第6回「トランプで創造性を学ぶ」 振返り編


(注)このブログは、NHKのスタンフォード白熱教室の内容について、①を中心に以下の目的でまとめています。
①視聴した人の復習用の記録として(そのため基本的に事実ベース)
②見ていない人には、どんなことをやっているかの概要の参考になるように
③調べものをしている人には、ティナ先生がどんな方法をどう使っているか

また、基本的に講義の流れや発言順に沿って記録していますが、一部流れを編集したり、

私のコメントは 「→」を使ってフォントサイズを落としています。


<私の感想>

今回の講義は、いろいろと考えさせられることが多かったと思います。

振返り編も内容が豊富で長いので、6回目全体の感想は次回に分割したい

と思います。

http://amba.to/p0J0sV

ただし、先生や生徒たちのコメントについて、私の感想やコメントを付けています。


■全体の振り返り

1)最初に材料を渡されたときに、どんなことを発見したか


・52枚に足りないカードがあり、他のチームにあることが分かったので、

まずそれを揃えようとした。
⇒(先生)そうですね。開始時の条件は、それぞれの世界にトランプは3種類でチームは4つ。最初各チームには34枚くらいが配られていました。

配られ方はバラバラでしたね。
これって実社会と同じだとは思いませんか。材料は全て実社会にあっても、すべてが自分でコントロールできるわけではありません。
自分が何かしたいと思っても、持っている経営資源は一部だけ。

新しい会社を起業するときの立ち上げの状態 といえます。


2)そこでどうしましたか


・自分たちに必要な種類のカードを揃えて、他のチームのカードは足りなくなればいいと考えた。
⇒(先生)最初は競争心が芽生えたということですね。

では、最初4チームだったということに対してどう対処しましたか。


・別の種類のカードを最低1枚残して、他のチームのポイントが増えないようにした。
⇒(先生)競争意識が強くて、他のチームの邪魔をしていたということね。
・テーブルの世界では、皆で協力的に3チームに自分たちを編成し直しました

→自分たちをカードに合わせる、つまり市場に合わせた訳で、発想が柔軟だと驚きました。

 しかし、イスの世界のように大合併まで思い至らなかったのは不思議です。

 後から種明かしされる仕掛けのせいなのか!?


3)テーブルとイスの世界に分けた理由についての回答


(先生)イスの世界では、一つのチームに合併したがそれはどうしてかわかりますか。
実は数年前に、世界が違うことを認識させるためにテーブルとイスの2つに分けて

実験してみました。
その結果、今回のようにイスの世界のチームは1つのチームに合併し、

テーブルの世界は分かれたままでした。
テーブルの世界では、テーブルが自分たちのテリトリーだと定義したためで、

イスの世界では協力しやすい雰囲気 になったからです。


この方法で過去5-6回していますが、毎回必ず同じことが起こります。

空間に行動が支配される ことが発見されました。
自分が意識しなくても、テーブルのない人たちは、イスに縛られずに

協力する意識が芽生えました。
反対にテーブルがあるチームでは、それに縛られたということです。
→心理学の研究では何か意味づけられているのでしょうが、実はハード面の環境が人間の行動に

 大きく 影響を及ぼしていたことが明らかにされるとは、驚きです。
 どんな家に暮らしてきたか、どんな学習環境で学んできたのか、そして今、

どんな空間で仕事をしているのかが思考の自由さ、つまり創造性に結び付


ということだと思います。

 む、む、む、環境恐るべし!


・テーブルの世界では、初めは協力しあう雰囲気もあったが、先生がトランプの

オークションなど条件を変えていったので、それぞれの空間に戻って

自分たちのテリトリーを守ることを考え始めた。
・イスの世界では、テーブルがなかったことはチーム自体の見直しにつながった

が、それが発展してルールの見直しにつながったと感じた。
そしてトランプの家は、52階のボーナスポイントを稼ぐために、単にトランプを

重ねるだけにした。ほとんどのルールを我々は定義し直した。


4)各自がトランプの家をどう定義づけしたか

(先生)実は説明書は2種類ありました。
一方はトランプでできた家の絵があり、もう一方はそうした絵はありませんでした。
そこで問題は、各自がトランプの家をどう定義づけしたかということですね。

トランプを三角形で重ねる絵を見て、こうしなければならないと考えませんでしたか。
また、そうした思い込みから解放できた人はいますか。
⇒(ほとんどの生徒は思い込みに囚われておらず、クリエイティブさを発揮)

(先生)前提を疑うことを忘れずに。こうじゃなきゃダメと言う人は多いが、

実際はそうじゃない場合がほとんどです。

→問題解決の時にも有効ですね。相手が言う問題が必ずしも真の問題とはかぎらない。


・終了間際、見に来た先生の態度が冷たく感じられ、やばい、ルールを破って

いるかもと心配した。
⇒(先生)ルールというものは、多くは「こうしたら」という提案 に過ぎない。

本当に必要なルールはさておいて、自分でルールだと思い込んでいるものも

あるのでは、ということです。
おどろくようなことを成し遂げる多くの人は賢いやり方をするのですが、

他の人が見たらルール違反だと言われるギリギリの線をいっているものです
でも、「え~、そんな解釈もあるんだ」というものが多いのです。
→儒教的な精神なのか武士道的精神なのかわからないが、上の者の命令に黙って従いがちな

 日本人の感覚とは雲泥の差を感じました。
 定住志向の農耕民族と狩猟民族の生業の違いからもきているのでは。

 日本人はどこまで真似ができるのだろうか。



5)トランプの家の作り方について

・トランプを単に重ねることを思いついたのは2チーム。
⇒(先生)当初このやり方を実験した時にも、積み重ねるチームが出てきて

すごいと思いました。自分の想像を超えている人に出会えて楽しかったですね。
・トランプを切ったり折ったチームもあった。
⇒(先生)そうしたことをやっちゃダメというルールはなかった ですね。
→ゲームとして遊び要素があるため、まだそうしたルール違反的な行為が実行しやすいが、

 実社会でこれに近いことはどれほどの人ができるのだろうか。


6)ステッカーを売り出したとき、いくつのチームが買いましたか。

そして実際に使ったところは?


(先生)実世界では、自分たちに必ずしも必要でないものを売りつける人は

必ずいるということです。売り込みには十分注意すること。
→こんなことまでゲームに仕組んでいたとは脱帽!


7)部屋の両側の関係はどうなっていましたか。


(先生)私は競争とは言いませんでしたが、両側で競う合うような感じは持ちましたか。
・自分たちのことで精いっぱいだったからそうは思わなかったけど、終わってから

別のチームを見て、かっこいいとか比較した。
・こちらは一つのチームに合併していたから、別の世界のチームはライバルと

意識していた。
⇒(先生)誰がチームメイトでだれがそうでないかは自分で決めたということ。

実社会でもそうですね。枠組みをどうとらえるかの問題 ですね。
→競争相手をどう捉えるかでビジネスのフィールドが変わってくるということか。

 マイケル・ポーターの5フォースを思い出しました。


8)交渉とか取引に関してどうだったか


・理解に苦しんだことは、自分たちは彼らが欲しい2枚を、彼らも自分たちが

欲しい2枚を持っていたのに、どうして交換してもらえなかったのか。
⇒(相手チーム)足りないトランプはちぎって52枚にしていたし、相手チームが

52枚のボーナスポイントを獲得しないようにするため。
私個人としては、ルールを破ったというか、ちょっと罪悪感はあったが。


9)キャプテントレードについて


・こちらのチームはどのチームもキャプテンが他に移りたがらず、

結局元のチームにいた。
⇒(先生)キャプテントレードをアナウンスしたのは最後の方でしたね。

すでにチームで責任を背負っていた段階でしたね。混乱を招く原因ですからね。


(先生)同時にどれだけ自分のチームに愛着を感じていましたか。
⇒(生徒の多くが)強く感じていました。
一緒に仕事をしたのは30分くらいですよね。

どれだけ早く、心のつながりができるか という証明です。
忠誠心が芽生え、どれだけ切り離すのが難しいかということがわかりますね。

逆に会社の中でも、うちやあそこという関係になるのがわかりますね。
→組織への愛着や忠誠心といったことまでゲームに仕組まれていたとは!
 同じ釜の飯を一緒に喰った仲、ということわざ?が当てはまるな。

 人間って他人との係わりの中で生きているんですね。
 先生も指摘していましたが、逆に交流が固定してしまうと、同じ会社内でも

 派閥や部門間の壁ができることにつながる。


10)10分おきに状況が変化していったことについて


・ルールを逸脱していたと感じていたので、最後の方はその前提が

変わるのではないかとドキドキした。
それに対応する準備はあったが、家の高さのことを言われたらどうしようかと

身構えていた。
・私の場合は、2回目から反応しなくなった。
・一つのチームになったので、ルール変更にはあまり左右されなくなってよかった。
⇒(先生)どこかのチームが有利になるかもというプレッシャーから

解放されたということですね。


・オークションの時、自分たちは乗り気ではなかったけど、他のチームがやり始めるとやらなきゃと影響を受けた。
メンバーに参加するべきか聞いて参加しなくても良いと言われたが、その場にいるとオークションに勝ちたいという感情が芽生えた。

→人は周りの雰囲気にのまれやすいという実例。

 感情が煽られると、冷静な論理的判断を狂わす可能性があるため注意すべしということ。


(先生)なぜこのゲームは条件が変わるようにできていると思いますか。

実社会と同じだからです。この世界は何が起きるか予想できません。

その中で本当にダイナミックな起業家になるためには、行動が速いことが重要です。
次々に起こる状況に対して、素早く反応することです。素早く行動できる瞬発力

を身に付けていなければダメです。
→自分にとって弱いところだ~。確かに成功している事業化はスピードが速いですからね。


11)チーム内のリーダーシップや意思決定について

(先生)一応リーダーは決めましたが、実際のチーム内の意思決定はどうでしたか。
・あるチーム:リーダーは役割をはたしていたが、実際の決定は民主的だった。
(先生)意思決定する人が出てきませんでしたか
・イスの世界:大合併してから誰がリーダーか明確ではなくなったが、

なんとなくダンが建設の監督のようだった。
彼が経営資源をうまく管理すれば、得点が伸びるのではないかという感覚が

彼のステータスを上げたと思う。
・はじめ、他の人がカードを管理して数えているばかりで、

何しているか教えてくれなかったので、いつかへまやらかすぞと思っていた。
彼が権力を握っていたので、ストレスが溜まっていた。
またジャックがすごいアイデアを出したとき、

「おい、みんなジャックのアイデアを聞けよ」という空気になって、

アイデアが力になっていった。
⇒(先生)アイデアのある人についていこうと思った?アイデアが存在価値

になったということですね。


12)その他


・ミシェル(女性):自分がプレッシャーにさらされると、どうなるのかがわかった。
とてもイライラして切れやすくなったので、これからは改善していきたい。



■この演習と創造性についてのディスカッション


なぜ今回このような授業をしたと思いますか。創造性と関係があると思いますか。

・創造性というとブレストの段階をイメージしていたが、きまったやり方ではなく、

いろいろな形から創造性が発揮できることがわかった。
⇒(先生)創造的な仕事は、どんな会社、どんな役割やレベルでもあり得る

ということを知ってもらいたかったということです。
決して、起業の時や製品開発の時だけではないのです。
どんな仕事でも創造性の種はある のです。
戦略を立てるとき、計画実行の時、交渉をするとき、チーム編成をするときなど、

どのような時にでも創造性を発揮する機会はあるということです。
→いつ、いかなる時にでも、人間はクリエイティブになれる可能性を持っているということは、

 素晴らしいですね。


・(質問)規則でがんじがらめになっているような大企業では、自分が良い

アイデアを持っていても上司からは今のまででいいと言われますが、

それについてはどう思うか。
⇒(先生)実行するのは難しいでしょうが、不可能ではありません。

小さなことから始めるべき です。
例えば、チームで新しいアイデアが成功したらすごいねという反応になり、

そこであなたはお手本になる わけです。
結果が良ければ、そのアイデアは伝染していく のです。

特に創造性とはかけ離れたカルチャーのある企業は難しいですけどね。
→HCD(人間中心設計)の普及啓蒙の場合も、黒須先生は同じことを答えられていました。
 ティナ先生、マネジメント層に直接働きかけて創造的提案を受け入れやすい状態にする、

 よいやり方はないのでしょうか?

(先生:つづき)

リスクをとろうとするカルチャーが必要です。前例のないことをするときは

失敗する確率が高いですから。失敗を容認するような場 をつくることが重要です。

それこそが、今の世界のあらゆるところで欠けているものだと思います。
あまりにもリスクが大きいため、新しいことに挑戦しないのですね。

そのため、リスクに挑戦した人をお手本として尊敬するようなカルチャー

が必要です。
たとえ成功しなくても、その人に拍手を送るような空気が大切です。

あまり失敗していない人はトライしていない人なんだと思えるカルチャーに

変えることが重要です。
⇒Twitterが良い事例。グーグルも20%の時間を業務外の自由課題に割けますね。
新製品や新機能の多くはこうした取り組みから出てくることが多いです。

普段の仕事から離れて、エキサイティングに取り組んでいます。
→リスクをとって失敗しても、組織でリカバリーできる仕組みってなんだろう。

 単に会社に余裕があるだけではなく。


■きょう学んだ言葉


(思い込んでいる)ルールから自分を解放することが創造性を高める第一歩


ミシェル:

ルールを守る優等生より、ルールに挑戦する冒険者でありたい、と思った。


⇒(先生)
全ての人は最終的に製品が成功するために貢献できる。

そのことを理解して、組織のあらゆるレベルからアイデアが出てくるようにすることが大切です。
企業では、現場の人の方が、作業効率や安全性などから、もっとこうしたらという

アイデアが出やすいのです。
組織のあらゆるレベルの人々の発想に耳を傾けることが重要です。

クリエイティブな問題解決は、組織のあらゆるレベルで必要なことです。
→日本では現場でのチームなどの創造性は高いが、欧米は個としてのリーダーの創造性が高い。

 今回の震災でも同じ構図ですが、この構図は破れないのでしょうか。


第1回「ブレインストーミングで可能性を探れ!」http://amba.to/jUMrRU
第2回「名札をめぐる冒険」http://amba.to/iphjYQ
第3回「最悪の家族旅行を考える」http://amba.to/jXIsGh
第4回「6色の考える帽子」http://amba.to/jTvmQg
第5回「30分で新製品を作る」http://amba.to/kNiduO
第6回「トランプで創造性を学ぶ1」心理・行動編 http://amba.to/lT2tV4
第7回「あこがれの起業家に学ぶ」http://amba.to/qBB4FX
第8回「コーヒーの新しい飲み方を考える1」発表編 http://amba.to/rrHIWY
第8回「コーヒーの新しい飲み方を考える2」振返り編 http://amba.to/poh4aQ