1964年9月、コンテッサはフルモデルチェンジを行い「コンテッサ1300」として4ドアセダンが発売されました。

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⚫︎日野コンテッサ
日野オートプラザ
2016年7月25日

洗礼された、まさに”contessaー伯爵夫人”と称するにふさわしい洗礼されたデザインの乗用車が登場しました。
コンテッサ900スプリント同様、ジョバンニ・ミケロッティが手がけ、その優雅なスタイリングから、セダン、クーペとも、イタリアコンクール:デレガンスで複数年に渡り多数の賞を受賞する成功作となりました。
デザインモチーフには、同時期のミケロッティ作品であるトライアンフ2000(ミケロッティのデザイン)やシボレーコルベアに似た当時最先端のデザインを巧みに取り入れ、デュアルヘッドライト、リアサイドの直線基調なプレスラインなどの組み合わせが新鮮です。

美しい後ろ姿のサイドには、ジョバンニ・ミケロッティデザインのエンブレムが付き、一層高級感を引き立てます。
この後端グリルからラジエーターファンで冷却風を導入し、ラジエーター通過後に床下から排気します。
シャーシは独特のレイアウト(リヤエンジン・スイング)のため不安定さが残ったコンテッサ900に比べ、またシフトリンケージの工夫により実現したコラムシフトは概ね好評だったためオプション設定の電磁式自動クラッチ共々、引き続きコンテッサ1300に装備されてのちにフロアシフトモデルも追加されています。ブレーキは前輪に国産車初となるフィスト型ディスクブレーキを採用しています。



エンジンはコンテッサ900やコンマースに搭載されたGP20から一転し、日野の自社設計による「GR100型」が開発・搭載されました。



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⚫︎コンテッサ1300に搭載されたGR100
水冷式4気筒ガソリンエンジン
日野オートプラザ
2016年7月25日






空冷式直列4気筒のガソリンエンジンで総排気量1,251cc、出力55psを発揮します。
ボア×ストロークは71×79(㎜)のロングストロークのOHVで、シリンダーブロックはクランクシャフトを中心に分割し5ベアリングで支持することで整備性を向上させ高速運転向けに設計しました。


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【主要スペック】 
◆型式PD100型 (Contessa 1300)
◆全長4,150㎜・全幅1,530㎜・全高1,390㎜
◆ホイールベース2100㎜
◆車重940kg
◆エンジン     GR100(55ps/5000rpm)
◆最大トルク  5.3mkg/2800rpm
◆変速機        4速MT
◆乗車定員     5名
◆最高速度     130km/h




リヤエンジン故に熱対策も万全とし、エンジンルーム内の廃棄マニホルドをする短くするためにクロスフロー配置にしたシリンダーヘッドの排気側を下側に通しました。それによりエンジン輻射熱を抑えるとともに整備頻度の高い機器を上側に配置することで整備性の向上を図りました。エンジンブロックを30°傾斜配置としてキャブレターと吸気マニホルド周辺はパーコレーション(熱害)防止とコールドスタートの容易さの双方に意を払った設計が行われています。

ラジエターは4CVや900では、エンジン前方に置かれ側面にスリットを配していましたが、コンテッサ1300ではエンジンルーム後端へ変更となったが、このレイアウト変更が各方面で大きな物議を醸します。

コンテッサ900スプリントは、デザイナーの要望を最大限呑んだものの、ミケロッティに当初日野側から渡されたデザインに関する要求仕様において『前方に向け約1500平方センチメートルの冷却空気取入口を設けること』という条件を強引に付加します。技術陣はコンテッサ900スプリントのリアフェンダー前のそれのようなデザインを期待していたのだが、これに対しミケロッティの示した原デザインは、リアフェンダーに大きな突起物として口(エアインテーク)が付いている、というスタイリッシュなコンテッサのイメージとは異なるものでした。
同じ頃、ルノー8の情報がもたらされ、そちらでもエンジンルーム後端にラジエーターを配置していることが判明、こちらは側方からではなく、車体後端上部から吸気していました。以前ルノーからは、自社製品である4CVやドーフィンとコンテッサ・900の類似性に関するクレームやチェックの前例があったため、同一の構造は避けたかったのです。

しかし、ミケロッティは自らのデザインを、日野技術陣は抗議の念として受け止め、慶應大学研究室と共同の基礎的な調査実験から検討を行いました。最終的には、垂直に切り立った後端のグリルから冷却風を吸気し、床下に抜いた空気やエンジン排気を再び吸い込まないような工夫を設け、冷却性能を満たすエンジン並びにエンジンルームが出来上がりました。