NHKで放送された『スタンフォード白熱教室』について、
その内容を記録すると共に、山口の感想や意見も交えてまとめました。


(注)このブログは、NHKのスタンフォード白熱教室の内容について、①を中心に以下の目的でまとめています。
①視聴した人の復習用の記録として(そのため基本的に事実ベース)
②見ていない人には、どんなことをやっているかの概要の参考になるように
③調べものをしている人には、ティナ先生がどんな方法をどう使っているか

また、基本的に講義の流れや発言順に沿って記録していますが、一部流れを編集したり、

私のコメントは 「→」を使ってフォントサイズを落としています。



第2回「名札をめぐる冒険」

テーマ:自分たちの抱えている問題とチャンスに目を向け、従来にない

    解決策を考える体験する



■ウォーミングアップから


各自の名前(というより愛称に近い)をつかったウォーミングアップ。
⇒チェックインという名称
形容詞をつけた名前を言ってポーズをとる。そしてみんなで同じことする
→打ち解けて、この学びの場に入り込み、良い考えや意見を引き出す効果を狙っているのか?


■演習


課題1:この教室にある問題点を探す


ペアを組んで、1枚の紙と1本のペンを持って、部屋内で多くの問題点を見つけあう。10分間
どれだけユニークで、どれだけ明らかな問題点を発見したかを発表。


パイプが丸出し。景色がよくない。窓がひらかない。スナック菓子が向こう側しかない?施工の合わせがよくない。ゾンビが襲ってきたら逃げ道がない(さすが米国人)。カーテンがない。ソファーが小さすぎる。着替えるところがない。組み立て式ならいろんな目的で使えるのに。。。等々
→当然ですが、室内で見たままの事象から入っている人が多い。


<振り返り>
30以上の問題点を見つけた人が数人。


(発表)PCのインタフェースが少ない。
(先生)特徴であって不具合ではないでしょう。
→と突っ込まれていたが、文脈によっては問題では?と思う。


他に、荷物を置くところがない。コードに足を取られそう。新鮮な空気が入ってこない。スペースに無駄がおおい。飲み物がない。時計がない。等々


(先生)ものに関する指摘以外は?着眼することはなかったか?
・例えば、人間関係や音には触れていないのでは?
→視野を広げさせている。


<導入>
先生は名札が嫌い。
その理由は、再利用できない。きちんとくっつかない。ださい。
胸を見られること、個性を表せていない、など。


課題2:名札の使われ方を体験しよう


ビジネスの会議を想定して、自己紹介して始めることから考える
→まずは体験してシーンをイメージさせる。そして次につなげている


(先生)名札の目的とは何?原点から話し合いましょう。
各自発表


では、
自分を紹介する、新しいデバイスを作るとしたら?
考え方を変えると、それまでと全く異なる解決策が出てくるでしょう。


1)名札の好きなところ、嫌いなところを各自でインタビュー&メモする(10分)
・自己紹介に必要な情報を取り出すように注意
・相手がどんなニーズを持っているか考えるようにする


名前の読み方で発音が分かるとよいね。目で見られるからよい。覚えやすい。

色で分けられていると役割が分かってよい。会話のきっかけが入っていればよい。

手書きはその人の感じが出る。ケースバケースで欲しい情報が違うので、わかると友達になるチャンスができる。服を傷めるのがいや。

自分の感情に関係なくしゃべられてもね。等々



2)インタビューしたリストから、1分間で重要な問題点を選ぶ
・全体を考慮しながら、新しい自己紹介の方法を考える



課題3:解決しようとする問題を1人で決める



・まずは問題点を見つけるだけでOK。
・相手が困っている一番の問題点を定義する。
・そして相手のために解決するアイデアを考える。
試作品のイメージを持つ。



課題4:相手のために独りでブレインストーミング


ありきたりな解決策にしない。妥当だと思うことの先に進むこと。
・現時点では無理でもOK。顧客のニーズを満たすことを優先。


みんな、マインドマップで整理して発想しだす。
名札が無意識に伝えていることって何? など独りブレスト


(先生)独りでブレストは、みんなでするのと比べてどう?
・1人でブレインストーミングをする能力も必要。



課題5:名札の試作品を作る
教室に用意された、さまざまな用具、道具を使ってプロトタイプ(試作品)をつくる。


・相手のフィードバックをもらうこと。
・試作品なので、実際に使えないものでもOK。

でも、コンセプトは示していること。10分
→きれいにできていなくてもいいが、何がどうなるのか伝わるレベルに仕上げるということ。


<試作品の検証>
・相手に見せて意見をきくこと。


・だめだしされても、別なものを作ればよい。
そのため、試作品には時間をかけない、強い思い入れをもたない。

気に入られなかったらすぐにすてられるように。
→ラピッドプロトタイピングという言葉があります。


・企業の問題点として、試作品で完璧を求めて時間とお金、労力を

かけてきちんと作ると、個人的に思い入れができて捨てられないし、

顧客からダメだしされるとダメージが大きい。
しかし、手早く作れば相手からフィードバックを得られて、

違うものに作り替えられて合理的。
→ペーパープロトタイピングといって、紙芝居のようなものを作って検証する方法もあります。


<設計のプロセス>
・「定義」→「考察」→「試作」→「検証」→「共感」 のループ状。
設計のプロセスには反復が必要のため

→ちなみに人間中心設計(HCD、ISOに基づく)の反復モデルは


「人間中心設計の必要性の特定」→「利用状況の把握と明示」→「ユーザーと組織の要求事項の明示」→「設計による解決案の作成」→「要求事項に対する設計の評価」

で、要求事項に沿わなければ、どこかの前の段階に戻るプロセス。
ティナ先生が教えるプロセスとほぼ同じ。
特徴としては、評価の後に“共感”とユーザーの心により踏み込んだことでしょうか。


・大事なことは、その製品やサービスを使う相手の気持ちを理解すること、

共感すること。
顧客にとって意味あることを成すための、大きなチャンスを逃してしまう。


・顧客にとって何が問題点か、はっきりと定義してから作業に取り掛かること。
顧客が考えている以外のことが問題点の場合もあるので。
→事業の最後に、事例を挙げて強調しています。


・あなた自身が、その場に足を運んで、意見を聞いたり観察して

考察することが必要。それからアイデアだしの段階に行く。
→今はやりの、エスノグラフィック・アプローチとか、参与観察と呼ばれる手法です。


・試作品で気に入られなくてもよい。実際にテストするために作るものだから。
この一連のプロセスを何度も繰り返すこと。


<試作後の振り返り>
難しいと思ったことは?


試作品をつくること。
問題点の定義が難しかった。
情報を集めても、その中から必要な問題点を決めるのが難しかった。



■事例紹介


あるデザイン会社の、献血の人を増やすプロジェクトの話し。


献血者を観察して気づいた。
話を聞くと、献血は義務感からだけではなく、自分たちにとっても有意義だったから。
自分の献血によって多くの人が助かることを話したがっていた。

解決策として、自分がなぜ献血したのか語れるスペースを作った。

そしてその話を壁に貼った。
結果、その話を読んで献血の重要性に気づいて、リピーターが劇的に増えた。
最初考えていた、ソファなど環境をよくする以上の効果があった。



■まとめ


・今日はわざと、問題点を定義するプロセスと共感するプロセスを分けた。
それぞれのステップをよく理解するため。
本来は、一緒にした方が楽しくてよい。試作品を作りながら
ブレストしていってもOK。

・試作品を手元に置くと、驚くほどアイデアがわいてくるもの。

作りながら考える手法。
→素人ほど、何か見えるものや触れるものがあった方がイメージしやすく、アイデアや改善意見が出やすいのは、リサーチの常識。

体感的なブレインストーミングと言えるかもしれませんね。


<生徒の気づき>
・コンセプトが伝わればよく、試作品が完成する必要ははないことがわかった。
直線的な作業ではなく、プロセスを何度も繰り返すことが新鮮だった。

反復プロセスが重要。
・(サブ講師)繰り返す時は、円のどこかのプロセスを飛ばしてもOK。
でも、どのステップにいるかは意識して、解決策に近づくこと


「今日のポイントは、問題点を見直すこと」
・例えば、ある人が橋が欲しいと言っていても、
「どうして向こう岸に行かなければならないのか?」と聞くことで、

橋をかけなくても、別の解決策が見つかる。


・問題点を言い換えることでアイデアが広がる。問題を見直すことができる。

つまり、いろいろな角度から問題を見るということ。

モノを見る視点を固定しないということ。
このように、視野を広げれば広げるほど、チャンスが広がる。


以上です。
第2回は、プロトタイピングの手法を中心に、要求定義をして検証するまでの

開発プロセスの学びでした。



<私の感想>

簡単なものを作りながらブラッシュアップさせる方法は、手間のように見えて、

後からの問題点の発見がしやすいですし、結構みなさん楽しんでできるのでお勧めです。

ペーパープロトタイピングとか、ラピッドプロトタイピングといった手法が日本でも紹介されてきています。

CADなど画面上できれいに試作ができやすくなった分、もっと上流工程での確認のための試作が求められているのかもしれませんね。


第1回「ブレインストーミングで可能性を探れ!」http://amba.to/jUMrRU
第2回「名札をめぐる冒険」http://amba.to/iphjYQ
第3回「最悪の家族旅行を考える」http://amba.to/jXIsGh
第4回「6色の考える帽子」http://amba.to/jTvmQg
第5回「30分で新製品を作る」http://amba.to/kNiduO
第6回「トランプで創造性を学ぶ1」心理・行動編 http://amba.to/lT2tV4
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