第5回 「30分で新製品を作る」


(注)このブログは、NHKのスタンフォード白熱教室の内容について、①を中心に以下の目的で

まとめています。
 ①視聴した人の復習用の記録として(そのため基本的に事実ベース)
 ②見ていない人には、どんなことをやっているかの概要の参考になるように
 ③調べものをしている人には、ティナ先生がどんな方法をどう使っているか

また、基本的に講義の流れや発言順に沿って記録していますが、一部流れを編集したり、

私のコメントは 「→」を使ってフォントサイズを落としています。


<私の感想>
ハーバードのビジネススクール(b-school)に対して、スタンフォードはデザインなど

クリエイティビティを旗印に「d.school」を作っています。
そうしたスタンフォードらしく、MBAの象徴であるフレームワークだけでは

新興企業やクリエイティブな活動には不足であり、今回のようなストーリーテリングが

関係者を巻き込んで夢を実現するには必要な能力として紹介されています。


日本でも、楠木健氏の「ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件」が

ヒットしていますし、私も昨年の5月にすぐに買って講演会でサインしてもらいました。
また5月にHCD-Netサロン(人間中心設計推進機構)でSoup Stock Tokyoの

遠山正道社長に講演していただきましたが、内容がまさにストーリーテリング

でした。

 「スープで、いきます 商社マンがSoup Stock Tokyoを作る」

ペルソナ/シナリオ法のようにターゲットユーザー像を詳細化して、

コンセプトや指針としてホームページやDVDで語っています。

従業員がストーリーを共有しているので、この顧客像に対してどう商売すれ

かがブレないそうです。

そういえば、村の掟や行動指針も、物語として伝承されていたりします。


起業家として、仲間や従業員だけではなく、投資家に対しても自分のアイデアを

受け入れさせるための必要な技術ということですが、日本の教育にはなかなか

見当たらないですよね。
教育から起業家を育てるシステムができている米国に、工業製品の時のように

追い付くことができるのでしょうか。



<NHK Webサイトより、第5回の概略>
どんなに良いアイデアがあっても、それを上手く説明出来なければ採用されません。プレゼンテーションの基本は、ストーリーを語ることです

ビジネスでの売り込みも子供にいうことを聞かせるときも給料を上げてもらうのにも、説得力のあるストーリーを組み立てることがポイントです。


相手の心をつかむプレゼンテクニックを、スタンフォードのイノベーション大会の

優秀作品を題材に学んでいきます。

もうひとつ大切なのが、締切というプレッシャーの中で、いかに創造性を

発揮するかということ。

学生に「30分間で魅力的なグリーティングカードを作る」というテーマを与えます。

時間と道具が限られている中で、奇抜な発想が次々に飛び出します。


<改めてこの講義の目的>
革新的なアイデアを生み出すこと。これまでの教育は、既にあるものを見つける力や改良する力ばかりだった。
ティナ先生の講義では、新たなものを作る力を養うことに主眼が置かれている。

創造する力や発想の転換。これらは技術として学べるもの


<5回目のテーマ>
より良いプレゼンをするための

①アイデアを効果的に伝えるためのストーリーてリングと、

②プレッシャーの下でいかに創造性を発揮するか



■準備


・ウォーミングアップ⇒「ひとことことわざ」
瞬間的に言葉を造るゲーム。
各自ひとことずつ発言し、途中でそれまでの言葉のなかからことわざができたと思ったら、みんなでYesYesという。
ことわざができたら、次の人からはまた新しい言葉を発言していく。


考えてはダメで、反応するエクササイズで、言葉を造ろうをしてはいけない。
 →まじめな日本人(私?)にはわかりにくいゲーム。意味や意図が分からないと取り入れづらそう。

  他に瞬発力を高めるウォーミングアップはないのかな?


(実施例)
「きのう、私の 娘が 帽子を 一つ、青い。そして 彼は 下へ 行って 繁栄した」YesYesYesYes~
⇒思ったことは何でもよくて、できるだけ早く言葉を出すこと。
「高速道路は いつも 人生を 意味する」 YesYesYesYes~



■テーマ:『ストーリーテリング』


・プレゼンする上で、素晴らしいストーリーにして語ることが重要。
・相手にとって説得力のあるストーリーを語ることが重要。


<留意点>
・ストーリーには、まずつかみが必要。ひとをひきこむもの。
・つかみに使える感情には、驚きや恐怖、不可能なこと、悲しみ、うれしいことなどがあり、感情に訴えることは重要


<有名な本の最初の1行のつかみを紹介>
「それは明るく、寒い四月の一日だった。時計の鐘は13回なった。」
「私は見えない人間だ」
「私は今、これを台所の流しの中に座って書いている。」


・つかみは、人をグッと引き込んで、先に進む動機づけにするもの
引き込む→どんどん先に導いて、最後に安心できる結末に導くといった

構成が多い。
プレゼンの最後にあ~そういうことだったのかという気持ちにさせる。

最後にそれについての解決を提示するということ。
今回の場合は、デザインしたものや体験が結論となる。


・単なる調査レポートをSF風に書くのではなく、ストーリーとして書くこと。つまり情景がイメージできるように伝えること。
そしてプレゼンに使う音楽にも気を使うこと。


・ひとが驚くような仕掛けも必要。それは集中させるためにも必要。


<プレゼンビデオを見て研究>
イノベーション大会での優秀作品。
一般的なモノにできるだけ付加価値を5日間で与える競技。
テーマは輪ゴムで、優秀賞を取った3本のビデオを見て、つかみや驚きなど参考にすること。


1本目:「Do Band #47」の物語
インサイト1:行動は強制できない。人は納得しないと行動しない
インサイト2:行動する目的は人それぞれ。実行すべきことやしたくてもできないことを心の中に抱えている
上記2つの洞察に注目して作られた。⇒人に行動をしてもらうきっかけづくり。


Do Bandのルール1:何か約束をしたら、輪ゴムを付けてそれを果たすまで外さない
Do Bandのルール2:自分のサクセスストーリーをネットで公開する
Do Bandのルール3:人に挙げて、輪を広げる


「あなたのたった一つの輪ゴムから、サクセスストーリーが広がります」

⇒「輪ゴムが変えた世界」


(感想)
・自分的の世界に哲学を与えて、論理的に展開していました。自分たち固有の価値観を定義していた。
・複数のストーリーがひとつの輪ゴムでつながれていた。(輪ゴムを通してモノの見方を具体的に問いかけていたね)
・始まりの部分で、何も見せずに音楽だけを流したのがつかみだった。

(最初、脈絡のないことを言って、サスペンスが始まるような感じ)
・以前はやったリストバンドと異なり、自分で自分に責任を持つという、新しい

意味合いを持たせていた。(そこには洞察があって、その上驚きもあった)
・最後に全部が一つにつながって、ああそうかという感じ。


2本目:シューバンド
・完全なパロディー形式で、ユーモアで引っ張り込むタイプ。
・靴ひもがあってうまくいかないことを見せられるので、その解決が見たくなる。
・途中でユーザーの声を複数見せている。商品を売るためのメッセージが強化されている。


3本目:たった一つの輪ゴムと一つの願い。それでだけで「価値」は創り出せる
・最初の狙い(願い事を木にくくる)がすべてはずれてしまったチーム。

しかし自分たちの失敗をストーリーにして、結果的に成功したケース
・通常のプレゼンソフトを使った手の込んだことをしなくても、ストーリーに説得力があった。


ティナ先生の好きな言葉
「宇宙はストーリーでできている。原子でできているのではない。」


■演習


課題:アースデーのグリーティングカードの作成


(前提)
各チームがグリーティング会社の一部門とする。アースデーのグリーティングカードを作って売りたいが、今まで誰もしていなかった。
時間は30分で、その中でグリーティングカードをデザインして4枚で1セットで売り出す試作品を作ること。そしてそれを売り込むストーリーを考えること。
みんなのアイデアは、一人1票で投票してよいものを決める。
アースデー(4月22日。地球のことを考えて行動する日)


(目的)
みんなのストーリーテリングの能力を試すもの。
またプレッシャーのかかっている中で、いかにクリエイティブになれるかという課題
時間と道具が限られている中で、他のチームと競わなければならない。


<各チームでアイデア出し>

・「水・火・土・風のカード」
4枚のセットという縛りから、地球の歴史を4つに分けるとか、
地球の元素、

火、水、土、風の4つにして友人に渡し、地球からの招待状にする(合意)
より発想して、火力、水力、地熱、風力発電へ展開。


・「4分割するカード」
パズルみたいに4枚に分かれて、各々4枚に異なるメッセージを載せる。

地球のために( )のためにといった、( )の中がそれぞれ異なるメッセージを書く。
(別案)

各カードに一語づつ書いてあり、4つ揃うと何か意味を成すもの。世界の構成要素になるものとか。
全部、re-で始まる言葉はどうか

⇒regrow(再成長) reset(リセット) reuse(再利用) reborn(再生)。

接頭詞は同じデザインにして強調し、それ以降を言葉に合わせて面白く

デザインする案


・「汚れを剥がすカード」
はがすときれいな絵が現れ、地球に対してやるべきことが見えるしかけ。

カードの上で物理的に地球をよりよくしていることが体験できる仕組みが非常に良い。そして、募金もされる。購入することで社会に貢献できることもわかる。


・「感謝するカード」
地球よありがとうの一文があり、何に感謝するかは、各自で書くことができる。

カードの中に種が入っていて、植えるとそれが育っていく


・「省エネのカード」


<プレゼンテーション>


・「感謝するカード」
⇒植えられるグリーティングカード。自分が地球にしたことを考えるのではなく、

地球が自分にしてくれたことに感謝しよう、で締める


・「4分割するカード」
⇒地球のことを考える、きっかけ造りのカード。商品名は「Reカード」。

裏にある花の写真が植えると生えてくる。

regrow(再成長) relive(再生) reuse(再利用) recreate(再創造)で、

4つのカードは集まって、reunite(再会)のカードになる。(地球の絵になる)


・「水・火・土・風のカード」
⇒4つの元素は地球と人間のつながりの象徴だった。

各要素の再生可能なエネルギーで感じることができる。

カードを友人に送ることでアースデーに招待し、地球をよりよくするための

活動に参加してもらう。


・「省エネのカード」
⇒節水や節電を呼びかけるカード。


・「汚れを剥がすカード」
⇒カードにごみや油の破片が付いていて、それを剥がすと下からきれいな絵が

出てきて、カードの上で地球をきれいにすることが体感できる。

中を開くと取るべき行動が書かれていて、そのカードを次の人にも渡して

アクションを取ってもらうことで輪を広げていく。

オンラインで得したお金を記録できて、参加したみんなが分かち合う仕組み。

自分自身が変化になれるカード。


<投票>
21人?中9票で、「汚れを剥がすカード」が1位


■生徒たちの振り返り


・時間がたっぷりとある時と比べて、能率が上がったかもしれない。


・ブレストが間延びせずに、すぐにアイデアが集約できた気がする。

評価に時間をかけずにすぐにまとめられた。


・今まではアイデアを絞るのが難しかったが、時間制限があると、

アイデアがたくさん出てもすぐに絞り込めた。


・アイデアをすぐに形にするのは利点が多いと思った。

口で語るだけだとだんだん自信がなくなってテンションが下がるが、

形にすると達成感があってやる気が出る。


・カードを4つ作るのが良かった。1つだけだと、そのカードの仕上げに凝って

発想が止まってしまったと思う。

それに、4枚のカードの関連性を考えなければならないのでよかった。


(先生)このやり方の良いところは、何もせずに悩むということがないこと。

時間を無駄に使うことなく、アクションを通して判断していくことができる。
PCや試作を造るソフトがなく、紙とペンのような簡単な材料でも有効だと思わないか。緻密な試作品づくりは、どんなものを作るかが決まってからの段階。


・企業で感じる大きな問題は、試作品の最初の段階から時間をかけすぎて、

良いものを造ろうとしているということ。
ユーザーの反応がまだわからない段階で、自分のアイデアに拘っているので、

妥当なフィードバックが得られていないこと。
一つの試作品を完璧に創り上げるのはもっと後の段階


(サブ講師)アイデアが3つあったら、試作品も3つ手早く作り、他人に評価してもらうことが重要。


<ストーリーについて>


・「汚れを剥がすカード」のチームのコメント
 カードの意味やコンセプトを先に話していた。伝えるためのプレゼンがもし必要なかったら、カードのデザインや言葉などの詳細ばかり目が行っていたと思う。
 ユーザーがどう使うかといったストーリーについては考えなかったと思う。


・(先生)今回のケースでは、ストーリーから試作品を作っていた方が作りやすかったと思う。
・(生徒)自分たちは問題から発想したが、問題がはっきりしていればストーリーに乗せやすくてつくリやすかった。
・(生徒)ストーリーから始めると、話が広がりすぎることなく筋が決まる感じがする。そのあとに筋に肉付けをしていくので、具体的になってよい


ティナ先生の講演での経験
今から研究のデータを発表しますというと聞いてくれにくいが、

小さな子供が絵本を持っている写真を見せて、
これからストーリーを話しをしますというと、みんな目が輝かせて聞いてくれる。



■きょう学んだ言葉


「ストーリーから試作品を作る」
・効果的なストーリーを考えて、自分のアイデアを伝えることは、

最もインパクトのあるスキルの一つ。
聞き手が何を欲しているかをよく知ったうえで、どういうことに喰いついてくるか

狙って注意を惹くこと。
・ストーリーを人に覚えてもらって、何か行動を起こしてもらうには、

絶対良いストーリーが必要それには練習するしかない。

第1回「ブレインストーミングで可能性を探れ!」http://amba.to/jUMrRU
第2回「名札をめぐる冒険」http://amba.to/iphjYQ
第3回「最悪の家族旅行を考える」http://amba.to/jXIsGh
第4回「6色の考える帽子」http://amba.to/jTvmQg
第6回「トランプで創造性を学ぶ1」心理・行動編 http://amba.to/lT2tV4
第6回「トランプで創造性を学ぶ2」振返り編 http://amba.to/m82p0l
第7回「あこがれの起業家に学ぶ」http://amba.to/qBB4FX
第8回「コーヒーの新しい飲み方を考える1」発表編 http://amba.to/rrHIWY
第8回「コーヒーの新しい飲み方を考える2」振返り編 http://amba.to/poh4aQ