけではなく、その製品に詳しい人がいれば、その人の意見が多数決よりも重くなる。

しかし、誰かを本当に説得したいと思ったら、試作品を作って証明すること。



Q.アイデアを出すためのツールやシステムは何か使っているのか?


⇒(ブレンダン・ボイル)効果的な手法にコーヒータイムがある。

毎週1回、みんなが集まってコーヒーを飲みながら新しいアイデアのブレスト

をする。

単純に楽しいし、リラックスできるし、コーヒーも飲めるので、クリエイティブなセッションになる。

参加メンバーは誰でもよく、トピックを立ててアイデアを出すプロセスに参加してもらう仕組み。


⇒(ドナ・ノビツキー)毎週、「何でも話そう会議」をしている。

毎回違う人が最初の質問をして、質問は仕事と関係ないことで、全員が答えなければならない。20人くらいなのでできる。

みんなの考え方が分かるようになり、そういうことが土台になり、クリエイティブな作業がしやすくなった


⇒(ジェフ・ホーキンス)どんなに悪い製品でも、どこか参考になるところがあるはず。

スケジューラーや通訳の機械など、本当に日常的に使わせて、1週間経ったら集まって、参考になるところがないか話し合う。

悪い点は簡単に見つかるが、ここでの目的は何か一つでも自社の製品よりも良い点を探して、学ぶべき点を見つけること


→(私見)アイデア出しのブレインストーミングを定期的に実施する仕組みができているところがすごいですね。なんでも、仕組化、習慣化すると強いですから。
 また、関係者が各自を理解して仕事をやりやすくする仕組みが、効率だけではなく、クリエイティブ力のアップにつながるという話は面白いですね。



Q.クリエイティブな空気は誰が作っているか?


⇒(ジュリー・ズー)創造性を追求する空気は、社員全員から湧き出ていると思う。

特定の個人や役員が作っているものではないと思う。ある意味、自然発生的に広がるもの。

ある基準で人を採用していけば、会社の中のカルチャーは変わっていく。そういう意味では、採用するときには会社の中の雰囲気を壊したい目的に合った人を選ようにしている。


⇒(ジェフ・ホーキンス)前の会社のカルチャーや雰囲気は自然発生的なものだったが、それは一人の応援団長的な人物から始まった。

フロアに飲み屋を作るなどとてもユニークな人間で、自分たちにもいろいろなことをやらせた。結局彼が会社の中の雰囲気をリードしていた。

クリエイティブな面は彼が中心だった。


⇒(ドナ・ノビツキー)前の会社では、創業者のひとりがキーパーソンで、

「何でも話そう会議」などいろいろなことの発案者でとてもクリエイティブな人だった。


→(私見)フェースブックでは、会社の雰囲気が固定化しないように、変化させたい方向に沿って人を採用するところまでしていることが新鮮でした。仕事に慣れてしまわないように、いつも刺激を受けるように組織作りも考えられているということだと思います。



・最後に罰ゲームと称して、ジャクソン13のメンバーと、ティナ先生、ゲストが

一緒にジャクソン13の応援ダンスを踊って終了。



■ゲストからの学びのまとめ


(ジュリー・ズー)
・大きな組織は「クリエイティブ」という尺度だけでは人は管理できない
・膨大な数のユーザーに向けて、製品の品質を検証する人たちの仕事の比重が
大きい
創造性のある会社の雰囲気づくりは採用から始まる


(ジェフ・ホーキンス)
・自分の使っているものの不満点を徹底的に洗い出す
・どんなに悪い製品でも、必ず一つは学ぶべき点がある


(ドナ・ノビツキー)
・メンバーが刺激を受けるような、ユニークな会議のあり方を提案する
・チーム編成の時には、なるべくセクションの違う人を組み合わせる


(ブレンダン・ボイル)
・チーム編成は「熱意」だけではできない
・100%クリエイティブはありえない。売ることも大事。
・クリエイティブなアイデアの選択には、多数決は効果的ではない場合もある



■生徒の感想とアドバイス


・フェースブックは大きな組織なので、全員がアイデアを出してすべてを

試作品にしてテストすることはできないと言っていたことが印象的だった。

学生はそういった視点が欠けがちなので。


・会社の段階によって、状況が変わってくるのだろうと思った。

例えばフェースブックで今行われていることは、違う会社の別のステージに行けば

当てはまらないのではと思った。

成長の段階が違えばクリエイティブの扱い方も違ってくると思った。


・社内の創造性を高めるには、何かひとつの正解しかないのではなく、様々な

回答があることが確認できて嬉しかった。


(ブレンダン・ボイル)

みなさんの判定の多数決を観察していて、周りの人を説得するのではなく、

自分を説得しているようだったが、声を上げて他人を説得してもいい。
私の好きな言葉に、

「声をあげるときは自分が正しいと思え、

相手の話を聞くときには自分が間違っていると思え」

がある。会社の面接のときには、声を上げずただ聞いているだけの人は雇うつもりはないので。


(ジェフ・ホーキンス)

5年くらいビジネスの経験があれば、自分のクリエイティブな考え方について

きちんと人に説明できないとダメ。

経験がある人は、きちんとした答えを期待する。



■きょう学んだこと


創造性で知られる会社も、奇抜さや自由さだけではない
そこには、常識的な組織の在り方や仕事への取り組み方が介在していて、

そこにクリエイティブな要素が融合している


■今回の目的(ティナ先生)


今回の講義のテーマは、会社の中でのクリエイティブな雰囲気の作り方には、

多様なアプローチがあるということです。
創造性に富んだ会社を造り、成功するには多様なアプローチがあるということ。

一方で共通することは、失敗するかもしれない状況に立ち向かうことを選択した

ということです。何かをやり遂げたいという気持ちで挑んでいるのです。

誰もやったことのないことに挑戦することが賞賛される雰囲気を造り出して

いるのです。

第1回「ブレインストーミングで可能性を探れ!」http://amba.to/jUMrRU
第2回「名札をめぐる冒険」http://amba.to/iphjYQ
第3回「最悪の家族旅行を考える」http://amba.to/jXIsGh
第4回「6色の考える帽子」http://amba.to/jTvmQg
第5回「30分で新製品を作る」http://amba.to/kNiduO
第6回「トランプで創造性を学ぶ1」心理・行動編 http://amba.to/lT2tV4
第6回「トランプで創造性を学ぶ2」振返り編 http://amba.to/m82p0l
第8回「コーヒーの新しい飲み方を考える1」発表編 http://amba.to/rrHIWY
第8回「コーヒーの新しい飲み方を考える2」振返り編 http://amba.to/poh4aQ